間違いだらけのネットワーク作り(444)2006/07/22
「NGN講演模様」

早いもので、夏の研究会旅行が来週末に迫りました。 なのに、梅雨が明けません。 毎年7月末の土日と時期を決めているのは、その頃なら梅雨が明けている、という理由なのですが困ったものです。 2003年の高松・小豆島旅行の時も、出発の日に四国が梅雨明け宣言になりました。 ぎりぎりセーフです。 今回もぎりぎりセーフであって欲しいものです。

今週、小林信彦著「うらなり」という本を読みました。 小説をほとんど読まない私にしては珍しいことです。 漱石のファンであり、坊ちゃんのファンなので、うらなりのことが気になったのと、日経新聞と読売新聞の両紙で書評欄に取り上げられていたからです。 坊ちゃんのようなスッキリ感はないですが、山嵐やうらなりの「松山以後」を興味深く描いています。 松山時代の事件やその背景となった人間関係も掘り下げられていて、「坊ちゃん」はこんな風にも読めるのかと感心させられます。 

「NGN講演模様」

7月18日に開催された社会システム総合研究所主催セミナー「ユーザー視点から見る企業の次世代ネットワーク構築」は、事前申込みのない当日参加の人も多く会場は文字通りの満席で、楽しく話すことが出来ました。 NGNなんて元気のいい若者が話した方がいいかと思うのですが、せめて元気いっぱいなふりをしようと、いつものごとく2時間立ちっぱなしでスクリーンの前を行き来しながら講演しました。 

私の前にBTのキムさんとNTTの人がそれぞれ1時間半話し、トリを取る私は2時間話しました。 キムさんとは以前、会ったことがあり、BT−FusionはじめNGNのことをいろいろ教えてもらったので、今回の講演は聴きませんでした。  

私のテーマの頭についている、「ユーザ視点から見る」とは、私がつねづね主張している技術を文学的に理解する、ということです。 文学的理解とはその技術で、何が出来るのか、メリットは何で、デメリットが何かを理解することです。 NGNとか、IMSの仕組みをクドクド説明されても、ユーザーは嬉しくありません。 そんなもんですか、程度です。 知りたいことはNGNで具体的に何が出来、どんなメリットが得られるのか、デメリット(たとえば高い料金)はないのか、ということです。

私の講演スライド44枚の中から、NGNで何が出来るのか、surpriseはあるのか、について書いた2枚を紹介します。 NGN自体にsurpriseはないでしょうね。 surpriseはSkypeやGoogle、それにGyao、YouTUBEなどでとっくの昔に始まっています。 


NGNに出来て、レガシー(現在のネットワーク)に出来ないことはないでしょう。 逆にFAXやデータ通信はNGNの方が制約が出てくるでしょう。 動画配信も、FMCもレガシーで実現出来ています。 結局、NGNはそれで目新しいことが出来る、というよりもマルチキャストを使って動画配信が効率的に出来るようになる、あるいは広い帯域幅を活かして画像や音質が向上する、といった変化になるのではないでしょうか。

デジタル家電の制御といったものも出てくるでしょうが、それは今のインターネットを使っても出来ることを、少しレベルアップする程度ではないかと予想しています。 そもそもデジタル家電の制御自体がネットワーク・サービスというよりはアプリケーションです。
 

私はネットワークのこの10年間のsurpriseで最大のものは、かつてネットワークが知っているもの同士が通信するcommunicationの場だったものが、知らないものが知り合いになり、communicationやcollaborationが出来るpublicationの場になったことだと思います。 OSIモデルは陳腐化し、Publicationモデルになったのです。 そこではネットワークがレガシーだろうが、NGNだろうが大きな違いはなく、surpriseはその上で起こっています。 ツール・ボックスにはSkypeやGoogle(gmail、GoogleTalkなど)、有料CRMのセールスフォース.コムなどがあり、企業は社内に業務アプリを持たなくてもネットの向こうのそれを使うという選択肢が増えてきました。 人事給与や会計といったアプリケーションも企業ネットワークの外に置いて使う企業が増えてくるでしょう。 

企業はレガシーで用が足りている部分をNGNに移行する必要はありません。  アプリケーションを社内に置くか・社外に置くか、レガシーを使うべき部分とNGNを使うべき部分、通信業者ごとに違うNGNの特徴、これらを見極め最適な組み合わせやマイグレーション・パスを考えることがこれからの企業ネットワーク設計のポイントになります。 
 

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