間違いだらけのネットワーク作り(376)2005/04/02
記事評「無線IP電話」(日経NEWORK)

京都研究会まであと1週間になりました。 現時点で32名が参加予定です。  P2Pアプリケーションを開発している方、無線IP電話端末を開発している方、SIPベースのソフトフォンを開発している方、そしてもっとも多いNTTグループの方、等々多彩な顔ぶれです。 どんな話が聞けるのか今から楽しみです。  昨年は4万台IP電話を導入する都市銀行のことや、数100台の無線LAN端末を導入している事例が話題になりました。 そう言えば、4万台の銀行はどうなっているんでしょうね、宣言してから1年半が経って。 

第6回京都研究会(第24回情報化研究会)のお知らせ

記事評「無線IP電話」(日経NEWORK)

2年ぶりに日経NETWORKの購読を再開しました。 創刊以来購読していたのですが、毎年同じような記事が繰り返されるように感じたので止めていたのです。 しかし、無線LANやセキュリティなど、Updateすべきことが増えてきたので再開したのです。 お勉強モードの雑誌の方が、センセーショナル・モードの雑誌より楽しく読めます。

4月号では製品研究室というコラムで無線IP電話が取り上げられていました。 小見出しが結論になっています。 「製品の違いがはっきり現れるのはセキュリティとQoSの実現手法」。 比較表を見て意外だったのはNTTドコモの900iLがTOSを使った音声パケットの優先度指定も、送信権の優先取得も対応していないことです。 TOSは対応していたように思うのですが、要確認です。

QoSの手法としては基本的な3つを解説しています。 TOSと、無線LANの送信権制御(音声パケット待ち合わせ時間を短くする)、アクセスポイントへの同時接続数の制御です。 この記事を読むとセキュリティやQoSについて製品を比較する際の基本的な着眼点が分かります。

記事の中での面白いセンテンスは「製品導入前の設計段階での工夫がとても重要だと主張するメーカーが多い」というものです。 これも確かに重要ですが、プラスして「導入後の調整やトラブルシューティング、ソフトウェアの修正も重要」というのが現時点での無線IP電話の現実ではないでしょうか。

記事ではトラブルについては書かれていませんが、新しいトラブル用語として「RegisterStorm」とも言うべき現象も起きています。 多数の無線LAN端末が使われているビルで12時になると、首から端末をぶら下げた社員がいっせいに食堂に移動し、それらのIPアドレスが変わるためSIPサーバにRegisterが短時間にたくさん送信されて過負荷になる、という現象です。 あっぷあっぷの処理能力しかないSIPサーバを使う時は要注意です。 「食堂に行くときは端末は置いていきましょう」などという対策が必要になったら笑い話になります。

製品選択は端末だけ見ても出来ません。 使えるサーバと、その機能・処理能力によって同じ無線LAN端末でも出来ることが違ってきます。 この記事の比較表には先週の記事で取り上げた転送のありなしも載っています。 しかし、「転送」にも簡易転送と応答転送があります。 応答転送は転送先の相手が電話に出たら、電話を転送する旨を伝えて自分の電話を切る方式です。 簡易転送は転送操作をして、転送先の人が出る前に電話を切る方式です。  端末の中には応答転送しかサポートしてないものもあります。 自分のとなりの人に転送するのに、相手が出るまで待っているなんて不自由な使い方です。

このように、現在の無線IP電話はちゃんと動くかどうかという技術的チェック、機能が満たされているかどうか、という仕様のチェック、ともにエンドユーザが自分で選択するのは困難な状況です。 現時点では無線IP電話は成熟していないと言わざるを得ません。 
 
 

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