間違いだらけのネットワーク作り(653)2010/09/04
記事評「もっとよく知るLTE」

 今週月曜日、4月から設計・構築していたネットワークが完成し、ささやかなお祝いの会をしました。  5カ月という短い開発期間でしたが、お客様の担当 者を含め、いいプロジェクト・メンバーにめぐまれて、トラブルらしいトラブルもなく完成しました。  お客様によるとコンペの際、他社の提案は9カ月線表 だったとのこと。 それほどの差があったとは知りませんでした。

 8 月30日(月)にITproに掲載されたコラム「今ど きのネットワーク・コンサルティング」のアクセスランキングです。

    

 
10月18日ITproEXPO2010講演「3つのポ イントで考える次世代企業ネットワーク−新型広域イーサ、スマートデバイス(iPad等)の活用−」   
 
記事評「もっとよく知るLTE」(日経コミュニケーション2010年9月号)

 
LTEを「魅力」、「速度」、「端末」など2ページづつ、10項目解説する、というスタイルの特集記事です。  1項目の分量が少ないの で読みやすく、技術的に細かなことに深入りしていないので「文学的理解」を旨とする私にはピッタリの記事です。  ただ、項目として「アプリケーション」 というのを入れて欲しかったですね。  ドコモが低遅延を活かしたアプリケーションを開発中、などと書いてあるのですが、具体的にどんなアプリなのか知り たいものです。

 LTEには速度によって10Mのカテゴリー1から、300Mのカテゴリー5まであること、 各カテゴリーで使用する周波数幅、変調方式、MIMOが2つ の表で整理されており、技術的な全体像がコンパクトにまとまっています。

 ユーザにとってどんなメリット(魅力)があるか、が一番大事ですが、LTEの特徴は広帯域(高速)で、低遅延であることです。  この2つがメリットを もたらすかどうかです。  情報化研究会の会員でもある津坂さんは「UQコミュニケーションのWiMAX(40M)のこれまでの実績を考えると、単に高速 というだけでユーザを引きつけられるか疑問だ」とコメントしています。 私はそうは思いません。 

 まず第一のメリットとしてこれまでどおりのアプリケーションが快適に使えるようになります。  企業ネットワークの設計は帯域幅のコストが高かった10 年前にはデータを一定時間内に流すために必要な最小限の帯域幅を計算し、それをカバーする最安値の回線を選択していました。  今の設計は違います。   帯域幅は流すデータ量に無関係ではありませんが、そのコストが大幅に安くなった結果、「たっぷりと」帯域幅をとってクラウドサービスでアプリが軽やかに動 いたり、プリントデータやPDFのダウンロードも瞬時に出来るように「ゆったりした」帯域設計をします。 広帯域であることそのものがユーザにとってメ リットなのです。

 第二のメリットとして新しい用途が広がります。 典型的なのがシンクライアントです。 現在の3Gは遅延が300ミリ秒〜500ミリ秒あります。   イーモバイルを使って、シンクライアントPCでパワーポイントのプレゼンをしたことがありますが、イライラするほど画面表示が遅くて実用にたえません。   ドコモだって同じです。 LTEは遅延が「数10ミリ秒」という書き方がされていて、100ミリに近い数10ミリなのか、10ミリに近いのか分かりませ んが、おそらくシンクライアントをストレスなく使える程度にはなるでしょう。 

 第三には思いがけない新しい使い方です。  これはここに書けませんが、LTEという高速・低遅延なパイプを空中に張ってくれれば、あとは端末とサーバ でユーザが好き勝手、面白い使い方を始めればいいのです。 面白いことがいっぱい始まると思います。

  ただ、LTEはドコモが今年12月から始めますが、面積カバー率の低さが気になります。  7月の第一四半期決算発表時の情報は「2010年度内に東 名阪を中心に約1000局、人口カバー率7%とし、2011年度末に県庁所在地級都市に約5000局、同20%、2012年度末までに全国主要都市に約1 万5000局、同約40%とする計画である」となっています。 2012年度末で人口カバー率40%、ということは面積カバー率は10%程度です。   2012年度末になっても日本の国土の90%でLTEは使えないのです。  人口は都市部に集中しているため、人口カバー率と面積カバー率には大きな差が あるのです。  ちなみに人口カバー率90%だと面積カバー率は約50%です。  

  ドコモのカバー率が低いことに加えて、KDDI、ソフトバンク、イーモバイルがLTEでのサービスを始めるのは2012年末頃からなので、LTEが全 国で使えるようになる時期はまだまだ先ということです。  今考えるべきは、LTEは当面ドコモが重点的に投資するという都市部でしか使えない、その前提 で有効な利用方法は何だろうか、ということです。

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  tuguhiro@mti.biglobe.ne.jp


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