間違いだらけのネットワーク作り(540)2008/06/07
「UCの普及は2012年から?」

 昨日、今日と東京は梅雨の中休みで、さわやかな初夏の天気になっています。  午前中は近くの小金井公園の森からウグイスの声が聞こえました。   昔 は小金井カントリークラブに隣接した社宅に住んでいたのですが、そのころは初夏になるとカッコウの鳴き声が聞こえてきました。  2年前に久し振りでこの あたりに引っ越してきたのですが、残念ながらカッコウの声は聞いていません。 

 ホームページにNGN討論板という掲示板を設けていたのですが、NGNはまったく盛り上がらないので、「CCvsUC討論 室」に変えました。  さっそく、一人書き込みをしてくれた方がいます。 CC、UCにまったく関係ないことでも、ネットワークに関する書き込み なら何でも歓迎します。  質問もOKです。  私が答えなくても、誰かこのページを見ている人が答えてくれるかも知れません。

「UCの普及は2012年から?」(野村総研ITロードマップは正しいか?)

 
5月20日に野村総研がUCについてのレポートを公表しています。  

2013年度までのユニファイド・コ ミュニケーションの進展を予測した「ITロードマップ」

 
このニュース・リリースを読んで分かることは、このITロードマップを書いた人はここ数年の企業ネットワークの変遷も知らないし、IP電話の経 験も少ない、現在の企業ネットワークの利用実態についても詳しくない、ということです。 ネットワークやコミュニケーションが専門というよりは、ソフト ウェアが専門の人が書いたのではないでしょうか。 最近UCが話題だから、ちょっと調べて書いてみた、という感じがします。

@少し賛成できる点
 
ベンダーやベンダーよりのコンサルティング・ファームが煽り立てるように、UCは今が旬(普及期)だ、などと言っていない点。   2011年までは一部の企業の利用にとどまるとしています。 2012年から普及期としていますが、それはどうだか分かりません。

A賛成できない点
・UCの黎明期の認識が違う
 
「ユニファイド・コミュニケーション」という考え方や用語が何時から使われるようになったか、正確には分かりません。 正確に分かるのは NECが「ユニファイド・コミュニケーション」を商標登録したのが、2004年4月7日だということです。  プレゼンスを使い、相手の状態に応じて電話 やメール、IMを使い分ける、などというUCのアイデアは2003年頃からあり、製品もあったのです。「用途別単機能」ではなく、一応、統合されていまし た。  NECがどういう目的で商標登録したかは分かりませんが、言葉の歴史をたどるのには役立ちますね。 特許庁の商標検索を使えば登録年月日が簡単に 分かるのですから。 少なくとも2004年には商標登録されるほど、UCは認知されていたのです。  つまり、遅く見てもUCの黎明期は2004年には始 まっているのです。  始まったのですが、夜が明けない状態が続いており、それはNRIの予想では2011年まで続くということです。  夜明け前の状態 が8年も続くという予想です。 

・UCが普及しない理由がおかしい
 NRIは2009年からUCは黎明期に入るとしていますが、それが普及しない理由は”パソコンを中心に実現されるため、「パソコンのある 場所に利用が限定される」、「ヘッドセットなどの周辺機器を用意しなければならない」、「プレゼンス設定が自動化されていない」、「臨場感ある対話が困 難」など利便性に対する課題”があるからだとしています。

 2011年から普及期に入る理由は”その大きな要因は、欧米を中心に進展している、いわゆる“携帯電話のパソコン化”です。常に手元で起動している携帯 電話がユニファイド・コミュニケーションへ取り込まれることによって、いつでも・どこでも、シームレスでスムースなコミュニケーションが実現でき、ワーク スタイルを大きく変化させるでしょう。”だそうです。

 どこがおかしいか?   パソコンはコミュニケーションの主要なツールです。  ビジネス・コミュニケーションにおいて、電 話が激減し、メールが主役になっているからです。  ケータイでのメールも重要ですが、ビジネスマンが1日数10通のメールを受信したり、送信す るのはほとんどパソコンです。  UCが「パソコン中心に実現」しようとしても何らおかしくはありません。

 「プレゼンス設定が自動化されてない」というのも理由にはなりません。  自動化されても役に立たないからです。  ビジネスマンのコミュニケーション の相手は過半が顧客、取り引き先、パートナーなどの社外です。 これらの相手のプレゼンスを一元管理する仕組みがないと、意味がありません。  社内のメ ンバーだけしかプレゼンスが見えないのでは、それが自動設定されても使う機会は少ないのです。  「臨場感ある対話が困難」というのは意味不明です。  

 ”携帯電話がパソコン化”なんて、どこかで誰かが話したのと同じことが書いていますが、私の言うパソコン化とはまったく意味が違うようですね。  携帯 がパソコン化すると、阻害要因である「プレゼンスの自動設定」も、「臨場感ある対話」も出来るようになる、ということなのでしょうか?  意味が分かりま せん。


BUCが普及しない理由
 
UCが普及しないのは、「プレゼンスを見て、電話、メール、IMを使い分ける」、「コミュニケーション・ツールを連携させる」といった UCの利用形態に対するユーザ・ニーズがない、言いかえればユーザにメリットをもたらさないからです。 

 先日このページに書いたように、5月14日の私の講演を聴いた約200人のビジネスマンに挙手でアンケートをとったところ、1日50通以上のメールを受 信する人は半数以上いました。  1日5本以上電話がかかってくる人は10%いないくらいでした。   ビジネスマンが使うコミュニケーション・ツールと してメールの比重がとても大きくなっているので、「電話とメールとIMを使い分ける」必要性などないのです。  「通常はメールを使い、急を要する件、相 談ごとは電話を使う」  「電話を使うときは急いでいるので、プレゼンスなんてあっても見ない。 いきなり、相手のケータイにかける。 かけて見ればプレ ゼンスは分かる」 というのが大方のビジネスマンの実態ではないでしょうか。

 UCがいつまでも電話にこだわるのに対して、コンバインド・コミュニケーションでは電話はオプションで、メール/グループウェアが中心です。  加え て、社外の人も招待できるWeb会議やエンタープライズ・サーチを、使いやすいWebインタフェース上に組み合わせ(コンバイン)て提供します。  UC のようにベンダー独自のインタフェースを使わず、オープンな技術で組み合わせますから、製品・サービスの選択は自由です。  UCは機能に不満があろう が、高価だろうが、何から何まで特定ベンダーの製品になってしまいますが、CCはそんな心配がないのです。


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