間違いだらけのネットワーク作り(563)2008/11/15
「Amazon型クラウドvsGoogle型クラウド」

  今週木曜日に20年ほど前の職場で一緒だったメンバーが3年ぶりに集まり、ワインを飲みました。  20年というのはけっこうな時間で自分はそんなに年を とった気がしなくても、かつて23歳の新人だった彼が40代半ばになって老眼鏡をかけている、と知ると愕然としました。  当時は皆、ネットワークの仕事 をしていたのですが、今もネットワークをやっているのは私だけです。 しつこいですね。 20年でネットワークの世界はガラッと変わりました。  一番の 違いは当時はマルチプロトコルだったのが、現在はIP一色になったことです。

 当時設計した銀行ネットワークではHDLC、SDLC、ベーシックなどシステムによって異なる複数のプロトコルを使っているのが普通でした。  これら のプロトコルをIPではなく、X.25のパケットにカプセリングしてデータ系ネットワークを統合していたのです。  多様なプロトコルに精通していること が大きな強みになる時代でした。  今はIPオンリーなので、ネットワーク・レイヤで求められるテクニックはコモディティ化が進みました。  というか、 20年前はネットワークを仕事とする人が今と比較するとごく少なかったと思います。  ネットワークがシステムの基盤として重要なものとなり、それを仕事 とする人も爆発的に増え、コモディティ化のスピードも加速されたのでしょう。

 ルータレス・ネットワーク→東京ガス・IP電話→ネットワーク・リストラ→コンバインド・コミュニケーション、と新しいネットワークの活用アイデアを提 案することで、私はコモディティ化の波より先の位置でネットワークの仕事を作って来ました。 次は「グロー バル・プロキュアメント」をものにしたいのですが、さて、どうでしょう。

 木曜日に飲んだワインはブルゴーニュの白から入り、ブルゴーニュの赤、ボルドーの赤とだんだん重くしました。  このセレクションは評判が良かったで す。 

 11月17日(月)にITproの新しいコラムが掲載されます。 「国宝・閑谷学校で考 えたネットワークの未来」です。 是非、お読みください。 


「Amazon型クラウドvsGoogle型クラウド」

 
クラウドはグローバル・プロキュアメントの手段の一つです。  ネットワークより上位のプラットフォームやアプリケーション、あるいはレイヤ・ ゼロとも言えるデータセンターまで提案しないとグローバル・プロキュアメントは実現できません。 そんな必要性から、クラウドについても勉強中です。    今週は勉強のメモと感想を書きたいと思います。

 クラウドには3つの階層があり、ハードウェアの提供を主眼とする下位レイヤのHaaS(Hardware as a Service)、仮想インフラ管 理や自動スケールアウト、DBなどを提供する中位レイヤのPaasS(Platform as a Service)、アプリケーションまで提供する上位 のSaaS(Software as a Service)があります。

   仮想サーバ、仮想ディスクを提供するAmazonのEC2(Elastic Compute Cloud)、S3(Simple Strage  Service)は名前のとおりHaaSです。  対してGoogleのGoogle App EngineはPaaSとして独自のAPIでDBまで提供 しています。  Amazonのサービスはすでに2006年から始まっており、GoogleAppEngineは2008年4月から試行されています。

 Amazonの特徴は仮想ハードウェアなので、ユーザーは現在のシステムをそのまま移行できるというメリットがあります。  ちなみに、現在のシステム の典型的な環境をLAMPと呼ぶそうです。 Linux、Apache(Webサーバ)、MySQL(sunが提供するオープンソースのDB)、PHP、 Perl、Python(3つともプログラミング言語)の頭文字をとったものです。  デメリットはシステムやDBの初期設定、トラフィックの増大に伴う チューニングをユーザー自身でしなければならないことです。  運用のわずらわしさから解放されない、ということです。 もっともAmazonの環境の上 でサーバやディスクの自動拡張などを可能にするサービスを提供するベンダーが現れており、それを使えばこの問題は解決できます。

 Googleのサービスではユーザーはアプリケーションだけを作ればよく、データベースの拡張やCPUパワーの増強を心配する必要がないのがメリットで す。 デメリットはGoogle独自のAPIでアプリケーションを作らねばならないこと。  したがって、現在のシステムをそのまま移行することは出来ま せん。

 クラウドはこの2社の方式に限られるものではなく、コンピューター・べンダーやSaaSベンダーの方式もあります。  クラウドが企業のあらゆる利用 シーンに適しているとは思えませんが、これからの選択肢として考えないわけには行かないでしょう。  自社の業務の何がクラウドに適するのか、クラウドの 方式、ベンダーはどれを使うのか、など、これから研究すべきテーマは多いですね。

 ただ、企業ネットワークの設計ポリシーと同じで、Amazonを使うにしろ、Googleにしろ、ユーザーが主体性を失わない工夫が必要です。  クラ ウドに依存しすぎると、突然料金を値上げされたり、サービスを変えられても文句が言えなくなります。  いざとなったら、クラウドからふつうの環境に自分 で戻せる、あるいは他のクラウド・ベンダーに移行できる、そういう選択肢を確保できる範囲でクラウド化を進めるべきでしょう。  

 

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