間違いだらけのネットワーク作り(452)2006/09/16
「企業ネットの博物館化が進む?」

今日はこの記事を書くのがずいぶん遅くなりました。 午前中はITPROに掲載する記事を書き、午後はマンションの理事会が4時間もかかってしまい、それでエネルギーを消費して夜はゴロゴロしながらテレビを見ていました。 さあ、夜中にならないうちに書かないと。

「企業ネットの博物館化が進む?」

今週は新規の企業、2社の方と会話しました。  うち1社は「ネットワーク・リストラ」を提案させていただくことになりました。  その会社では4人の方と話をしたのですが、うちお二人は2月のNET&COMで私の講演を聴いてくれたとのこと。 講演を聴いていただいた上に、提案までさせてもらえるとは本当にありがたいことです。  もう1社の方も、私の講演を聴いたことがあるとのこと。 残念ながら、タイミング的にネットワークの提案は難しい状況でした。

この2社に共通した感想があります。 「大企業のネットワークは博物館のようだなあ」ということです。 最新の技術・製品や回線を使っている部分もあれば、20年以上前の技術を使っている部分もあるのです。

1社目の会社ではイエロー・ケーブルが残っている工場があるとのこと。 10BASE5(テンベースファイブ)というEthernetのケーブルで直系10ミリほどもある太い同軸ケーブルです。 色が黄色なのでイエロー・ケーブルといいます。 10BASE5はトランシーバーという箱をケーブルに接続し、それに端末をつなぎます。  現在のEthernetはトランシーバーはネットワーク・カードの中に入っていますが、昔は箱だったのです。 今でもこの会社では「トランシーバーがこわれた」とヘルプデスクに申告があるそうです。 いったい、どんな端末を接続しているのでしょうね。 LANが古いのにも驚きますが、そんなLANに接続できる古いワークステーションなりが生きているのにさらに驚きます。

2社目の会社ではYインタフェースの専用線が残ってると聞いてさらにビックリしました。 YインタフェースはISDNのIインタフェースが標準化される前にNTTが定めた暫定インタフェースで、1984年頃に実用化されました。 

このように大企業ではアナログ電話回線はもちろん、びっくりするほど超レガシーな回線や古い製品から、広域イーサネット、Bフレッツ、10GEthernetといった最新の技術まで、まるで博物館のように混在しているのです。 理由は簡単で、古いモノでも事足りる用途があるからです。 NGN時代になるとどうなるのでしょう? 

1984年くらいから現在までの通信事業者のネットワークは、根幹が変わるほどの変革はありませんでした。 ですから、企業ネットワークが「博物館状態」になっても何とか対応できました。 しかし、NGNではオールIP化という掛け声の下に、通信事業者は古い設備を捨ててしまいたいのです。 でないとNGNの狙いの一つである、設備コストの削減が出来ません。 それどころか新旧二重の設備を持ち続けることでコストアップの恐れさえあります。

放送業界が恵まれているのは、どんな理屈で決まったか知りませんが、2011年7月24日を持って地上波アナログ放送を打ち切り、デジタルのみにすることです。 アナログ放送で満足している人も、切り替えるしかない。 不思議ですね、ユーザーの意向とは関係なく打ち切れるのが。 通信業界ではそんなことが無さそうなので、通信事業者はどうやってユーザーにNGNへ移行してもらうかが、知恵の絞りどころになります。

NGNへのスムーズな移行が失敗するとネットワークの博物館化が進み、通信事業者の経営を圧迫するでしょう。 NGNの魅力的な活用方法を提案し移行の促進をしたいと思っているので、新規の企業を訪問する度にNGNのフィールドトライアルの紹介もするのですが、今ひとつインパクトが足りないのが正直なところです。 
 
 

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