間違いだらけのネットワーク作り(354) 2004/10/30
「無線SIP端末の同時通話数A」

先日、久しぶりに八重洲ブックセンターで出久根達郎さんの新著「古本・貸本・気になる本」(河出書房新社、1600円)を買いました。 この人は寡作なので年に1冊程度しか新著は出ません。 OLとかは読まないので、丸の内OAZOの丸善には一冊もありませんでした。 Amazonで検索してもランキングが低く、読者が少ないのだなあと分かります。 別に自分が気に入っていれば他人が読もうが読むまいがどうでもいいことですが。 独特の視点と温かみのあるていねいな文章で書かれたエッセイは就寝前の読書にピッタリです。 

同じ日に嵐山光三郎さんの「退歩的文化人」のススメ(新購社、1500円)を買いました。 この人の本を読むのは初めてですが、タイトルが面白かったので衝動買いしました。 出久根さんとは180度違う文章で、せわしない。 この人の文体を「昭和軽薄体」と呼ぶそうです。  同じ軽薄体でも椎名誠は好きなのですが、この人のはせわしなさすぎる。 還暦をすぎてこんな文章をかけるのには感心しますが、二度と買わないでしょう。
 

「無線SIP端末の同時通話数A」
先週の記事の続報です。

先週の記事
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日経コミュニケーション10月15日号に無線LAN上でのIP電話端末の実験記事が載っていました。 ローミング時間と同時通話数を評価していましたが、ちょっと経験値と比較して違和感があったのが同時通話数です。 評価対象となっている機器での経験値はせいぜい、10端末程度と思っていたのですが、16とか18という結果でした。

実験の条件としてポイントとなる情報が書いてないので、そこがはっきりするといいのですが。 この実験では8通話分のトラヒックをスマートビットで発生させ、それを超える部分で実端末を使っています。 問題はスマートビットの使い方です。 送受信に使うMACアドレスが1対、つまり2つのMACアドレス間に8通話分のトラヒック負荷をかけても無線LANの本当の負荷にはなりません。 送信するMACアドレスが多くなればなるほど送信権の競合が起こり、オーバーヘッドが大きくなります。 この記事の実験ではスマートビットで8通話、16端末分のMACアドレスを使ってランダムな音声送信を発生させたのか、それとも単純に1対のMACアドレス間でトラヒックだけ8通話分負荷をかけたのかが明記されていません。

もし、1対だけで負荷をかけたのなら、同時通話数が経験値よりかなり多いことにも納得が行くのですが。 

ちなみに、実ユーザでもSIPサーバに300台以上の無線SIP端末を接続した事例が出ています。 そこでの実績値も同時通話数は10通話程度です。 同時通話数はともかく、色々な問題も出ているようで、現時点、無線SIP端末を使ったIP電話の設計やインストールのノウハウ蓄積はまだ進行中という状況です。
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以下は今週
スマートビットでの負荷のかけかたが、8通話、16端末分のMACアドレスを使ってかけたのか、1対のMACアドレスの間でトラヒックだけ8通話分負荷をかけたのか、が日経コミュニケーションの記事には書かれてなかったのですが、1対のMACでかけたようです。 1対ですと、MACの数はスマートビットで2つ、実端末で8通話16個、ないし10通話20個、合計で18個から22個です。

スマートビットを使わず実端末だけで16通話−18通話使うと32個−36個ですから、送信権を奪い合うMACの数はスマートビットを使った場合の方がかなり少なくなります。 実端末だけで負荷をかければ通話品質を保てる同時通話数は減るでしょう。

また、CISCO社の無線IP電話端末の実験結果も囲みで小さく出ています。 この結果もかなりの数まで同時通話出来たとなっています。 不思議なのはCISCO社のWebに公開されているマニュアルhttp://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/product/hs/iptel/wireless/tech/pdf/7920_deployment_Guide_June_2004.pdfでは、「1つのAPあたりの同時通話数はG711で7通話、G729で8通話を超えないこと。」(8ページ)となっていることです。 この推奨値と実験結果と、どちらで使うのがいいのか、その関係が分かりません。
 

無線SIP端末で起こった「有線」での思いがけないトラブル

私のところでは複数のAPを設置して無線SIP端末の試行をしており、名刺にも無線SIP端末に付与した050番号を記載しています。 やはり関心があって050番号へ電話をかけてくる方がいます。 今週になって、相手側で音が途切れ気味、と言われました。 相手はNTTの通常の固定電話です。 私の方は良好です。 無線SIP端末→固定電話でトギレ、固定電話→無線SIP端末はOK、という非対称な現象です。 固定のIP−Phoneに変えてみると問題ありません。

最初は無線LANでJitterが大きくなっているのかと調べたのですが、上り下りともまったく問題なし。 Jitterは数ミリ秒しかなく、ほぼ一定していました。 担当の人たちが寄ってたかって調べたのですがラチあかず。  そのうち、ワイアレスコントローラーに接続しているアクセスポイントを予備のAPに変えるとOKということが分かりました。 しかし、APそのものは同じベンダーの製品で、個体差があるとは思えません。  結局、APを変えることで違うのは有線部分の接続方法だと気づきました。  このAPはPOE(PowerOverEthernet)を使っているのですが、POE対応の小型LANスイッチとワイヤレスコントローラーの接続されている通常のLANスイッチの相性の問題で、POEスイッチ→LANスイッチでパケット落ちが出ていたのです。 逆方向のLANスイッチ→POEスイッチは問題なし。 

今はトラブルは解消していますが、面白いトラブルが起こるものです。 
 
 

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