間違いだらけのネットワーク作り(387)2005/06/18
講演評「IP−Phoneとオフィスプラン」(旭電化工業殿)

昨日の午後、化学工業系メーカーにおける、第102回のMISに関する研究会で講演するため神田一ツ橋の如水会館へ出かけました。 この研究会は日本を代表する化学工業系メーカー20数社がコンピュータシステムに関わる啓蒙や情報交換のために年2回開催しているものです。 3月に講演依頼を受けたとき「第102回」というのに驚き、変わらないものや継続するものに対して憧れのある私は感激しました。 何しろ昭和29年、私が生まれる前から半世紀以上続いているのです。 MISと聞いても情報通信の世界で10年程度しか経験のない人ではピンと来ないでしょう。

Management Information Systemの略で手元にある昭和56年発行の有斐閣「経営学小辞典」によると、「経営情報システム」と訳される(されていた)とのこと。 アメリカで1950年代に現れ、60年代には日本でもブームになったそうです。 最高管理層から下級管理層にいたるあらゆる経営管理者が意思決定を行うために必要な情報を提供することを目的としたものだったのですが、コンピュータ利用の経験が積まれるにしたがってその非現実性が批判されました。

MISがすたれて、この研究会の名前からも「MIS」を取ろうとしたことがあったようですが、歴史のある名前なので残ったようです。 半世紀が経ち、コンピュータ技術もネットワークも文字通り隔世の進化を遂げました。 ひょっとしたら、MISは現在の技術を用いれば当時の理想に近いものが出来るかも知れません。

私はこれからの企業ネットワークの考え方について90分講演したのですが、その冒頭で半世紀続いているすばらしさについて述べました。 昭和29年に生まれていなかった人に挙手してもらうと、3分の2くらいの方が手を挙げました。 私と同様な人が多いのですが、そんなことに感動するのは私くらいかも知れません。
 

講演評「IP−Phoneとオフィスプラン」(旭電化工業殿)

私の話については研究会終了後のパーティでたくさんの方から感想を聞くことが出来ました。 「東京ガスさんのIP電話はもともとルータを捨ててしまって安価なルータレス・ネットワークを構築することが出発点だった」、「難しいベンダー資格を持った部下にネットワークの企画・設計をさせたのでは、新しい発想や客観的な製品選択が出来ない可能性が高い」、「オープンな設計で、回線も、機器も、SIベンダーも何時でもパーツごとにリプレースできるようにしましょう。」、「選択することを放棄したのでは情報部門である皆さんの価値は半減します。」といった話をしました。

メーカーや通信業者あるいは普通のSIerでは口にしないことを話すので、皆さんの感想を一言でまとめれば、「インパクトがあった」となります。 パーティが終わると名刺を40枚ほど頂いていました。 新しい縁が出来て、ありがたいことです。

さて、ユーザ企業としては旭電化工業の千葉課長様が「IP−Phoneとオフィスプラン」と題して講演されました。 旭電化工業さんは東京ガスさんと同じIPセントレックスを新本社ビルで導入します。 千葉さんの話はIP電話やLANの設計・工事とオフィスレイアウトを情報システム部が主体となって一元的に行うべきだ、という視点が新鮮で大変勉強になりました。

旭電化工業殿に限らず、オフィスの移転や新設の際にオフィスレイアウトは総務部が決めていました。 ユーザからオフィスレイアウトの要望を聞くと、それを什器販売会社(机などを販売している会社)に依頼してレイアウトを作成し、机や什器を配置する。 それと別の動きでLANの配線や電話工事をする。 レイアウトが直前まで決まらず、配線を図面なしに当日現場で業者に指示して行うこともめずらしくなかったようです。

しかし、パソコンが一人一台になり、IP電話が導入されると、机や什器のレイアウトはLAN・IP電話の配線設計と一体的に行う必要があり、総務部主体では困難になりました。 旭電化工業殿では情報システム部でCADを使ってレイアウトやLAN配線図面を作成し、配線メンテナンス性の高い机を「選択」して新本社のオフィスプランを作成しているそうです。 

すばらしいことですね。 サラリーマンにありがちな押し付けや丸投げがない。 面倒なことは他のセクションに押し付ける、あるいはレイアウトを考えるのが大変だからと「選択することを放棄し」什器販売会社に机も、配線も、ひどい時には電話機の選択も丸投げする。 コストは高くつくし、ベストのオフィスレイアウトになる保証はありません。 旭電化さんのような「主体性」が情報システム部門の存在価値を高めることになるのではないでしょうか。
 

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