間違いだらけのネットワーク作り(522)2008/02/02
「寅さん的プレゼン始末記」

 渥美清が演じていた寅さんシリーズは日本人的な人情と、昔ながらの風景が残っている田舎のシーンが多く好きな映画でした。 とりわけ、1987年に秋吉 久美子がマドンナを演じた「寅次郎物語」が気に入っており、これだけはDVDを持っています。 物語の終盤、旅に出る寅さんを見送る甥の光男が「おじさ ん、人間は何のために生きてんのかなあ」とふいに問いかけるシーンがあります。 これに対する答がストンと納得できる分かりやすさなので、気に入っている のです。 ここに書くと、1行でかけてしまうような答です。 

 今週、水曜日から金曜日までビックサイトでITproEXPOが開催されました。 ネットワーク最前線というコーナーでワイヤレス・ルータを使った「ワ イヤレスVPNサービス」を展示させてもらい、シアターでプレゼンを3日連続、20分づつやらせて貰いました。  まるで寅さんのタンカ売のようなプレゼ ンになって面白かったです。

 ただ、20分は短すぎるので、きっちりと3時間かけてNGNやワイヤレス・ブロードバンドの活用について3月18日に明治記念館で話します。 こちらで は「上品に」やりたいと思っています。 

NGN/ワイヤレス・ブロードバンドで進化する企業ネットワークの新展開(3月18日明治記念館)

「寅さん的プレゼン始末記」

 ネットワーク最前線のシアターといってもオープンな場所で、言わば駅前広場の片隅でやっているようなものです。 イスは40ほどしか用意されていません でした。 1月30日の1回目のプレゼンはITproのコラムで予告していたこともあり始まる前から立ち見の方がいて、プレゼンを始めるとさらに人が増え て座っている人より立っている人の方が多くなりました。 いつも講演を聞きに来てくれる情報化研究会のメンバーの顔もあちこちに見えました。

 ITproのコラムを見て来た方、手をあげてください、というと10数人の人が手をあげました。 読者の方がわざわざ足を運んでくれるとは、ありがたい ことです。 コラムを読んで来た方は、おそらく私を実際に見て、話を直接聞くのは初めての人がほとんどだと思います。 文章で読むのと、実物と印象がどう だったか聞いてみたいものです。 このHPを読んでいる方によく言われるのは、HPの文章から受ける印象と、講演とがまったく同じだということです。 歯 に絹着せず、はっきり言うのは変わらないということでしょう。

 ワイヤレスのことはITproのコラムに書いてあることより詳しく話しましたが、ここには書きません。 明治記念館の講演でより詳しくご説 明します。  余計な話として、コラム「不確 実性」を設計する企業ネットワーク」で示したワイヤレスVPNのモデルになぜ、「電話」とか、「ユニファイド・コミュニケーション」が入ってない かを説明しました。



 繰り返し、巻き返し、何度でも書き、何度でも講演で話します。 「電話はもう使われなくなっているからです」  左上の図は1年間でビジネス用固定電話 の通話がどれだけあったかという情報通信白書の統計です。 2001年から2004年の3年間でちょうど50%減少し、9.6億時間から4.8億時間にな りました。  昨年に出た19年度版白書に最新のデータとして2005年が出ています。 もう底を打って減少は少ないのでは、と予想していたのですが、 2004年から2005年の1年で25%も減少しています。 ひどいですね、ビジネス通話の減少は。 今年は2008年ですが、統計が出てくるのは 2010年です。 どうなっているでしょうね。 それにしても情報通信白書は一番データが新鮮であるべきなのに、数字が古いです。

 ケータイも通話は減っているのは左下の図のとおりです。  Web検索やメールが主用途になったのです。  電話を使わなくなったのですから、右の図の ように電話を主役にしたユニファイド・コミュニケーションに対するユーザの関心が低いのは当たり前です。  「電話の取次ぎの無駄をなくする」とか、「ク リックですばやく電話がかけられる」などというのをお金をかけて実現しなくても、電話自体を使わなくなっているので、電話の取次ぎも、かける手間もどんど ん自然減少しているのです。 ユーザはそれをよく分かっているから関心が低いのでしょうね。

 さて、2日目、3日目のプレゼンは開始5分前でも席が半分も埋まっていませんでした。 そこで、思わず寅さん的呼び込みをしました。  マイクのボ リュームを演台の下にある器械で勝手に調整できるようになっていたので、音量を最大にし、「お近くにいらっしゃるお客様にご案内します。 今からネット ワーク最前線のシアターで、光ファイバがいらない、ワイヤレス・ブロードバンドが使えるルータのご紹介をしますので、ぜひおいでください。」 と3、4分 繰り返し呼び込みをしました。 あっという間に席が埋まり、話を始めると立ち見がどんどん増えました。 

 裏方の人が、「近くのブースから、ボリュームを下げるように言ってきているので、下げてください」と言ってきました。 「呼び込みが終わったら下げま す」 と拒否しました。  もちろん、プレゼンは音量を下げて、シアターにいる人だけに聞こえる程度にしました。  オープンスペースでプレゼンするので すから、出来る限りたくさんの人に聴いてもらうために呼び込みくらいしないと、わざわざやる意味がありません。  目の前の会場にしか聞こえないボリュー ムでは呼び込みにならないのです。 たった、3、4分の呼び込みですから、実害もない。 でも、事務局は寅さんのような私を呼んだことを後悔しているかも 知れません。 ほんとうの寅さんなら、「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、光ファイバなんざいらない、ワイヤレス・ブロードバンド、これからのルータは これが使えなきゃ話になんねえ。 さあさあ、こっちでごらんあれ!」とやるでしょうね。 まあ、とにかく面白かったです。

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