間違いだらけのネットワーク作り(410)2005/11/26
「FMCの4方式」

昨日、久しぶりで八重洲ブックセンターに行きました。 いつものパターンで先ず3階のコンピュータ、ネットワークの売り場へ。 意外にも「ネットワークエンジニアの心得帳」が平積みになっており、しかも「売れています」という手書きのポップまでついていました。 息長く売れているのですね。 一冊本を買って、1階の文芸書フロアへ。 出久根達郎さんの本を集めてある棚へまっすぐ行き、新刊がないか確かめました。 寡作の人にはめずらしく2冊の新刊がありました。 そのうちの一冊、「下々の意見」というエッセイ集を買い、中二階のティールームへ。 コーヒーを飲みつつページをめくっていて、ぐっと息が詰まるような文章に出会いました。 

戦前活躍した北海道士別出身の彫刻家、阿部晃工(あべこうこう)が東京美術学校時代に利き腕の右を複雑骨折し、生活にも行き詰まり彫刻家を断念して帰郷しようと母親に便りをしました。 それに対する母からの手紙の文章です。

「手紙見ました 大分困って居るやうですね(略) 今家は大変です 一銭の金も送ってやれません 母はお前を天才児として育てて来ました 母はそれが誇りだったのです 今はお前も一人前の人になりました その一人前の人間が食べられないから帰るとは何事です 

乞食でも野良犬でも食べて居ます お前は野良犬や乞食にも劣る意気地の無い男ですか 母は末っ子のお前を甘やかして育てたのが悪かったのです けれどもそんな意気地なしには育てないつもりです 食べられないなら食べずに死になさい 何で死ぬのも同じ事です 運命なのです(略) お前は母がいつ迄も優しい母だと思って居るのは間違ひです そんな意気地なしは見るのもいやです 帰っても家へは入れません 死んで死んで骨になって帰ってきなさい(略)

そして一日も早くお前の死んで帰る日を母は待って居ます 喜二郎どの母より」

「死んで死んで骨になって帰ってきなさい」 激しい言葉の裏側に深い愛情があふれています。 この手紙に発奮した晃工は左手で製作し、彫刻界の重鎮になったそうです。 しかし、母親はその大成を見届けることなく、この手紙を出した翌年、53歳で病没しています。 家に帰り、この手紙の全文を読みたいとGoogleで検索したのですが見つかりませんでした。 分かったことは、士別市立博物館に晃工の彫刻とともにこの手紙が展示されていること。 その手紙には涙で濡れた跡がある、ということです。

情報化研究会大会「2010年のネットワークを展望する」 (12月17日)まで3週間になりました。 現時点で参加者は43名となっています。 12月15日まで受け付けます。
来年2月3日にNET&COMで講演することになりました。 2000年以来、連続7回目です。 テーマは近々に発表します。
 

「FMCの4方式」

FMCなんて大したことないと思っているので、あまり書きたくないのですが何故かFMCの情報が入ってきます。 今週もソフトベンダーの方が2時間近く、FMCのレクチャーをしてくれました。 FMCと一言で言っても方式が大きく、4通りあるとのこと。 いい勉強になりました。 ポイントだけ紹介します。

@IMS/3G方式
英BTや、独Tモバイル(日本のキャリアも?)などが目指しているSIP/IPベースの方式。  モバイル網自体をSIPで制御し、レイヤ1から7、つまりアプリケーションまで含む高度なサービスが可能。 たとえば、外から自宅に帰ると自動的に着信先が固定電話に変わる、とか、留守番電話の設定にしておいて特定の発信元、たとえば上司や奥さんの電話だけ着信させる、といった使い方が実現できる。

AUMA(Unlicensed Mobile Access)方式
モバイル網はレイヤ1−3しかカバーせず、単純なサービスしか出来ない。 WiFiをモバイル網に接続するだけ。 携帯の基地局をユーザ宅に設置する方式もUMAの一種。 KDDIのモバイルセントレックスサービスはこれに当たる。

BSS7方式
SIPベースのWiFi端末とレガシーなSS7を使っているモバイル網とを接続するブリッジ装置を使って、WiFiをモバイル網の端末として使えるようにする方式。 やはりレイヤ1−3のみで、通話サービスしか提供できない。 SS7はレガシーな電話網の信号方式。

C構内設置方式
NECのSV7000がこれ。 構内設置されたサーバの外は当たり前のISDNやIP電話回線にすぎず、単にWiFi端末が携帯モードも持っているというだけ。 

ということです。 米国の調査会社の予測では将来的にはIMS/3G方式が大きなシェアを取るとのことです。 世界のキャリアの中では、やはりBTがFMCに一番熱心なようで、WiFiだけでなく、WiMAXもアクセス網として考えているそうです。

日本と違って、米国やイギリスでは携帯の電波が届かない住宅地も結構あるそうで、そういう場合には街でケータイとして使っている端末を自宅でWiFi経由で使えるのは価値かも知れないですね。 通話料も安いようですし。 どこにいてもケータイの電波が受かる日本では、FMCの必要性は低いように思います。 干渉だらけのWiFiを使うよりどこでもケータイの方が合理的かも知れません。
 
 

ホームページへ