間違いだらけのネットワーク作り(368)2005/02/05
「Skype研究A Skypeに出来て2万円のソフトフォンに出来ないこと」

昨日はNET&COM2005での講演「『逆転の発想』が企業ネットワークを変える」を無事終えました。 無事とはおおげさなと思うかも知れませんが、カゼを引いたり体調不良で声が出なかったりしたら大変な迷惑をかけることになるので本番2週間前くらいからは、カゼを引かないように体調に気を配っているのです。 NET&COMには2000年以来、連続6年招いていただいていますが、まだ一度も悪いコンディションで講演したことはありません。

今年も有料セミナーなのに会場の定員を超える方に来て頂き、イスを講師の私の眼の前まで追加で入れたため皆さん窮屈そうで気の毒でした。 しかし、ところどころ笑いながら、しっかり視線を私の方に向けて聴いてくださったので、内容には満足いただけたように感じました。 質問の時間には「元気の出る話をありがとうございました。」と言ってくださった方もいました。 これが、一番嬉しいコメントですね。 知識や見識といったものだけでなく、エネルギーを受け取ってもらえたら講師冥利につきるというものです。

NET&COM2005の詳しいまとめは来週と再来週に掲載します。 理由は2月10日にエンドユーザ企業の方のみを対象とした200名超の方が参加するセミナーを開催するからです。 内容がほぼ重複するので、今回はSkypeに関する1点だけコメントします。  日経バイト誌の記者の方がNET&COM講演の記事を書いてくれました。 さすがに要領よくまとめてくれていますが、いくつかの省略して欲しくないポイントが書かれていません。

その一つがSkypeに出来て2万円のソフトフォンに出来ない「生産的」な使い方です。

【NET&COM 2005速報】「Skypeに学べ」,NTTデータの松田次博氏が講演
 

「Skype研究A Skypeに出来て2万円のソフトフォンに出来ないこと」

Skypeはコラボレーションに適する

私はソフトフォンがコラボレーション・ワークとモバイル・ワークに適していると考えています。 実際使ってみて、これらの使い方は利便性・生産性を向上させると確信しました。 しかし、Skypeにはそれが可能ですが、2万円あるいは1万円のIP電話機器ベンダーのソフトフォンでは、コラボレーションやモバイルで生産性をあげることは出来ません。

Skypeがコラボレーション・ワークに適しているのは、プロジェクトを構成する複数の企業のメンバーのプレゼンスをコンタクトリスト上で見ることが出来るからです。 対して、2万円のソフトフォンはtoo muchな機能はありますが、プレゼンスは自社内のメンバーしか表示できません。 皆さんプロジェクトを持っていれば分かると思いますが、自社メンバーだけで構成させるプロジェクトなんて、ITの世界ではよほど小規模なプロジェクトです。

プロジェクトは4社、5社のメンバーが参画しているのがふつうであり、Skypeならこれらのメンバーがプレゼンスを簡単に共有できるのです。 社内だけで使えるプレゼンスなど、私にとっては意味がありません。 

NET&COM講演ではSkypeを使って、4者会議通話をデモしました。 先ず、京都のKさんには講演が始まる直前にSkypeで電話をかけ、講演を終始京都で聞いてもらいました。 私が講演で使っているノートPCに1500円のヘッドセットを接続し、そのマイクから私の講演をKさんに流したのです。 私はヘッドセットを装着しておらず、机の上に置いたままだったのですが、安いマイクでも感度はよくKさんは普通に聴こえたそうです。  Kさんはヘッドセットを使いましたが、もしスピーカーを使ったら、京都でKさん以外の方も一緒に講演を聴けたことになります。 つまり、Skypeは複数拠点間、各拠点複数メンバーが参加する電話会議を簡単に出来るのです。

デモでは、京都のKさんに加えて、会場にいるIさん(@Freed+ノートPC)、東京のサーバ・ベンダーに勤めるUさんを次々に会議通話に招待し、4者通話にしました。 私、Kさん、Uさん、Iさん、皆、違う会社に所属しています。 会議通話は5拠点まで可能です。

ちなみに私のコンタクトリストにはプロジェクトの主要メンバーのSkype名が登録されており、違う会社の人でもいつでもプレゼンスが見え、オンラインなら電話をかけ、取り込み中ならチャットでメッセージを送っておく、といった使い方をしています。 

とりわけ便利だと感じているのはチャット会議です。 これだと周囲の人に迷惑をかけずに、3、4人での相談が出来ます。 チャット会議は最大50人までです。

Skypeはモバイルに適する

私やIさんはノートPCに@Freedをつけ、LAN環境、つまり固定通信設備があるところではEthernetケーブルをPCに接続してSkypeを使い、それがない場所では@Freed、つまり無線で使っています。 固定通信、無線通信の両方でシームレスに電話の着信を受けたり、発信したり、チャットやファイル送信をしたり出来るのです。 これをFMC、FixedMobileConvergenceと呼ばずに何と呼ぶのでしょう。

IPはもともと物理メディアに依存しないものです。 Skypeが有線でも、無線でもそれを意識せずに使えるのは当然と言えば当然です。 IPアドレスは使う場所によって変わりますが、SkypeはIPの上にオーバレイされた、SkypeNameによる独自のアドレッシングやルーティングの仕組みを持っているのでしょう。 
 

「内線」という概念の消滅

携帯端末が無線LANで内線端末として使える。 大したことではありません。 ごく近い将来、「内線」などという概念は消滅します。 Skypeではすでに消滅しています。 インターネット上で、おたがいに対等な端末がP2Pで直接電話やチャットをする状況では、内線・外線などという区別はありません。 コンタクトリストに載っている人は社内の人だろうが、社外の人だろうが、まったく区別などする必要がないのです。

「内線」とは、企業内にPBXやIP電話サーバがあり、それが自社内の通話を交換している時代の言葉です。 PBXがなくなり、IP電話サーバも不要なIPセントレックスやSkypeのようなP2Pの世界では「内線」と言う概念そのものが消えるのです。

まったく、面白い時代になりました。 Skypeが将来どうなって行くかは分かりません。 しかし、上記、日経バイト誌の講演記録にあるように、これからの企業ネットワークのあり方を考えたり、ネットワークの世界でのキャリアとユーザの役割分担、キャリアと電話や双方向映像通信サービス・プロバイダーの役割分担を考える上で、Skypeは大変いい教材です。 
 
 

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