間違いだらけのネットワーク作り(622)2010/01/16
記事評「KDDIの次世代ネットワーク」

 今週は月曜日が祝日で4日しかなかった上に、客先での2日にわたるデモをしたり、別のお客様で2時間のプレゼンをしたりとあわただしく過ぎました。 も う1月が半分終わったのですね。 さて、今週は久しぶりに日経コミュニケーションの記事評を書きます。  1月15日号を見てちょっと驚いたのは毎月2回 発行されている日経コミュニケーションが5月から月刊、つまり月1回の発行になるというお知らせが出ていたことです。

 
間違いだらけの ネットワーク作り(590)2009/05/30こんなことを書きました。 「やはり特集記事は記者が思いを込めて 書いたものの方が読み応えがあります。 そう言えば、昔は日経コミュニケーションも日経NETWORKと同じように月刊でした。  2週に一度発行するよ うになったのが何時からかは分かりませんが、速報性を高めるために月刊から変えたのでしょう。 でも、速報性はITproで満たされているのですから、雑 誌の方は月刊で読みごたえのある記事をじっくり書いてくれた方がいいのではないか、と思いました。 月刊から2週刊に変えたときも料金は同じだったのです から、月刊に戻しても料金は同じでいいでしょう。 日経コミュニケーションの健闘を祈ります。」   別に私の意見が採用された訳ではないでしょうが、私 は月刊化に賛成です。  ただし、読み応えのある記事を記者が書いてくれることが条件です。  1月15日号の特集「KDDIの次世代ネットワーク」は日 経コミュニケーションらしい記事で20ページもの特集を一人の記者が書いているのも立派です。  業界を代表する雑誌である日経コミュニケーションはネッ トワーク業界の元気の良さを表わすバロメータです。  どんどん発展することが業界を元気づけることにもなるので、ぜひ、頑張って欲しいです。

記事評「KDDIの次世代ネットワーク」


 まずこの記事が有難かったのはIMS、MPLS、といったしばらく頭の中に浮かべることもなかったテクニカルタームを思い出させてくれて勉強になったこ とです。  NTTのNGNはすっかり話題にならなくなって、NGN関連の言葉からも遠ざかっていたので、記憶をリフレッシュすることが出来ました。 

 KDDIの次世代ネットワークについての感想は「古い資産を抱えたまま、新しいものもやらねばならないキャリアは大変だ」ということです。  これは KDDIに限らないことです。  企業ネットワークの設備、ルータやスイッチは10年前と比較すると一桁安くなりました。  ネットワークを更改して3年 もすれば投資の回収は出来、機器を更新して新しい通信サービスを使った次のネットワークに移行することが出来ます。  しかし、「通信サービス」のために 膨大な投資をしているキャリアは3年で設備を捨てて、次の設備に更新することなど出来ません。  

 古い資産として印象に残ったのはATMと回線交換ベースの携帯電話です。  2012年末の時点でもATMが残る、というのに驚きました。  ATMが 企業ネットワークで全盛だった時期は97年から2000年くらいまでのわずか5年たらずで、あっと言う間に表舞台から消えました。  高くて、複雑で、扱 いづらいからです。  それが2012年でも必要なのはユーザが多いからなのか、KDDIの網の中でまだ必要なのか? いずれにしても非効率だと思いまし た。

 回線交換ベースのcdma2000による携帯電話も、LTEが始まる2012年末以降も残るそうです。  設備投資の回収が終わらないからです。  し かし、LTEでワイヤレス・ブロードバンドがさらに高速になり、低遅延になると私たちユーザは音声もLTE上でVoIPとして扱いたくなります。  すで にアメリカではAT&Tが当初禁じていたiPhoneによるデータ通信を使ったVoIPを昨年認めました。  日本でも日本通信がドコモのデータ通信サー ビス上でVoIPを始めています。  LTE端末の上にSkypeでも載せておけば電話の基本料金は払わずに電話が取り込めます。 電話に限らずテレビ会 議やIMと統合したサービスも、キャリアにたよらず、企業が独自に作ったり、第三者がサービスとして提供することも簡単です。 

 さて、この記事を読んでKDDIの網の仕組みが勉強出来たのですが、企業ユーザにとって役立つ情報があるか、という見方をすると残念ながらあまりないで すね。  「KDDIは次世代ネットワークをこう考えている。 企業ネットワークでも○○のアイデアは使えるから参考にしてはどうか」とか、「これからの KDDIのサービスはこんな特徴があるから、企業はこんな用途で使うとメリットがある」といったことも書いてあると良かったですね。

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