間違いだらけのネットワーク作り(352) 2004/10/16(2005/05/28 比較表を修正)
「ドコモvsAU、モバイルセントレックス比較」(NetworkWorld12月号より)

先週のCEATECでの講演で、皆さんが記入してくれたアンケートのコピーが私の手元に届きました。 名前と顔を知っている情報化研究会の会員の方が何人か参加されていました。 たぶん、顔を知らない人もけっこうおられたと思います。 参加いただいてありがとうございました。  参加者の中には遠く四国や大阪、京都からの方もおられました。 四国の方は5月に香川マルチメディアフォーラムで行った講演を聞いてくれた方のようで、コメント欄には激励の言葉までいただきました。 ありがとうございました。

「ドコモvsAU、モバイルセントレックス比較」(NetworkWorld12月号より)

昨日、NetworkWorld12月号が届きました。 創刊号を含め何回か寄稿した縁で、毎月編集部から送っていただいているのです。 12月号で眼についた特集は「モバイルセントレックスの”いま”を把握せよ!」。 この雑誌の記事は実際にネットワーク構築に携わっている人が書いているので、センセーショナルでなく、具体的で読み応えがあるのが特徴です。 この特集は30ページ近くあります。 定期購読だけでなく、書店売りもされています。

30ページをていねいに読むのは大変なので、関心のあるところだけ拾い読みしました。 で、今週の「間違いだらけ」のネタとしてドコモのモバイルセントレックスとAUを比較すると面白いなと思い、さっそくこの記事を書き始めたということです。 ドコモvsAUをNetworkWorldが比較しているわけではありませんので、誤解しないでください。 特集に書かれた情報から私が勝手に比較するだけです。

結論から書きましょう。 私はドコモのIPセントレックスの方が優れていると思います。 純粋にユーザーの立場から見て、そう思うのです。 私が著作や講演で繰り返し主張していることは、ユーザーにとって大切なのはベンダーやキャリアの奴隷にならないことであり、そのためにはユーザーがサービスや製品を何時でも自由に選択でき、部分的なリプレースも可能なオープンな設計が重要だということです。  この観点で見ると、ドコモ方式はオープン性が高く、AU方式はキャリアによるユーザー縛りの色が濃いということです。

話が根本に戻るようなのですが、実は私は「モバイルセントレックス」などと言うものは存在しないと思っています。 ただ、訳の分かってないセンセーショナルなのが好きな人たちがモバイルセントレックスというと、何だか新しいので誤用を始めただけです。 私も会社で「モバイルセントレックス」を使っていますが、単に、IPセントレックスの端末がワイヤレス端末であるだけです。 ワイヤレスだろうが、有線のLANだろうが、IPセントレックスやIP−PBXからはそんな低いレイヤは見えません。 ワイヤレス端末も固定IP−Phoneも、同じSIP端末としか見えないのです。 

このことを明確に意識しているのがドコモ方式のコンセプトです。 「FOMAが社内にいるときはIPセントレックスやIP−PBXの端末として使えたらユーザーは便利だ。 オープンなSIPをベースとし、仕様を開示して多様なSIPサーバと接続できるようにしよう。」 という発想です。 AU方式はクローズドな携帯電話で内線も取り込んでしまえ、という発想で、これは文字通り「モバイルセントレックス」かも知れません。 選択の余地なく、設備も端末もサービスもずっとAUを使いなさいと言うコンセプトです。 簡単に比較したのが下表です。
 
 

ドコモvsAU モバイルセントレックス比較
            ドコモ                AU
           コンセプト 携帯電話端末を社内でIPセントレックスやIP−PBXの端末として利用できるようにすることで、利便性を高め通信コストも抑える。 また、携帯端末の用途を広げ付加価値を高める。 携帯電話網の小型基地局やアンテナを企業内に持ち込み、携帯網で社内電話を取り込む。 携帯のメールやwebサービスを社内で活用。
            仕組み 携帯電話と無線LANのデュアルモード端末をIPセントレックスや、IP−PBXなどのSIPサーバの端末として利用。

SIPはRFC3261ベースの標準機能(発着信、転送、保留)と、オプション機能の2種類を使い分けられる。 標準機能だとSIPサーバの選択の幅が広がる。 オプション機能も開示されている。

SIPサーバ配下で、有線固定IP−Phone、ドコモ以外の無線SIP端末との共存が容易。

無線LANは標準仕様だが、端末、SIPサーバと連携しており、どんな製品でも同じことが出来る状況ではない。

社内通話は無料、社内から外部へ発信するときは固定のIP電話サービスと同じ低料金。 

小型基地局を企業内に持ち込むか、端末数が少ない場合は局設置の基地局をシェアする。

基地局設備、企業内設置アンテナ、端末、サービスはAUしか選択の余地はない。

社内通話は定額料金に含まれる。 社内から外部の固定電話への発信は携帯発固定の料金。
 

           オープン性                低い
    (基本機能でもSIPの独自性が強い)
               なし
        PBXの必要性 SIPサーバが多様な電話機やPBX機能をカバーしているためPBXは不要。 ただし、メーカーによっては必要。 ボタン数の多い固定型の無線端末は用意されていないし、PBXほどの豊富な機能もないため、基地局とは別にPBXを併設する必要がある。
            拡張性 SIPの独自性が強いため、サーバが転送などの機能をサポートするのが難。 独自の世界。

 
 

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