間違いだらけのネットワーク作り(456)2006/10/14
記事評「2010年のITビジョン」

例年12月に行っている情報化研究会大会を、今年は12月9日か、16日にやろうと企画しています。 スピーカーを2、3人の方に依頼しており、その回答次第で内容が決まります。 私も話しますが、さて、テーマは何にするか。 NGNというキーワードは入れるつもりですが、それだけでは盛り上がりそうにありません。 先月は社内で頼まれて営業に関する講演をしましたが、今月はITPROWATCHERを見た社外の人から営業の講演を頼まれました。  毎月1回、いろんな業界の営業マンが集まって勉強会をしているとのこと。 今週水曜日の夜、神田で1時間余り話をしました。 技術の話をまったくせず、スライドも使わず。  皆さん、笑いながら聴いてくれたので、けっこう共感してくれたのでしょう。 

この講演のエピソードは10月のITPRO Watcherに書きます。 といっても、本文ではなくプロローグとエピローグで軽く触れるだけです。 さずがに9月に続いて10月も営業の話を書いたのではITPROではなく、STPRO=SalesTechnologyPROになってしまいます。 しかし、私の営業話がどんな業界の営業マンにも通じるということは、ITやネットワークの知見よりも、営業のそれの方がフヘン性(普遍性と不変性)が高いのは間違いないようです。  12月の研究大会のテーマは「NGN時代のITマン、ネットワークエンジニアのための営業講座」とでもしましょうか?

記事評「2010年のITビジョン」(日経コンピュータ 2006年10月16日号)

総力特集と銘打っているだけあって、読み応えがありました。 何しろ38ページもあります。  何より、「2010年のITビジョン」というテーマの大きさがいいですね。 ちまちました動かなかったコンピュータの話など読みたくもありません。 

富士通、NEC、日立の国産メーカー3社とIBM、HPの考える2010年のITビジョンを紹介した記事ですが、まず印象に残ったのはプロローグ部分に取材班が書いていることです。 「今の時代、次に何をすればいいのか、どんな技術を採用すべきなのかが本当に分かりにくい」というユーザー企業の声。 テクノロジーをあきらめてサービス化を進め、国内の狭い市場での過当競争の結果、弱体化した国産メーカー。 コンピュータ・メーカーはその原点であるテクノロジーに回帰すべきだという。 果たして国産メーカーはテクノロジー回帰を始めているのか? という点がこの特集のポイントの一つになっています。

5社のビジョンを読んで思うのは、国産3社と比べるとIBM、HPは「別格」だということです。 なので、ここでは国産3社を比較してコメントします。 私の評価は1位NEC、2位日立、かなり落ちて3位富士通。 

NECのビジョンは記者が書いた見出しでは「NGNを基盤に次世代システムを描く」となっています。 これは本質をついたまとめにはなっていません。 NGNは単なる手段で、何を目的とした、どんな次世代システムを構築するかが重要です。 そのヒントとなる部分を引用します。 「NGN時代には動的な企業間連携が大きな流れとなって起こり出す。」(NEC幹部のコメントから) 「先行事例としてNECは、東日本旅客鉄道向けに構築した「モバイルSuica」や「モバイルFelica」の電子マネー/電子チケット・システム」を挙げる。 この3月から、大手家電量販店のビックカメラのポイント制度との連携も始まった。」 NECの記事にはNGN、NGNと繰り返し出てきますが、そのことから察せられるのはNEC自身が自社のビジョンのどこが優れているか分かってないんじゃないか、ということです。  富士通や日立、IBMなどとまったく違う視点が含まれているのですが、それが適切に表現されてないということは自分で分かってないのでしょうね。 私が見出しをつければまったく違ったものになりますが、ここには書きません。 講演でのいいネタになるので取って置きます。 いずれにしても、国産3社の中ではクリアさ、具体性の高さ、ニーズがある可能性という点でNECのビジョンが一番だと思います。 NECのことを褒め上げた感じですが、私は1993年を最後にNEC製品をまったく使っていません。 NGN時代は考えを変えなきゃいけないかも知れません。

日立のビジョンは見出しでは「ユビキタスで経営と現場を一体化」となっています。 これはなかなかいい見出しです。 HarmoniousComputingという名前で日立が目指しているのは「RFIDタグや各種センサーを駆使し、ビジネスの現場にいる人やモノの動きをつぶさに追跡することで、結果を生み出した理由を分かるようにする」ことだそうです。 それによって、企業がビジネスの変化を察知したり、新しいビジネスを創造したりするのを可能にするとのこと。  タグやセンサーが普及すると企業が扱うデータは1日、数千万件になるそうです。 そうなると巨大なデータベースやそれを活用する仕組みが必要になります。 やろうとしていることは分かり易いのですが、そんな巨大なシステムを作って、本当にビジネス創造に結びつくのか、というのが疑問です。 何が分かるかはやってみないと分からないけど、とにかくRFIDを大量に配布し、センサーをいっぱいつけて1日数千万件のトランザクションをため込んで分析するために巨額の投資をするんだ、という意思決定は企業には難しいのではないでしょうか。 「やってみないと効果が分からない」のがネックです。

富士通の見出しは「グローバル化で真のパートナーに」です。 これがビジョンでしょうか? グローバルに事業を展開するというのはHOWであって、ビジョンとして大切な何をやるか、WHATがない。 これがNECや日立のビジョンとの違いです。 しかも、グローバル化は欧州や米国で作った合弁会社が地域ごとに独自性を発揮しながら展開するとのこと。 独自性というと聞こえがいいですが、それは世界的な視野での人材その他の資源の一元的有効活用が出来ない、ということです。 IBMがこの特集でうたっている「IBMはフラットになる」というビジョンと比べるとはなはだしく遅れています。

私はここ数年、「サーバレス」、「ルータレス」、「PBXレス」、「ネットワーク・リストラ」と、いたってシンプルなコンセプトで企業ネットワークを提案し、かなり成果をあげて来ました。 さて、次のコンセプトはどうしようと、かなり前から考えています。 この特集記事はヒントと言えるほど直接的に役には立ちませんでしたが、大いに参考になりました。
 

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