間違いだらけのネットワーク作り(615)2009/11/21
記事評「検証!10年目のフレッツ」

 
水曜日、会社帰りに立ち寄った高田馬場の芳林堂で、片岡義男さんのエッセイを買いました。  この人の本を手に取ったのは初めてです。   毎日寝る前に本を読むのが習慣なのですが、ほとんどエッセイしか読みません。  しかも、ひいきにしている作家しか買いません。  でも、ひいきの作家 の新刊がいつもあるわけではなく、さて、どうしようと棚を眺めていると片岡さんの本が数冊ならんでおり、それらの表題からすると自分の好みに合いそうだと 感じたので、「ピーナツ・バターで始める朝」という本を買いました。
 やはり、合っていました。 とくに最初の方にあった「瀬戸の潮風、うどんの香り」というエッセイには共感しました。  この人はなぜか四国が好きなよう で、瀬戸大橋が出来る以前に10数回も四国を訪れています。  通常の観光旅行ではなく、汽車に乗って、ただ車窓から風景を眺めるのが目的です。  電車 と書かず、汽車と書いたのは瀬戸大橋以前に四国には電車がほとんど走ってなかったからです。 
 瀬戸大橋がない時代、四国と本州は香川の高松と、岡山の宇野を結ぶ宇高連絡船で結ばれていました。 乗船時間はちょうど1時間で、私も大学時代、帰省の 度に乗っていました。 宇野から連絡船に乗り荷物を座席に置くと、すぐに後甲板に上がるのが決まりでした。  そこにはとてもおいしいうどんの店があった のです。 もちろん、立ち食いで、客はどんぶりを受け取ると甲板のそこここで瀬戸内海の風にあたり、青い海に浮かぶ、緑の島々を眺めながら食べていまし た。  乗船してすぐにうどん屋に行ってもすでに行列が出来ており、数分待って一杯目を受け取って食べ終わると、また列に並んで必ず二杯食べるのも習慣で した。 ほぼ同じようなことを片岡さんもやっていたのです。 
 連絡船がなくなってからも、高松駅構内には立ち食いのうどん屋があります。  おそらく、連絡船と同じ味を出していると思うのですが、試したことがあり ません。  麺は平凡ですが、いりこ(イワシの干物)と昆布で取った出汁が絶品だったのです。

記事評「検証!10年目のフレッツ」(日経コミュニケーション  2009.11.15)

 
日経コミュニケーションらしい特集で、14ページの力作です。  まず、「そういうことだったのか」と面白かったのはフレッツがなぜ出来 たか、という理由です。 フレッツはいくつかの網から構成されていますが、一番大きな要素は県単位で作られている地域IP網です。  地域IP網が作られ た理由がフレッツが作られた理由と言っていいでしょう。 「(インターネットの)ダイヤルアップ・ユーザーの急増に対し、電話回線の長時間接続で生じる交 換網の負荷を軽減するため構築された」とのこと。  常時接続の需要がどの程度あるか分からなかったため、すぐ撤退しても困らないように低コストの網を随 時拡張する手法を取ったのだそうです。  結果、民生品であるいろんなメーカーの機器が混在し、保守・運用が大変になった。

 対してNGNは将来の最大ユーザ数を想定した性能を設定し、トップダウンで設計されているとのこと。  ネットワーク機器はキャリアクラスで、仕様は統 一。  電話とインターネットのトラフィックは分離せず、共通なIP網を使う。  フレッツは3年後にNGNインフラへ統合されるそうです。  良く言え ばインターネットの急増に器用に対応した、とも言えるし、ツギハギで対応したとも言えるフレッツが、きちんとした形へリセットされるということです。

 フレッツはコンシューマーに対してはインターネット接続で貢献して来ましたが、企業にとっては安価で高速なVPNサービスとして重宝な存在になりまし た。 企業ネットワークばかりやっている私の感覚ではすごく使われている、という感じなのですが、実際はフレッツ1200万加入に対して、VPN契約数は 20万に達していないというのは意外でした。  旧フレッツでは何種類もあるVPNサービスが、NGNではCUG型のフレッツ・VPNワイドと事業者向け のセンタ型であるフレッツ・VPNゲートに集約されます。

 これからのことで注目されるのは10月にNTT東が始めた最大200Mのフレッツ光ネクスト・ハイスピードタイプです。 フレッツ光・ネクストのONU のほとんどは1Gに対応しているのですが、ファームで100Mに抑えていたそうです。 ハイスピードでは遠隔操作で1Gポートを解放するそうです。    1Gを200Mに抑えるのはエッジルータで、対象となるユーザのPPPトンネルの速度を規制するとのこと。  その気になれば、いつでも最大1Gのベスト エフォートサービスが可能ということなので、1Gがいつ始まってもおかしくないですね。

 これまでのBフレッツは最大100M、実効上は30Mくらい出ていました。  その結果、広域イーサやIP−VPNの出る幕が減ったのですが、ハイス ピードタイプともなればますます高いサービスの出番は減りますね。  

 最後に数字を並べて見ましょう。 21年度版情報通信白書にある20年度末の数字です。  固定電話加入数 4100万、 携帯1億、 ブロードバンド (FTTH、DSL等)3000万。 フレッツ 1200万。  NGN 100万。 こう見ると、コンシューマー・マーケットでのフレッツのインパクト は少なく、むしろ企業向けサービスで大きいと思うのですが、どうでしょう。   


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