間違いだらけのネットワーク作り(385)2005/06/04
記事評「2つのIP電話特集」

6月17日(金)午後、 如水会館でネットワークの講演をします。 オープンなセミナーではなく、業界団体のシステム部会なので一般の方は参加できません。 1時間30分という短い時間の中で、何にポイントを置いてお話しようかと色々思案しているところです。 講演はこうしてあれこれ考えている時が楽しいですね。 マクロなことから、ミクロなことまで話したいことは山ほどあるのですが、あまり盛りだくさんにすると分かりにくくなります。 どんな講演が理想かと言えば、聴いていただく方にとってネットワークの企画・検討に役立ち、かつ私のビジネスチャンスにも結びつく講演です。 講演の後に懇親パーティが予定されており、皆さんの感想や意見をうかがえるのも大いに楽しみです。

6月30日の下記講演ではSkypeに言及する時間が多くなりますが、Opinionは変わりません。
『Skype』の衝撃 〜通信市場はどう変わるのか!?〜
 

記事評「2つのIP電話特集」

今回は日経コンピュータと日経ソリューションビジネスの記事を取り上げます。 それにしてもIP電話はブームが終わっているというのに、他にネタがないのかと思うくらい繰り返し特集が組まれます。 そろそろ新しいテーマを見つけて欲しいですね。 

「IP電話大狂騒の裏側」(日経コンピュータ 5.30)

日経コンピュータまでセンセーショナルな表題をつけるようになりました。 夕刊紙のような見出しはかえって読者の不信を招くと思うのですが。 特集の中のメインは「検証・東京ガスのIP電話導入」です。 副題は「二つの誤算で短期導入を断念」となっており、これだけ読むとまるで東京ガス・IPセントレックスが失敗のように思えます。 しかし、東京ガスさんがかなり細かな数字を公表されたことで目標としたネットワークコスト50%減には届かなかったものの、40%減のコスト削減に成功したことが分かります。

「2つの誤算」という言い方は取材先に対して失礼な表現ですね。 読者の気を引くにはマイナス・イメージが強い方がいいということでしょうか。 誤算ではなく、「軌道修正」です。 一つは、新しいPBXまで捨ててIP−Phoneにすると償却損で経済効果が損なわれるから、老朽化したPBXを順次IP電話化することにしたこと。 二つ目はIP電話移行工事のコストが予想より高くなったため、IP電話工事とLAN工事のやり方を改善したこと。 これだけのことです。 世の中にないことにチャレンジしたのですから、その過程で合理的な軌道修正を図るのは当然のことです。

さらにつけ加えるなら、老朽化したPBXをIPセントレックス(自営でなく、サービスとしてNTTデータが回線や機器とともに一括レンタルしているもの)+IP−Phoneで更改するだけでなく、新設オフィスにもIPセントレックスが導入されています。 17年3月まではプロジェクトを推進する設計チームが私のところにありましたが、3月の移行完了で解散し、営業のみにしています。 営業と工事・保守部隊でオフィスの新設工事や日々の移設・増設をルーチン的にこなしている状況です。 つまり、IPセントレックスの設定、番号ポータビリティ、IP電話、LAN工事などがルーチンで回せるくらい見積もりや工事手順が完成されたということです。 これは私のビジネスユニットの大きな財産になっています。

私は企業のIP電話の第一の目的はコスト削減、とりわけ設備コストの削減だと一貫して主張しています。 この記事はそれが間違いなく実現できることを公にしてくれたという点で、価値があると思います。 それと特集の冒頭にある、「IP電話ブームの火付け役は、言わずと知れた2002年末の「東ガスショック」と言うのは、このプロジェクトに携わった多くのメンバーにとっては誉め言葉だと受け止めています。

その一方で、業務改革を主目的にしていたはずのUFJ銀行やコニカミノルタの主な目的がコスト削減になっている(P.65の表)のはおかしいですね。 UFJ銀行のIP電話がいったいどうなっているのか情報が乏しいですが、次に触れる日経ソリューションビジネスにその一端が書かれています。 コニカミノルタはNET&COM2004で、「増力化最優先」で行き着いたIP電話システム ■講演概要 コニカミノルタホールディングスがIP電話の導入を決めたのは,単なるコスト削減のためではない。 真の導入ポイントは「付加価値」や「発展性の高さ」にある。」という講演をしています。 明らかに主目的はコスト削減ではありません。

コスト削減を目的とした東京ガス事例のように、業務改革を目的とした事例についても詳細な取材と分析をして欲しいものです。 取材に応じられないのが実態かも知れませんが。

「もう電話は売らない」(日経ソリューションビジネス 5.15)

この記事が眼についたのはめずらしくUFJ銀行のIP電話のその後について書いていたためです。
「”業務改革”を目的としたIP電話商談のもろさを象徴するのが、シスコの製品を採用し、2003年秋に始まったUFJ銀行のIP電話導入プロジェクトだ。 4万台近いIP電話導入、全500店舗のPBXを撤去へ、と報じられた世界最大規模の案件が、試験導入のまま棚上げされているのだ。  その理由は、後に浮上した東京三菱銀行との合併という特殊事情だけとはいえない。 合併計画が明らかになる前に、プロジェクトはすでに遅れていたからだ。」

あれだけ注目されたプロジェクトなのですから、こんな中途半端な情報でなく正式なニュースリリースとして結果が公表されることを期待します。
 

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