間違いだらけのネットワーク作り(578)2009/02/28
有償版Gmail研究C「自滅して欲しくないGmail

 23日月曜日に掲載されたITproのコラム、「Gmail のメー ルボックス25ギガバイトは有用か?−メール再考」のアクセスはかなり多かったようです。 

      
 
 明治記念館での講演、3 月12日講演「常識を捨てて考えるIT基盤と企業ネットワーク」まで2週間たらずになりました。  明治記念館に行くのは昨年5月に出版記念パーティをやって以来なので楽しみです。 講演が終わったら、会場に来ている方ときれいな庭を見ながら、ビール でも飲みたいと思っています。  昨年は大手通信機器メーカーの若手エンジニアの方3人がなんとなく名残惜しそうに会場に残っていたので、一緒にビールを 飲みました。 それぞれ別の会社の人でしたが、面白かったです。  今年はどんな人と会えるのか、これも講演の楽しみの一つです。

 
有償版Gmail研究C「自滅してほしくない Gmail

 
有償版Gmailへの関心を盛り上げて、メールシステムの見直し気運を高めたいと思っているのですが、今週は盛り上げムードに冷水を浴びせるよう なトラブルがありました。

Gmail の不具合について(2月24日22時37分)

Gmail 復旧についてのご報告(2月25日0時44分)

Gmail 復旧についてのご報告(2)(2月26日13時30分)

 障害は日本時間の2月24日18時30分から約2時間半続いたそうです。  日本ではビジネスアワーがほぼ終わっていたので、東急ハンズさんやユニ チャームさんなどのユーザーは影響が少なく、不幸中の幸いと言えるでしょう。 ちなみに、JTBさんはまだ検討中の段階なので無関係だったはずです。 

 メールがビジネスにおけるコミュニケーション手段の主役として定着して10年以上経っていますが、会社のメールシステムが2時間以上もダウンした経験の ある人などほとんどいないのではないでしょうか。  記憶に残っているのは2003年の夏に流行したブラスターとその亜種のウィルスで多くの企業でネット ワークがパンクし、メールだけでなくあらゆるコンピュータが使えなくなった、という被害があります。 でも、これはメールシステムのトラブルではありませ ん。

 Googleの障害報告を読んで思うことを書きならべてみます。 
@無償のサービスも、有償のサービスも可用性が同じでいいのか?
 年間6000円の料金を払うユーザーからすると納得できるとは思えません。

Aこんな簡単な報告で企業ユーザーは納得しない 
 今やメールは基幹系システムと同じくらい重要です。  自分がメールシステムを提供しているお客様で同様のトラブルが起こったことを想像するとぞっとし ます。  万一にもこんなトラブルを起こしてはいけないのですが、もし起こったらその障害報告には「障害事象と影響範囲の詳細」、「解析と対応の経緯」、 「原因と対策」、「再発防止策」をお客様が納得できる深さで書かなければいけません。  「同様の不具合が二度と発生しないようにサービスの改善を継続していきま す」などと書かれても納得など出来ません。  具体的に何をどうするか書かれてないからです。 そもそも再発防止策というのは「同様」のトラブルを起こさ な い、だけでは不十分です。  トラブルの直接的原因をなくせば、同様の障害は防止できます。  しかし、直接的原因のさらに奥にある根本原因が取り除かれ ないと、「同様でない」トラブルが起こります。  根本原因とは、そもそも運用品質を向上させるための組織や取組が弱い、といったことです。

B「規模の経済性」は「規模の脆弱性」を伴うのではないか
 Googleに限らず、クラウドは規模の経済性を発揮できることにその最大のメリットがあります。  しかし、企業が個別に持っているアカウント数がせ いぜい万単位のメールシステムの信頼性を高めたり、稼働率99.99%といった可用性を実現するのは簡単でも、Gmailのようにアカウント数が億単位 の、しかも分散型のメールシステムの信頼性や可用性を保つことは至難の業ではないかと思います。  つまり、規模が大きくなりすぎると、規模の脆弱性が高 まると思うのです。  このことはいずれまとまった形で文章にしたいと思います。

 書きならべるつもりだったのですが、長くなるので3つで止めます。 Googleがすばらしい技術、驚異的な技術を持っていることを疑う人はいないで しょう。   しかし、作る技術と運用する技術は性格が違います。 今回のトラブルでGoogleは信用を大きく損ないました。  大事なことは、今後6か月以内 に、同規模の重大なトラブルを起こさないことです。  もし、起こしたら致命的なブランドの傷になるでしょう。  それが防げるかどうかは、芸術的なソフ トウェア技術ではなく、どろくさい人間系を含む運用技術とシステムが確立されているかどうかだと思います。

 Gmailが自滅せず、企業のメールシステムの新しい選択肢として健闘することを期待しています。  私は別のものを推奨しますけど。

有償版 Gmail研究特集

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