間違いだらけのネットワーク作り(351) 2004/10/09
「構内PHSか、無線SIP端末か」

昨日はCEATEC Japanで「動かして分かった大規模IPセントレックス成功のポイント」と言うテーマで講演。  会場が狭いため、事前申込みは早々と300名で打ち止めになったそうです。 1時間という短い講演でしたが、皆さん面白そうに聞いてくれたので気持ち良く話せました。 無線SIP端末として日立電線のWIP5000と、FOMA N900iLの実物を持っていき、特徴を紹介しました。 無線SIP端末での通話が5分間が限度である理由も話しました。 まあ、5分というのは誇張した言い方かも知れませんが、皆さんも使ってみればすぐ分かります。

さて、InternetWeek2004で似たようなテーマの講演をします。 ただし、CEATECとはまるで違います。 CEATECは無料、InternetWeekは有料(事前申込みで14000円)。 時間は3時間です。 時間が長いですから、VoIPのミクロな技術解説から最新のIPセントレックスの話題までカバーします。 無線SIP端末についてもかなり使い込んだ結果を踏まえて、より詳しい話が出来るでしょう。 CEATECの話では「IP電話を導入するためにワークスタイルを変革した」ユーザーでは、「フリーアドレスがフリーズ・アドレス」になっていることを紹介しました。 そんなツマラナイ、「目的と手段の取り違え」をしないために、どう考えればいいかも話したいと思います。

InternetWeek2004講演「動かして分かった成功のポイント:大規模IPセントレックスの設計と導入」(12月2日パシフィコ横浜)
 

「構内PHSか、無線SIP端末か」
 

先週からの繰越の話題です。 IPセントレックスで、構内PHSを端末として使うのと、無線SIP端末とでは何が違うか、というテーマです。 違いは次の5点にまとめられます。

@SIP−GWサーバの要否
 当たり前ですが、PHSはSIPで動いているわけでも、IPでもありません。 ですから、IP化したり、SIPをしゃべらせるためのSIP−GWサーバが不可欠です。 これは最低オフィスに1台は必要です。 もしくはファットBS(PHS用のアンテナにIP変換機能を持たせたもの。 BSをEthernetに接続できる。)を使う必要があります。 余分な箱が必要な分だけ設備コストが高くなります。

 対して無線SIP端末(FOMAデュアルモード含む)はエア(空中)を飛んでいる時からIPになっているし、端末がSIPをしゃべりますから余分なサーバが不要です。 その分設備コストが安価になるということです。 

A端末価格
 無線SIP端末は4−5万円などと高いことを言っていますが、そんな価値はないですね。 そんな値段では誰も買わないし、私は提案する気にもなりません。 ただし、3万円を切る無線SIP端末も出ているので、無線SIP端末は急速に低価格化が進むでしょう。

 PHSは1−3万円なので、現時点では無線SIP端末より安いと言えます。 

B配線とアンテナ数
 PHSのコントローラーからBSまでの配線は構内電話回線です。 BSへの給電も電話回線で出来るので配線や給電は無線LANのAPより楽ですね。 ただし、PHSの欠点は一つのBS配下で同時通話できる端末が3台までという点。  電話の利用が多い部門ではBSでカバーできる端末数が少なく、BS台数が多くなります。 対して、無線LANのコントローラ/APはQoS機能(VoIPに対して帯域割り当てが出来る)があるものなら、同時通話が10数台まで可能なためAPは少なくて済みます。

Cアプリケーション開発
 無線SIP端末はLinuxベースのものが多く、SIPを使ったアプリケーションの開発が容易です。 PHSではプレゼンスだ、インスタントメッセージングだと言っても開発は事実上不可です。 

D将来性
 PHSは新たな機種の開発はないし、PCカードで使うデータ通信は別として将来性はないでしょう。 無線SIP端末は無線LANの規格そのものがさらに良くなるでしょうし、Linuxというオープンなプラットフォームを使っていることから、今後の対応ソフトの増加も期待できます。 

 PHSはキャリアからのお仕着せ、無線SIP端末はユーザー主体に発展して行くもの、と見ています。 デュアルモード携帯はお仕着せになるのか、ユーザーに利用の自由度を持たせるのかどちらになるか見ものです。 利用度を持たせる、の具体的意味としては「SIPサーバを限定せず、IPセントレックスの端末としても使えるか」、「端末に050番号の付与が出来るか」の2点に注目しています。

 ユーザーのメリットを考えればお仕着せと自由度の高いのとどちらがいいかは明白です。

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