間違いだらけのネットワーク作り(532)2008/04/12
「京都研究会より、その他」

 新著「間 違いだらけのネットワーク作り」の献本(出版社が著者にくれる本)が木曜日に届きました。 インクの香りが目立つ紙で、今までの本は純白の紙でし たが、今回は紙らしい色をしています。 手に持った重さや分厚さもしっくりきて、気に入りました。  さっそく1冊を妻にプレゼントしました。  この本 は個人的には銀婚式記念で、まえがきには嫁さんへの謝辞を書いています。  書店には4月17日に並ぶはずなので、ぜひ、手にとってみてください。


「京都研究会より、その他」
 
 
先週の京都研究会はカゼを引いてはいましたが、研究会では1時間の予定を1時間半講演(講演というより、漫談)し、懇親会も楽しくやりました。   参加者 は申し込み38人、当日欠席2人で、36人参加となりました。  ITproの今月のコラムで、研究会をきっかけに考えたことをまとまった形で書きます。   今日は京都研究会で考えたことではあるのですが、それとは重ならない、「正体見たり、基本料金」ということを書きたいと思います。  

 英BTのヨン・キムさんの話を聴いていて、BTやFT(フランステレコム)のサービスが、タダとか、使い放題というものばかりなので、おかしいと質問し たのです。 「基本料金に入っているからだ」という単純な答。  そういえば、NGNも光ファイバを引いて、電話が使えるようにするだけで月額5700円 もかかります。  これ以外にインターネットを使うにはISP料が必要です。 無料とか、使い放題の定額、というと安いかのような印象を受けます。

 しかし、定額・使い放題の「基本料」とは、言い換えると「使おうが、使うまいが、これらのサービスの料金として決まった額を貰います」ということで、 ユーザは通信事業者から押し売りされているのだな、と気づきました。  使わないメニューに対応する基本料はゼロであるべきだし、たくさん使う人もそうで ない人も一律の基本料を払うのは不公平です。  BTとFTの広告がキムさんのスライドにあったので、引用させてもらいます。

            

 FTの広告だと、英国内の通話、国際通話、インターネットからのダウンロードが使い放題で、月額20ポンド、約4000円。  これは日本より、ずっと 安いですね。  でも、国際電話をしょっちゅう使わない人はこんなのなくていいから、定額料金を安くして欲しいと思うでしょう。   定額サービスはお得 なようで、実は「押し売り」、本当にメリットがあるかどうか、ユーザはよく見極めるべきです。 NGNの基本料はそれだけだと、インターネットすら使えな いのに割高だと思います。

 話は変わります。  5月14日に日経BP社主催の次世代ネットワーク・シンポジウムで、「テレコミュニケーションからリッチ コミュニケーションへ−ワイヤレス・ブロードバンド/NGN時代の企業ネットワーク」と いうテーマで講演します。  Webの講演概要では詳しく分からないので、レジュメをここに載せておきます。 まだ1ヶ月先なので、内容は修正・追加しま す。  このセミナーは六本木のアカデミーヒルズで行われますが、終了後、場所を明治記念館に変えて、「『間違いだらけの ネットワーク作り』出版記念パー ティ」を行います。 こちらも是非、ご出席ください。 


「テレコミュニケーションからリッチコミュニケーションへ−ワイヤレス・ブロードバ ンド/NGN時代の企業ネットワーク」レジュメ

 この10年でネットワークの現実(利用実態)はインターネットやケータイの急激な普及とサービスが充実した結果、我々の想像力を超えて進化している。  さらにもっと長い眼で見れば100年以上にわたって、距離の長さと通信時間と帯域幅(通信速度)で料金=価値が決まったテレコミュニケーションの時代は終 焉し、どれだけ「豊かさ」をユーザーに提供できるかで価値が決まる「リッチコミュニケーション」の時代に入っている。
このような大きな変化に企業ユーザー、ベンダー、キャリア(通信事業者)の多くはまだ気づいていないようだ。 そうとしか思えないネットワーク構築や製品 提案、サービス開発をしている例が見受けられるからだ。
 たとえば、使われもしない電話を主役にすえて「ワークスタイル変革のためにユニファイド・コミュニケーションを導入する」ことをベンダーは声高に提案す る。 しかし、実体は「ユニファイド・コミュニケーションを導入するために、ワークスタイルを変革する」になっているケースがままある。 また、NGNの イーサネットサービスはMA(単位料金区域)がネットワークの単位になっている。 距離と時間で価値が決まった時代の名残だ。
 本講演では、想像を超えた利用実態(=ニーズ)の変化、テレコミュニケーションからリッチコミュニケーションへの変化を明らかにする。 その上で3つの 対立概念で次世代企業ネットワークの課題を浮き彫りにするとともに、あるべき企業ネットワーク・モデルを提示する。

1.企業ネットワークの動向
○企業ニーズ、通信サービス、製品・技術のトレンド
−テレコミュニケーションの終焉と、リッチコミュニケーションの始まり
−機能が豊富なだけがリッチの条件ではない
○通信インフラからサービス・プラットフォームとしてのネットワークへ
○NGNに抱いていた期待と商用NGNとのギャップ
−NGNは本当のリッチコミュニケーションをもたらすのか? リッチの押し 売りをするものか?
○「黒船」(iPhone、Android)で開国とオープン化が進むケー タイ
2.3つのvsで考える次世代企業ネットワークの課題
○ワイヤレス・ブロードバンドvs光ファイバ
−日本は光ファイバによるブロードバンドに適した国のはずだった。 しかし、定額・高速なワイヤレス・ブロードバンドでその常識はくつがえった。
−ワイヤレス・ブロードバンドの実力
−固定通信で光ファイバの代わりに使うワイヤレス・ブロードバンド
○メールvs電話
−メールが電話の3倍以上価値がある理由。 ケータイは電話機ではなく、PC代わりになった。
−企業における電話のあるべき姿
−コンタクト・センターという「局所的例外」 なぜ、ここだけ電話のトラ フィックが増えるのか? 件数が増えるからか、1件あたりの通話時間が増えるからか? その理由は?
○コンバインド・コミュニケーション(CC)vsユニファイド・コミュニケーション(UC)
−リッチコミュニケーションを実現するのはCCか、UCか?
−便利なツールが入った道具箱=コンバインド・コミュニケーション、いろんな道具が一つにまとめられたスイス・アーミー・ナイフ=ユニファイド・コミュニ ケーション
−オープン指向のCCvsクローズド指向のUC
−シンプルvs高機能
−IP電話では意味がなく、意外なところで重宝されている「プレゼンス」
−どこで成功したの?「フリーアドレス」
−メール/グループウェアは市販品を使うべきか、オープンソースを使うべきか
−「さよなら、マイクロソフト」はどこまで進んだか
3.次世代企業ネットワーク・モデル
○コンセプト
○機能モデル
○ネットワーク構成


 


ホームページへ