間違いだらけのネットワーク作り(571)2009/01/10
「JTBのGoogleApps利用に関する疑問」

 昨年7月の研究会旅行で作った備前焼が12月のはじめに窯で焼かれ、年末に手元に届きました。  11人がまったく同じ粘土を使って作ったのですが、備 前焼は窯変(ようへん)といって焼くことで様々な模様や色が出るのが特徴です。  7人の作品を展示し たので、見てください。  器の形は作った人の個性が表れます。  形を作るのは作為なので、当たり前です。 面白いのは偶然できる模様や色も、なぜか 作った人の個性が映っているように見えるのです。  会員以外の方は作った人を知らないので分からないのですが、私は全員を知っているので「個性的な人の 作品は、色や模様も個性的だなあ」と分かるのです。  

 ネットワークという眼に見えないものをいつも相手にしていると、焼き物のように形があって、見えて、触れるものがとても魅力的に感じられます。  次の 機会にはもっとたくさん、いろんなモノを作ってみたいものだと思いました。
 
 
「JTBのGoogleApps利用に関する疑問」

 日経コンピュータ1月1日号にJTBの GoogleApps利用についての記事が載っていました。  面白いですね、研究材料として。  先週の記事に 書いたとおり、私は「大企業はオープンソースを使いこなせるくらいの自立性を保つべきであり、ベンダー依存症候群に感染してはいけない」という意見の持ち 主です。  JTBがベンダー依存症候群にかかっているかどうかは分かりませんが、この記事を読んで頭に浮かんだ感想や疑問を羅列すると、こうなります。

「13000アカウントで5年間の総費用が7億円から9億円。 ちっとも安くないじゃないか」

 日経コンピュータの記事にはアカウント数が出ていませんが、別の記事にはグループで13000アカントと出ています。  この規模で5年で7-9億円な んて、ちっとも安くありません。 MS Exchngeだと20億円と書いていますが、これはMSがあまりにも高すぎるのです。  また、MSを使うと 20億円 と金額を特定し、Googleだと「7億円から高くて9億円」という言い方は不自然です。 GoogleAppsの導入が正式決定しているなら、金額だっ て確定しているはずです。  それとも金額が30%もぶれる可能性があるのに決定したというのでしょうか?  


「移行はどうするんだろう?  13000人一斉移行はムリだろうし、段階的に移行するのも大変そうだ」

  xxx@jtb.co.jpといった現在のメールアドレスを変えることなく、自社メールシステムからgmailに移行するのは大変だと思います。   外部からJTBへ送信されるメールは途絶えることなく、常時流れ込んで来ます。  その状況下で段階的に移行しようとすると、移行期間中は同じ@jtb. co.jpというドメインを使うユーザーが現行のExchange側と、gmail側の両方に存在することになります。  外部からのメールを移行前の ユーザー宛ならExchangeで受信し、移行済みユーザー宛ならgmailで受信する、という仕組みをどうやって実現するのでしょう? (自社システム から自社システムへの移行なら、この問題は簡単に解決できます。)

  移行については他にも、「途切れることなく送信されてくるメールを1通も取りこぼすことなく切り替える方法」、「エンドユーザーに手間をかけさせない 工夫」、「切り替え前までにユーザーのメールボックスに蓄積されている受信メールや送信済みメールをgmailに移行する方法」といった「知りたいこと」 があります。

「Googleにサポート体制があるのか?」

  上記のような移行をしようとすると、移行方式、試験方法、スケジュール等々についてJTBとGoogleは詰めなければいけません。  つまり、 GoogleはSIに近いサポートが必要なのです。 ここがコンシューマー相手の仕事と違うところです。  大企業に対して十分な対応が出来る体制がある のでしょうか?  

「運用はどうするんだろう?」

  メールをSaaSにリプレースしたとしても、企業で使う限りメールアカントをエンドユーザーに好き勝手に登録させたり、削除させる訳には行きません。   メールアカウント申請などの管理をするシステムはGoogle側で用意されているのか、それともJTBで作るのか?  作るとしたら、それと gmailの連携はどうするのだろう?  いずれにしろJTB側で運用する人件費がかかるが、それはどの程度なのだろう?

「セキュリティはどう守られるのだろう?」

  企業の経営上の機密情報や、顧客情報といった重要な情報がgmailで扱われ、しかもどんどん蓄積されます。  この情報をGoogleに勝手に利用 される恐れはないのでしょうか?   

  他にもいろいろ疑問はあります。 今後、専門誌が細かくJTBのgmailについて報道してくれることを期待します。  よく研究して客観的なメリッ トがあるなら、大企業も中小企業もどんどんgmailを使えばいいと思います。 どんなものにもメリットとデメ リットがあります。 いいことだけの報道は誤った選択を招くので止めて欲しいですね。  得られるメリット−デメリット=客観的メリット、で す。



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