間違いだらけのネットワーク作り(474)2007/02/24
「FMCではなく、MFM」

 NTT関連団体から社員教育の一環としてNGNについての講演を依頼され、今週水曜日の夜、1時間話してきました。  表題は一応、「NGNとこれからのコミュニケーション」としたのですが、NGNはNextGenerationではなく企業にとってはNowGenerationだという話なので、表題からするとNGNを大いに宣伝すると思われるでしょうが、そうではありません、と最初に断って講演を始めました。 技術には素人の人ばかりなので技術のことは話さず、いつものごとく「技術は文学的に理解すれば充分です。 何が出来るか、メリットは何か、デメリットは何かだけ理解してください」と言っておきました。  皆さん、笑いながら聴いてくれたので、まあ、成功でしょう。 講演というのは面白いことが第一です。 

 さて、私にとって面白かったのは講演の後でした。 打ち上げの席を設けてくれたのですが、そこで講演依頼に来た女性から、自分は元情報化研究会の会員だと告白されたのです。 1年前に転職したそうですが、前の会社で入っていたそうです。 このHPをずっと見てくれているので、NET&COMでのNGN講演の内容を知り、上司に私に講演させるよう提案したということでした。 今週、あらためて入会のメールが来ました。 縁というのは面白いものですね。

 2月26日に間違いだらけonITproに新しいコラム、「ただ一つの正解などない」が掲載されます。 テーマだけだと中身が分かりませんね。 面白いですよ、お読みください 
 

「FMCではなく、MFM」

 やはりケータイは便利だ、とこの1週間実感させられました。 この春、大学2年になる三男が1週間前から一人でメキシコ旅行に行っています。 いわゆるバックパッカーで、1ヶ月間の安上がり旅行です。 行き帰りの航空券と、傷害保険以外の準備はなく、旅程は書いてあるものの変更が前提。 昨年夏に友人と二人でアメリカに行ったばかりなのですが、今度は一人がいい、と親には出発1週間前に報告。 相談すると反対されるので、チケットが手元に来た後に報告したのです。  仕方がないので、1日1回連絡を取ることを条件に出発させたのです。 なぜメキシコかというと、自分のスペイン語がどれだけ通じるか試したい、スペインは高いのでメキシコだ、という理由です。  高校の3年間は第二外国語としてフランス語を勉強したのですが、大学に入ってスペイン語に変えました。 まだ1年足らずしか勉強してないスペイン語を試そうというのですから、私と同じDNAを持っているとは思えません。 どうなることかと思っていましたが、すでに現地の大学生と食事をし、飲み、日本語を教えたりと、一人旅の不安などまったく感じず楽しんでいるようです。 

 ここで活躍したのがケータイです。 うちは私以外はソフトバンクモバイルです。 別にソフトバンクが好きではないのですが、その昔家族割引サービスをやっていたのがJフォンだったので、私以外の4人が加入したのです。 すでに端末はソフトバンク3Gを使っているので、海外でもほとんどの国でそのまま通話もメールも使えてしまいます。 GSMとW−CDMAの両方に対応しているからです。 

 面白かったのは初日に嫁さんがうちの固定電話から三男のケータイにかけようとして悪戦苦闘したこと。 固定電話と同じように、国際電話番号+国番号をダイヤルしてかけようとしたのです。 ケータイはそのままかければローミングするんだよ、と教えてあげると、へえーと感心していました。 8分間話して400円、意外と安いね、というので、「国際ローミングは発信側だけでなくて、着信側でも課金されるのでメキシコの携帯電話業者からいくら請求されるか分からないよ」と注意しました。 以後はメールのみ。 メールは1通100円でOKのようです。

 それにしても、国番号なしに、つまり国を意識せずに使えるケータイは完全なボーダレス・サービスですね。 料金が高いという問題はあるにせよ、便利この上ない。 080や090で始まる日本の携帯電話番号が、国番号なしに海外で使えるのはちょっと不思議ですね。 おそらくはローミングしている携帯電話会社の交換機同士がローミングのための端末情報や位置情報を交換するときには携帯電話会社を識別する情報が電話番号と一緒にやりとりされているのでしょう。 

 さて、ここから話を少し飛躍させます。 先週書いたとおり、これからはケータイとPCがコミュニケーションの主役であり、据え置き型の電話機はますます使われなくなります。  国内の契約数も2005年度末で固定5800万に対して、ケータイ9600万。 2007年1月時点ではケータイが1億の大台に乗ったとのこと。 NGNではFMCが代表的サービスのように言われ、私もそう思っていましたがNET&COMで述べたように今のケータイそのものがNGNではないか、と思っています。 

 FMCはFixedがMobileの先に来ている固定主役の言葉ですが、2000年にケータイ契約数が固定を抜いた時点で主客は逆転しているのであり、MFCと言うべきでしょう。 さらにケータイが固定の2倍の契約数になろうとし、仕組みがSIPになるNGN時代にはケータイが固定を吸収する、つまりMFM(Mobile Fixed Merger)と呼ぶのがふさわしいと思います。 東京ガスのIPセントレックスを構築して思ったのはSIPの世界ではモバイル(東京ガスではモバイル端末はSIPで使えるようにした構内PHS端末)と固定端末は論理的に同等だということです。 固定電話機もどんどん位置が変わっていいのですが、たまたま同じ場所で使われているだけ。  ですから、固定電話であっても1時間に1回、SIPサーバ(IPセントレックス)にRegisterメッセージを送信して自分の位置を再登録しているのです。

 考えてみればNGNがケータイの標準化を進める3GPPのIMSをベースにしているということ自体が、モバイルが固定を吸収することを象徴しています。 NGNの細かな技術的仕組みになど興味はないのですが、IMSにおいてはモバイル端末と固定端末の区別は論理的にはあるべきでなく、たまたま動いてないモバイル端末が「固定電話」という扱いになるべきです。 電話番号も固定と携帯を区別するなどナンセンスで、統一された体系になるのが本来でしょう。 オフィス内では03番号なり050番号を使って無線LANから固定網へ発信し、外部では090で発着信するFMCなど、将来性があるサービスとは思えません。  無線LAN配下にあろうがケータイ網の基地局配下にあろうが、自動的に位置が把握され、つねに同じ番号で発着信できるのが最終的な利用形態になるでしょう。
 
 

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