間違いだらけのネットワーク作り(518)2008/01/05
「2008年はNGN元年<ワイヤレス・ブロードバンド開花年」



 今年がネットワークに関わるすべての方に佳き年となるよう祈念します。

    情報化研究会主宰 松田  次博
 年末年始は例年どおり、次男のオーケストラの定期公演を聴き、家族総出で大掃除をし、おせちを食べ、初詣をする、というワンパターンで過ごしました。  東京は好天で風もなく、おだやかな正月でした。  印象に残ったのは次男の公演と長男のジャケットです。  12月29日に東京文化会館で行われた演奏会 には社会人になって家を出た長男もやって来ました。 
 次男はブラームスの交響曲第一番で、ファースト・クラリネットとして演奏しました。 クラリネットのソロはなかったのですが、それに近いパートはいくつ かあり、次男の吹くクラリネットの音色が広いホールによく響きました。 演奏が終わると指揮者が何人かの奏者を手でうながして立たせます。 おそらく、見 事な演奏をした人、夏から秋にかけて3回行われる合宿を含め指揮者の指導を受けて練習を頑張った人、そんな人をたたえるために立たせるのでしょう。 奏者 が立つたびに2000人近い観客が大きな拍手を送ります。 次男もその一人として拍手を浴びました。 3年である次男はこれで引退です。  高校から始め たクラリネットは6年。  その前のピアノを含めると10数年。  これまでの総決算としていい演奏が出来てよかったと思いました。
 もう一つ印象に残った、長男が着てきた皮のジャケット。 なぜ印象に残ったか、ここに書くのはよしておきます。
 
 さて、ネットワークの世界はGoogleやYouTubeばかりが元気で、キャリアやネットワーク・インテグレーターといったネット ワーク・インフラに重きを置いたビジネスは盛り上がってないですね。 2008年は盛り上がって欲しいのですが、どうなるでしょうか? 

ITproEXPO ワイヤレス・ルータ展示&松田プレゼン


「2008年はNGN元年<ワイヤレス・ブロードバンド開花年」
 
2008年はワイヤレス・ブロードバンドが開花

 2008年はNTT東西の商用NGNサービスが始まる「NGN元年」です。 確かに始まるという意味では元年ですが、県庁所在地クラスで 使えるようにな るのが2009年の中頃なので、今年は「様子見」というユーザが多いのではないでしょうか。 本格的に使おうにもサービスエリアが狭すぎます。 また、コ ンシューマーから見ても、企業ユーザから見ても「NGNならでは」のメリットのある使い方がまだ見えません。

 それよりもワイヤレス・ブロードバンドの方が盛り上がると思います。 それを「<」という不等号で表しました。  私の「ワイヤレス・ブロードバンド」 の定義は「高速・定額・無制約の無線通信」です。 単なる高速無線通信は対象外です。 定額だからこそ、ユーザにとってインパクトがあります。 無制約と はどんなアプリケーションを使おうが、何時間接続しようが、自由だという意味です。  VoIPはダメ、P2Pもダメ、長時間接続したら強制切断、などと いうのでは用途がごく限られてしまいます。

 高速・定額・無制約の無線通信はADSLを代替し、光ファイバを補完(一部代替)します。  移動通信だけでなく、固定通信でも活用の場が広がるでしょ う。 ワイヤレス・ブロードバンドが入るとNGN時代のネットワークはこんな感じになると思います。





  安定した大容量の通信が必要な大規模オフィスやデータセンタでは光ファイバは不可欠です。 しかし、中小規模のオフィスではワイヤレスだけで済ませること も出来るし、ワイヤレスとADSLやBフレッツを併用する使い方が増えるでしょう。 

GoogleもYouTubeもNGNへ引っ越しては来ない

 この図でもう一つ言って置きたいことはNGNとインターネットの関係です。  それをハッキリさせるための質問、「Googleや YouTubeはイン ターネットからNGNに引っ越してくるか?」。 引っ越してくるとは、GoogleやYouTubeのサーバがインターネットを介さず直接NGNに接続さ れ、NGNユーザはインターネットに出ることなく、これらが使えるということです。 そんなことあるはずがありません。 インターネットに公開されたあら ゆる情報が検索できるのがGoogleのメリットであり、NGNに閉じた検索など意味がありません。 NGNユーザしか投稿できず、参照できない YouTubeはコンテンツの投稿者にも利用者にも魅力がありません。

 NGNの目の前のニーズは「快適なインターネットアクセスの提供」です。  NGNの人口カバー率が高くなり、しかも低コストであればサービスやコンテ ンツの提供者はNGNのQoSや認証機能を活かしたサービスを始めるかも知れません。 でも、1年や2年で開花するとは思えません。

