間違いだらけのネットワーク作り(558)2008/10/11
「KDDIの次期法人ネットワークとは?」

 テレビ・ドラマの新しいクールが始まりました。  今週は「ハケンの品格」と同じ脚本家が書いた「OLにっぽん」(日テレ水曜10時)、倉本聡の脚本で 緒方拳さんの遺作となった「風のガーデン」(フジ金曜10時)、先週はNHK朝ドラの「だんだん」。  どれも出来がいいですね。   もっとも、朝ドラ は土曜日しか見られないのですが、週1回見ればストーリーは見失わないですむくらい、単純です。  単純ですが京都祇園と出雲という、私の好きな土地が舞 台になっているのと、コメディ色があって、いろいろあるけど最後はハッピーエンドに違いないと分かるところがいいところです。  主演の双子、まな・かな は96年の「ふたりっ子」以来、12年ぶりの朝ドラ出演です。  このドラマは女の子がプロの将棋棋士になる話で、将棋好きな私はよく見たものです。   今回は事情があって、自分に双子の姉妹がいると知らずに出雲と祇園で暮らす二人が偶然出会って双子であることを知り、デュエット歌手を目指す、というス トーリーです。 
 夢があって、元気にそれに向かっていく若者は見ていて気持ちがいいです。  たかがドラマと馬鹿にするなかれ、ドラマの中にもいろんなメッセージがつ まっています。 安っぽい小説よりよほど価値があります。



「KDDIの次期法人ネットワークとは?」

 
KDDIが新しい法人ネットワークサービスの構想(提供は来夏)を発表しました。
 
  次 期法人ネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」について
 
 名前がカッコいいので、すごく画期的な内容なのかな、と興味を持ち、9月30日に目黒で行われたセミナーの資料を入手して読みました。  結論を言え ば、NTTコミュニケーションズの統合VPNと同じような発想のサービスで、名前ほどインパクトは感じません。 

  サービスとして目新しいところは3点
@トラフィックフリー機能
Aアクセスダイバシティのプラグイン化
B宅内ルータレスの実現(ルータレスなんて、2001年から私が使っている言葉を無断で使われました。 まったくかまいませんけど)

 トラフィック・フリーというのは1本のアクセス回線をデータセンター向けの論理パスと拠点間のパスに分割し、データセンター向けトラフィックは契約帯域 を超えてバーストしてもよい、というサービスです。 データセンターへのシステム集中が進んでいることに対応したものですね。  バースト時に必要な広い 帯域の回線を契約しなくても済む、というメリットがあります。 しかし、これは今後発表される料金がいくらか、バーストがどの程度連続した時間許されるの か、で判断しないと「メリットの大きさ」は分かりません。 auの定額データ通信サービスのようにバーストの制約が強いのでは意味がありません。  で も、新しいアイデアである点は評価できます。  

 アクセスダイバシティは安いFTTHを使って簡単にダイバシティが出来ますよ、というサービス。 私が積水化学さんなどでやっている広域イーサと FTTHを併用するやり方を、キャリアがやってくれるということです。 でも、積水さんではメインの広域イーサとFTTH(Bフレッツ)はロードバランス させ、広域イーサは大事なトラフィックだけ流し細く、安い回線ですませる、Bフレッツは平均30Mくらい情報系などのトラフィックをどんどん流す、という 設計です。  KDDIの新サービスはロードバランスは出来るのでしょうか?   1Gの「ギガ得プラン」を使うとさぞやスピードが出るでしょうから、 そっちにメインのトラフィックを流すと効果的でしょうね。  もう一つ。 企業はダイバシティには異経路化のため、キャリア・ダイバシティを求めます。   KDDIは自社の光ファイバと、他社(NTT等)の光でキャリア・ダイバシティはするのでしょうか? FTTHにギガ得プランを使うと、キャリア・ダイ バシティをとるためにはメインはNTT等の光ファイバにしなければいけません。 これは出来ないでしょうね。

 ルータレスはルータをどこに置くかの問題だけだし、どこに置こうが管理は一元化できるので、さしたるメリットは感じません。 ルータがなければ箱がいら ないかというとそんなことはなく、光ファイバの終端装置やイーサネット・スイッチは必要です。 

 NTTコミュニケーションズの統合VPNも、KDDIの新サービスも発想は同じです。  キャリアの持っている、色々な回線をキャリアが組み合わせで 「一つに見せかけて」(=VPN)提供するのでユーザーは楽ですよ、ということです。 NTT東西のフレッツVPNワイドも同じ発想ですね。  問題は企 業が1つのキャリアにすべてをゆだねて、そのキャリアの持つリソースだけで現在も将来も、ベストなネットワークを保てるか、ということです。

 私はこれらの統合型サービスも企業ネットワークの部品の一つに過ぎないと思います。 たとえば、2種類の統合型サービスの回線で、拠点の回線を二重化す れば完璧なキャリア・ダイバーシティが組めます。 もっとも、そんな提案をするつもりはありません。 これまでは広域イーサネットやIP−VPN、Bフ レッツなど、「素材」に近いものが企業ネットワークの部品だったのですが、素材をキャリアが組み合わせた「製品」的部品が登場したということでしょう。  建物で言えば、ユニット・バスやシステムキッチンのようなものです。

 これからの企業ネットワークの主要部品には、広域イーサネットなどの固定系素材サービス、BフレッツのようなFTTH系素材サービス、イー・モバイルに 代表されるワイヤレス・ブロードバンド系素材サービス、統合VPNのような製品系サービス、そして、もっとも柔軟性が高くグローバルに使える「インター ネット」という汎用サービスがあります。 これらの部品の中から、企業の目的を満たすための最適な選択と組合せを工夫するのが、企業のIT部門やそれをサ ポートする私のようなSIerの仕事です。  

 ここで大事なのは国内だけでちまちま考えないことです。 グローバル・プロキュアメントが当たり前になりつつある現在、ネットワーク・サービスやデータ センターはグローバルな観点で選択せねばならなくなりました。  具体的で、クリアな話を 10月17日の講演「3.0時代 に突入した企業ネット ワーク−コミュニケーション、コラボレーション、そしてグローバル・プロキュアメントへ」でしたいと思います。  



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