間違いだらけのネットワーク作り(552)2008/08/30
「NGNはインターネットじゃないのか?」

 今週の東京は豪雨に見舞われて大変でした。  ゲリラ豪雨という局地的なもので、電車に乗った駅では雨が降っていないのに車内では「この電車は○○行き ですが、○○では集中豪雨のため踏切が冠水しており、行き先が変わることがあります」などと、アナウンスがありました。  ゲリラ豪雨は積乱雲が原因です が、積乱雲は広さが10キロ平方、高さも10キロ程度で、発生から消滅までわずか数10分だそうです。  狭い範囲に急激に出来るので予報出来ないので す。  今年ゲリラ豪雨が多いのは偏西風が南に蛇行していて、北からの冷たい空気が南に張り出しており、そこに太平洋から湿気をふくんだ暖かい空気が流れ 込んで積乱雲が発生するからだそうです。  とにかく、梅雨時より多い雨が毎日のように降るのでうっとうしい限りです。 すっきりした秋晴れの日々が早く 来てほしいものです。
 
 月曜日にITproに掲載された「あなた、『簡単な 技術』を使いこなせますか?」はかなりアクセスがあったようです。 メルマガで送られてきた8月のITproアクセスランキングでは73位でし た。 25日に掲載されて28日までのアクセス数で73位というのは大健闘かも知れません。 そのうちベスト1になるようなコラムを書きたいものです。

    

 THE NETWORK ROADMAP  2008 FALL

NGNはインターネットじゃないのか?」

 今週届いた日経NETWORKの特集1は「IPv4アドレスがなくなる!」、 NETWORK WORLD10月号の特集は「IPv4アドレス枯渇問題 の真相に迫る」と、偶然2つの雑誌がIPv4アドレス枯渇の特集を書いていました。  「もうすぐv4アドレスがなくなるから、v6が必要だ」というのは 10年以上前から3年おきくらいに何回も言われて来たことで、決まって同じ人物が雑誌の記事に登場していました。  何回なくなると聞いても、一向に枯渇 しないのでオオカミ少年的話だなと、v6のことなんて忘れていました。 でも、今回は本当のようですね。

 枯渇の時期:日経NETWORK Xデーは2011年2月5日、NETWORK WORLD 「分配可能なv4アドレスは2010〜2011年に枯渇す ることが確定的」

 総務省の「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」によるアクションプラン(NETWORK WORLD誌より)
     ○IPv6の提供を基本サービス化  2011年
     ○プライベートIPv4(キャリアグレードNAT導入)  2011年
     ○IPv4のみ対応の機器は2011年から販売終了
     ○ユーザーは2011年からv6対応推進

 日経NETWORKの記事はいつもながら仕組みの解説がていねいで、キャリア・グレードNATによる対策とv4インターネットとv6インターネット併用 という根本対策について解説しています。 キャリア・グレードNATはNATを超えられないP2P通信があったり、使用できるポート数に制限があるため GoogleMAPやiTunesのように同時に数10から数百のポートを使用するアプリケーションが使えないことがあるそうです。 つまり、キャリア・ グレードNATは中途半端ということです。

 対してv4とv6の併用はルータやサーバの対応が進んでいるだけでなく、パソコンのTCP/IPプロトコルスタックも、VistaやMacOS Xでは 併用が出来るようになっています。 LANスイッチはネットワーク・アドレスを見ないので、そもそもv4、v6は併存可能です。  DNSはv4、v6共 通で、Vistaの場合はDNSがv4インターネットにもv6インターネットにもある場合、まずv6側に問い合わせるとのこと。  問い合わせはドメイン 名に対するv4アドレス→v6アドレスと両方のアドレスをもらい、相手が両方のアドレスを持っていればv6でアクセスを試みるとのこと。 障害でv6でア クセス出来なければv4を使うそうです。  このようにv4インターネットとv6インターネットを併用するのはハードルが高くない、というのが日経 NERWORKの意見です。 だとすると企業は中途半端なキャリア・グレードNATなど使わず、一気にv6に進む準備をした方がいいですね。

 しかし、v6インターネットに移行しようとするとき、現行のNTTのサービスやNGNがネックになるようです。  現行のフレッツサービスはアクセス回 線でv4とv6の併存が出来ないため、ユーザー側とISP側の双方にv4上でv6をトンネリングするための余計な終端装置が必要になります。

 ユーザーがv6インターネットに接続されると、今度はNTTのNGNサービスであるフレッツ光ネクストが問題になります。  フレッツ光ネクストはv6 を使っています。  v6のアドレスはネットワークごとに固有のプレフィックスとユーザー固有部から構成されています。  v6インターネットとフレッツ 光ネクストの光電話等のサービスを併用しているユーザー宅のパソコンは、v6インターネットから割り当てられたAというプレフィックスを持つv6アドレス と、フレッツ光ネクストのプレフィックスであるBを割り当てられたv6アドレスの、2つのv6アドレスを持つことになります。

 このパソコンがインターネット上のサーバに対して、自身の送信元をNGNから割り当てられたプレフィックスBのIPアドレスを設定したパケットを送信す ると、サーバは応答パケットの送信先にプレフィックスBのアドレスを設定して送信することになります。 しかし、NGNはインターネットと物理的に接続さ れてないので、インターネット上のルーターにはプレフィックスBの経路はなく、送信出来ません。  また、パソコンはプレフィックスがAでも、Bでもない 宛先IPアドレスのパケットをNGN側に送信すればいいのか、インターネット側に送信すればいいのかも判断がつきません。

  v4アドレスの枯渇が目の前の問題であるなら、NGNとv6インターネットを合理的に併用できる仕組みを早く整備すべきですね。  それにしても、日 経NETWORKの記事を読んで思ったのは、そもそもNGNはインターネットではないのか? という基本的な疑問です。  正式に払いだされたIPアドレ スを使う以上、NGNはインターネットじゃないのでしょうか?  インターネットではないし、将来的にもインターネットと接続しないというのなら、NGN 独自のアドレス体系を持つべきじゃないかと思いました。  正式なv6アドレスを使うなら、NGNもISPの一つに過ぎないのじゃないか? というのが基 本的な疑問です。


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