間違いだらけのネットワーク作り(570)2009/01/03
「2009年企業ネットワークのキー・ワード」

   謹賀新年
     
   
  
水辺でノンビリくつろぐ水牛。 昨夏、家族旅行で訪れた沖縄で撮影
   
 新年、おめでとうございます。  今年がネットワークに関わるすべての方にとって、幸多き年となるよう祈念します。
 投機的なビジネスをする金融界の連中が引き起こした100年に一度と言われる経済危機で、暗い年明けになりました。
企業は投資抑制とコスト削減に走っており、ネットワーク・ビジネスも苦戦は避けられません。 
どんな提案をすればユーザーにメリットがあり、ネットワーク・ビジネスをする者も利益をあげられるのか、知恵の絞りどころです。

 今年は情報化研究会が1984年に発足してちょうど25年、京都研究会を2000年から始めて10年目の節目の年です。
不況など吹き飛ばしてやる、という勢いで盛大な記念研究会を4月4日(土)に京都で開催します。 講師はすでに3人決まっています。
ミスミグループ本社代表取締役副社長 有賀 貞一氏、近畿総合通信局長 稲田 修一氏のお二人と私です。 お二人とも古くからの
メンバーです。 有賀さんは野村総研常務、CSK代表取締役を歴任し、昨年ミスミに移られました。 「2007年問題」という言葉を
作ったことで知られています。  稲田さんは総務省で電波政策課長はじめ、電波行政のキャリアが長い方です。

 あと一人、若手のゲストスピーカーをお願いしたいと思っています。 研究会全体としてネットワークの世界の閉塞感を吹き飛ばすような、
面白い内容にしたいと思います。 また、研究会終了後には25周年記念パーティを行います。

 2月上旬には詳しい案内が出来ると思います。 ご期待ください。
 
「2009年企業ネットワークのキー・ワード」


 
今年はどこに焦点をおいて企業ネットワークを企画・設計すればいいのでしょうか。  そのキー・ワードを3つに絞って取り上げます。 仮想化と か、クラウドといった誰もが取り上げるキー・ワードはあえて取り上げませんでした。

グローバル・プロキュアメント

 
グローバル・プロキュアメントとは、ネットワークを使って世界中から様々な資源を調達することです。 ITproのコラム「企業 ネットワークの第三の目的とは?---東京のユーザーが東京電力の電気を使わないでサーバーを動かす法 」で述べたとおり、国内にしか事業所のな い企業でも米国のデータセンターにハウジングした方が経済的な状況になりました。 土地・建物、電気料金、人件費等が日本よりはるかに安く、グローバルな ネットワークも安価に使えるようになったからです。 海外のSaaSやPaaSを使うのもグローバル・プロキュアメントです。

 日本の企業にとってコンピュータ資源やそれに関連する資源をネットワークを使って世界のどこから調達するか、というのは重要な検討課題になりました。   これは製造業が工場を海外に移転したのと同じで、企業の情報処理工場をどこに置くか、ということです。  不況によるコスト削減圧力の高まりは、グロー バル・プロキュアメントを進める強い動機になるでしょう。

オープンソース

 
今やソフトウェア開発でオープンソースを使うのは当たり前になりました。 典型的なオープンソースを使ったシステムをLAMシステムと呼 ぶそうです。  Linux、Apache、MYSQLの頭文字をとったものです。 これらはアプリケーションを作る部品ですが、アプリケーションそのも のもオフィスソフトやコミュニケーション・ツールなど、様々なものが使われるようになりました。 今年はオープン・ソースの活用がさらに広がると思いま す。

 これからの企業IT部門はオープンソースをうまく活用できるところと、出来ないところに二極分化するでしょう。  オープンソースを活用できる企業は、 すべ てを自社で開発しないまでも、いざとなったらソフトを自作できる人材を育成している企業です。  典型的な例が積水化学さんです。  オープンソースを百 数十組み合わせ、ユーザインタフェースを自作してメール/グループウェアを開発し、グループ2万人で使っています。 大企業で使うのに十分な機能を 持ち、コストは市販ソフトよりはるかに安価です。 積水さんのような自律的なユーザーはオープンソースに限らず、製品やサービスを自分で選択する力を持っ て います。

 対極にあるのがベンダー依存症候群に感染した企業です。  IT人材を育てず、ブランド品のパッケージやSaaSを有難がり、いつの間にかそのベンダー の世界に取り込まれて製品やサービスを選択し、リプレースする力がなくなってしまう。  ベンダーの奴隷です。

 IT経費そのものが少なく、人材もいない中小企業はパッケージやSaaSを利用するのが正しい選択かも知れません。 しかし、毎年十億円単位以上の予算 を使う大企業は自律的にオープンソースを使える力を保つべきだと思います。 「所有から利用へ」などという響きのいい言葉をうのみにするのでなく、「ベン ダー の奴隷にならないために所有すべきものは何か」を意識すべきです。


NGNとインターネット
 
 昨年3月にサービス開始されたNGNはサービスエリアの狭さもあって盛り上がりませんでした。 2009年はエリアが拡大し、NGNの特徴を生かした新 しいサービスが登場して、立ち上がり始めるのではないでしょうか。  そこで、ユーザーの立場でもう一度明確にしておきたいのがNGNとインターネットの 関係です。

 日本は世界的にもインターネット大国だと思います。 アプリケーションのオリジナリティやコンテンツの豊富さは英語圏に劣るとしても、ブロードバンド環 境の整備が進んでおり、インターネットを快適に使えるという点では世界一です。 そのブロードバンドにおいてNTTはほぼ半分のシェアがあり、光ファイ バーにおいては7割のシェアを持っています。  インターネットへのNTTの貢献度は高いと言えるでしょう。

 このことはNGNが普及したら変わるでしょうか?  たぶん変わらないと思います。  NTTが公表している計画では2010年に光ファイバー2000 万加入、そのうちNGNが半数です。 これらは従来のフレッツ同様、インターネットのブロードバンド基盤として重要な役割を果たすでしょう。  その意味 でNGNとインターネットは補完関係です。  では、ユーザーはインターネットとNGNに閉じたサービスをどう使い分けるのが賢明なのでしょうか?  こ の問に対する答はまだ見えません。  「NGNならでは」のサービス、というのがまだよく見えないからです。 

 我々ユーザーとって、NGNの動向を注視しNGNとインターネットの上手な使いこなしを探っていくことは今年の大事な課題です。 たとえば、SaaSは これまで通りインターネットの上で使っていればいいのか、NGNに閉じた環境で使った方がいいのか、といった問に対する答が必要です。 


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