間違いだらけのネットワーク作り(481)2007/04/14
「懐疑的になるのは易しい−京都研究会模様」

 先週土曜日、第8回京都研究会を開催しました。 京都研究会としては最多の40名が参加、うち20名は東京からの参加です。  しかも、日帰りの人が多いのです。 つまり、研究会に参加することだけが目的で京都に来ているということです。 本当にありがたいことだと思います。 今年の特徴はいつもなら半数くらいしか残らない打ち上げにほぼ全員が参加し、さらに祇園での二次会にも20人近くが来てお店を占有してしまったこと。 なぜか理由は分かりませんが例年より一体感があって、盛り上がりました。 特に二次会では昼間は借りてきたネコのような人が、めいっぱい自分を出して楽しそうに歌い、聞いている私もうれしくなりました。

 肝心の研究会は英BTのキムさんの講演は関心を呼び、私の講演は笑いを呼びました。 キムさんの講演は英語でしたが、NTTコミュニケーションズの三好さんが素人とは思えない通訳をしてくれて、価値が倍増しました。 ちなみに研究会の写真を参加できなかった会員にpicasa(googleのアルバムサービス)で見せたところ、「あの美人は何者?」とメールで質問が来ました。 それが三好さんです。

 あいにく土曜日は軽い雨模様でしたが、研究会で勉強し、あとは飲むだけだったので雨は関係ありませんでした。 翌日は快晴。 京都の花見は初めてというドイツ証券の津坂さんと防衛省の人が一緒だったので、昨年と同じ清水寺と高台寺に6人で行きました。 清水寺から高台寺に向かう途中にINODAコーヒーというお気に入りの店があり、そこに立ち寄ると偶然、キムさん一家に会いました。 奥さんと娘さんが一緒。 娘さんは今春高校を卒業し、PWC(プライスウォーター・クーパース)で1年間仕事をするそうです。 大学には合格していて、そこに進学することは決まっているのですが、大学が1年の猶予をくれて、その間自分の選びたいキャリアを経験するため働くのだそうです。 キムさんの娘さんが特殊なのではなく、イギリスではふつうだそうです。

 日本の学生が会社をブランドや大きさで選んで就社するのに対し、英国の学生はキャリア(仕事)を選ぶのですね。 しかも、高校卒業の時に選び、それを専攻する前にその仕事が自分にあっているかどうか、実際に働いて確かめる。 学生の考え方も、それをサポートするシステムもいいですね。
 
「懐疑的になるのは易しい−京都研究会模様」

 研究会での講演内容をここに書き始めると切りがないので、キムさんと私の講演の中からそれぞれ1枚だけスライドを選べ、と言われたらこれだというスライドを講演のポイントとして紹介します。 

 キムさんのNGNの定義は「キャリア・ネットワークにコンピューティング・パワーを持たせること」。  ユーザーはサーバとクライアントでアプリケーションを動かして来たが、BTのNGNである21CNでは、ネットワークが9つのCapabilitiesを持ち、ユーザーはそれらを使ってより効果的で効率的なアプリケーションを実現できる、というのがコンセプトです。 

 NTTが現時点で公表している範囲ではNGNは単なるパイプです。 光化とIP化、QoS・セキュリティに重点が置かれ、BTとはコンセプトが180度ちかく違います。 どちらが良い悪いということではありませんが、パイプだけではNGNは企業にとってNowGenerationNetworkにすぎないというのが私の持論です。 BTがやっていることは企業単独では不可能なことなので、間違いなくNextです。


 私の講演は「少くして学べば、則ち壮にして為すことあり。 壮にして学べば、則ち老いて衰えず。 老いて学べば、則ち死して朽ちず。」という佐藤一斎の言葉を最初のスライドにして始めました。 つまり、とりとめなく、幅広く、言いたい放題といういつものスタイルです。 

 あえて1枚ということでスライドを選ぶとこれになります。 電話のトラフィックは激減しています。 特にビジネス用固定電話は2001年から2004年の3年で半減しました。 今はさらに減っているでしょう。 NTT東西の電話収入は大部分が基本料金であり、通話料ではありません。 固定電話に対するニーズは激減しているのです。 でも、日経NETWORKによるNGNの定義は「加入電話網のIP化」。 たしかにその色合いは濃いですね。 ニーズが減っているものがNGNのメインになるのは変な気がします。

 これからのコミュニケーションの主役はPCとケータイであり、コミュニケーション自体はコラボレーションを活性化するものに中心が移っていくと思います。 NGNを使うとコラボレーションがレガシー・ネットワークよりはるかに効果的に、安価に出来る、となると企業ユーザーにとっては魅力的なものになるでしょう。 さらに、BT21CNのように企業単独では不可能な便利なアプリケーションがNGNで実現できることが、その普及の条件ではないでしょうか。

 さて、この記事の表題、「懐疑的になるのは易しい」とは何のことでしょう。 これは、今回の京都研究会で私が聞いた言葉の中で、一番印象に残ったものです。 人の話の中には自分の感じ方や、考え方に大きなインパクトをもたらすものがあります。  感受性のない、問題意識のない人にはまったくないかも知れませんが、ほとんどの人は4時間の研究会の中で聞いた言葉の中に、そんな自分にとって大事な言葉のいくつかを発見したのではないかと思います。

 私にとっては「懐疑的になるのは易しい」というのがもっとも印象に残りました。 この言葉を誰がいい、私の感覚がどう反応したかはITproの今月のコラムに書きたいと思います。

 

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