 NGNとGoogleやYouTubeの関係を考える材料として、今週新聞にのったNTTドコモとGoogleの提携は参考になります。  ドコモは ネットワークを提供し、アプリケーションやサービスはGoogleが提供する。 ケータイ事業者の垂直統合型ビジネスモデルはこわれ、水平分散モデルにな るということです。 Google以外の様々なサービスが同じ形態を取るようになるでしょう。 同じことがNGNでも起こるのではないでしょうか。 た だ、ドコモのネットワークの人口カバー率、地理的カバー率が抜群なのにたいし、NGNがGoogleが提携したいと思うほどのユーザを確保するには時間が かかるでしょう。

 ドコモとGoogleの提携で興味があるのは「Googleのサーバはドコモのネットワークとインターネットを介さず直接接続されるのだろうか、それと もインターネットを介するのだろうか」という点です。 直接だとサービスの内容をドコモ向けに差別化できるので、面白いですね。 すでに一昨年 Google と提携しているauはどうなのでしょうか。 

 ということで、インターネットでユーザ・ニーズの高いサービスをNGNから使ってもらい、NGNのトラフィックが伸びる、というのが最初のステップで しょう。 NGN生まれの、NGNならではのアプリケーションはその次のステップという気がします。

フェムトセルで無線LANは不要になる

 図の右下にあるフェムトセルには以前から注目しており、かなり前にソフトバンクモバイルさんを訪問し、見学させて貰いました。 ソフトバ ンクモバイルさ んはコンシューマーをターゲットに考えていますが、企業にもニーズはあると思います。 

 ただし、私はフェムトセルは音声通信ではなく、データ通信に使うべきだと思っています。 理由は2つあります。 第一にここに繰り返し書いたように音声 通信そのものが激減していること。 第二にウィルコムやソフトバンクモバイルの定額通話サービスを使えば、フェムトセルなど使わなくても同じ端末を使う社 内の内線や他社ユーザとの通話は無料になることです。

 フェムトセルをデータ通信で使うとどんなメリットが得られるか?  フェムトセルは少数のユーザでアンテナを占有するため、データ通信速度の速さが期待 できる、というのはよく言われるメリットです。 しかし、それだけではありません。 フェムトセルを大々的に使えば、高い無線LANなど自社で持つ必要が なくなる可能性があります。

 フェムトセルは色んなアイデアが考えられて楽しいですね。 

NTT東西がNGNの技術参考資料を公開

 
12月25日にNGN の技術参考資料が公開されました。 NTT東西からネットワークエンジニアへのクリスマスプレゼント、ということでしょうか? やっとNGNの資 料らしい資料が出てきた、という感じです。 さっそく次世代広域イーサネットとも言える、「LAN型通信サービス」の技術参考資料に眼を通しました。

 一言で感想を言うと、従来の広域イーサネットよりきめ細かな帯域設計、QoS設計、信頼性設計が出来る、つまり、「設計らしい設計が出来る」サービス だ、ということです。 どんな料金で提供されるかが問題なのですが、現在の広域イーサネットと比較して同等以下であれば、広域イーサネットをリプレース し、企業ネットワークをより効率的に作ったり、品質や信頼性を向上させるのに役立つことでしょう。 ポイントとなる図を2つ引用しておきます。

           LAN型通信サービスのシステム構成


          各回線の速度品目




企業ネットワークは「選択と組み合わせ」が多様化する

 私の一貫した主張は「企業ネットワークの主役はユーザであるべき。 そのためにはユーザが適切な機器やサービスを選択し、組み合わせる自由がなければな らない。 ユーザ主役を実現するには機器やサービスをいつでもリプレースできるオープンな設計が重要」というものです。

 通信事業者は通信が自由化されて20年以上たった現在でも、相変わらず「ユーザを囲い込み、縛り付け」ようとする垂直統合モデルを推し進めようとしてい ます。 しかし、NGNやワイヤレス・ブロードバンドはユーザの選択と組み合わせをこれまで以上に多様化させます。 典型的なのはワイヤレス事業に手を出 せないNTT東西のNGNサービスとワイヤレス・サービスを組み合わせたネットワークです。 ワイヤレス・サービス自体、総務省はMVNOを促進してお り、事業者は自社と同じ条件で他の事業者にインフラを提供することを義務付けています。 企業にとって複数のワイヤレス・サービスを組み合わせることはい とも簡単なことです。

 NGN/ワイヤレス・ブロードバンド時代はユーザが「主体性」を持ってさえいれば、さまざまな可能性を追求し、企業ネットワークを発展させられる楽しい 時代になるでしょう。 そして、これまでと同様、ユーザが主体性を発揮できるよう、ユーザと同じ立場で選択や組み合わせの検討をサポートし、アイデアやノ ウハウを提供するのが私たちSIerの仕事です。 

 NGNをはじめとする有線系サービスとワイヤレスを組み合わせるメリットは何か、どう組み合わせて企業ネットワークを作ればいいのか、その考え方を下記 のプレゼンでご紹介したいと思います。

ITproEXPO ワイヤレス・ルータ展示&松田プレゼン

ホームページへ