間違いだらけのネットワーク作り(402)2005/10/01
記事評「携帯・固定、番号を一本化」(9.26日経夕刊)

今朝、日経バイト11月号「間違いだらけのネットワーク作り」の最終校の確認が終わりました。 11月のテーマは「コントラストを大切に」です。 何のことやらこれだけでは分かりませんね。 ネットワーク更改に対してアドバイスを求められた私が、ユーザが考えている案に対して全く違う観点からの対案を提示する、というエピソードを中心にネットワークを企画する際の考え方について述べています。 コントラストを大切に、とは「対案」を考えることが重要で、それは「対」という字が表すように元の案と似通っていたのでは意味がありません。

それにしてもネットワークの世界、コントラストをはっきりさせる、つまり、他の提案との差別化を明瞭にするのが難しくなっていますね。 しかし、来年はちょっと新しい切り口が出てきます。 それが今週のテーマFMCとその電気通信番号です。
 

記事評「携帯・固定、番号を一本化」(9.26日経夕刊)

26日の日経夕刊、27日朝刊と矢継ぎ早にFMCの記事が掲載されました。 それによれば、総務省はFMCを後押しするために固定と携帯の電話番号を1本化する方針を固めたとのこと。 「固定・携帯融合サービス」の実現時期は2007年度、と書いています。 8月10日に総務省が公表した「IP時代の電気通信番号のあり方に関する第一次報告」ではFMC向けの電気通信番号は要検討となっているだけで方針は示されてなかったのですが、日経の記事が正しいならこの1ヶ月あまりで方針が決まったということになります。 まあ、当たり前の結論ですが、英BTや韓国KTに2年も遅れるのは何だかなあという感じです。

FMCは3つの点で画期的だと思います。 一つはこれまで聖域だった高い携帯通話料で値崩れが始まる可能性が高いということです。 「間違いだらけ396号」で触れたとおり、FMCは固定が携帯のトラフィックを奪うことであり、その部分の料金は安価な固定料金になるので、まずここが値下がりの要因になります。 だけではありません。 FMCは090や080だけでなく、050でもサービスされるでしょう。 050でのサービスは携帯網を極力使わずホットスポットや企業や家庭の無線LAN環境での利用に主眼を置くでしょう。 携帯通話の固定化よりさらに値下げのインパクトが大きくなります。 

二つ目の画期的な点は通信事業者間の競争の仕方が大きく変わることです。 携帯と固定の会社が異なるNTTグループや、もったいなや固定を切り離してしまったVodafoneはFMCのサービス開発や料金システム作りで苦労するかも知れません。 そして大手キャリアのすきまを縫って、特徴あるサービスを提供するベンチャー系のキャリアが出てくるのではないでしょうか。 競争はどんどんしてもらえばいいのですが、ユーザが不利益をこうむるような相互接続拒否といったツマラナイことはしないでほしいですね。 

三つ目の画期的なことはここには書きません。 実はこの点がこれからの企業ネットワークで「コントラスト」を出す上で大事なことだと思っています。 それにしてもIP化の進展がレガシーな電話の世界を壊していくスピードは予想以上に速いですね。 

おまけです。 情報通信白書17年度版が総務省のHPに掲載されました。 これを見るとキャリア間の過当競争でいかに通信市場が縮小しているか、とか電話の通話時間が年々減少していることが分かります。 意外なオススメは「情報通信白書forKids」です。 分かり易く要点がまとめられているおり、大人にとっても便利です。 たとえばこんな図があります。

この図自体はいいのですが、吹きだしのコメントはミスリードの危険があります。 携帯電話の通話時間は端末数の増加で微増していますが、携帯電話1端末あたりの通話時間は年間約23時間で、ここ数年一定なのです。 1端末で電話をかける時間自体は増えてないのに、吹きだしのコメントを見ると増えている印象を与えます。 実は平成16年度の情報通信白書には発信端末別の年間通話時間の総計の年度推移と、携帯1端末あたり、固定電話1回線あたりの年間通話時間の推移の統計がありました。 しかし、17年度版ではなぜかカットされているのです。 電話の通話自体は総体では年々減少、携帯でも1端末あたりは横ばいです。 一番興味深い統計を何故削除したのか総務省の意図は不明です。 

この図で面白いのはPHSの通信時間が端末数の減少にもかかわらず増えていることです。 データ通信定額サービスでの利用が多いのでしょうね。 

(お知らせ)
HPにも表示していますが、11月1日に下記セミナーで講演します。 講師それぞれが講演内容を紹介していますが、内容の対比が面白いです。 私以外はNTTドコモとNECの方です。 ユーザの立場の私、キャリア、メーカーの立場のお二人。 どの話が面白く役に立つか、聞き比べるのも一興です。 FMCの中でIP/モバイルセントレックスがどうなるか、各スピーカーがそれに触れるか触れないか、触れるとすればどんな意見なのか、私はそこに興味を持っています。 私はFMCに言及します。

IP/モバイルセントレックスの導入と運用の実際

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