間違いだらけのネットワーク作り(340) 2004/07/24
「デュアルモード携帯端末と発信者番号通知(前編)」

先週末に書いた日経バイト9月号のゲラがもうあがってきました。 タイトルは「IP電話の実利と付加価値」。 エピローグの落ちをどうつけようかと色々迷って原稿を書いたのですが、ゲラを見てもやはり迷います。 文字数も30字弱オーバーフローしているので、どこか削らなきゃいけません。 PDFで送られて来たゲラのエピローグ部分をWORDにコピーし、ああでもない、こうでもないと書き換えて、やっとまとまりました。 たった一つのパラグラフ、元が135文字、修正後が109文字。  これだけの修正に30分くらいかけたのですが、要は言葉遊びを楽しんでいるのです。 

ここのところ、大岡信氏の本を続けざまに3冊読みました。 昨夜読み終えたのが、「瑞穂の国うた」(世界文化社)。 俳句をさまざまに解釈、解説しているのですが、言葉に対する感受性の強さや表現力、日本の文化や人の価値観の変化に対するするどい批評に感心します。 わずか17文字の俳句で、言葉の選び方、使い方でどれだけ効果が違ってくるかがよく分かる。 こういう本を読むとたった100字あまりのエピローグでも、ちょっとこだわってみようじゃないか、という意欲がわいてきます。
 

「デュアルモード携帯端末と発信者番号通知(前編)」

さて、今年のIPセントレックスの目玉は無線SIP端末やデュアルモードの携帯端末、つまり外では携帯電話、社内では無線LAN上のSIP端末として使える端末です。 デュアルモード携帯の採用を表明する企業も出てきました。 しかし、無線SIP端末も、デュアルモード携帯もIP電話で使う上では制度的制約を考慮せざるを得ないのが現状です。 ポイントになるのは0AB−J番号、050番号の付与、発信者番号通知のあり方です。  いきなりモバイル端末の話に入るとややこしいので、今回は前編として固定IP−Phoneでの話を復習し、次回モバイルの論点をレビューします。

先ずは「本来のIP電話」、つまり番号ポータビリティを使い、外線・内線の発着信をすべてイントラネット経由で行い、各拠点の電話回線・INS回線をなくしてしまうIP電話と、「中途半端なIP電話」、すなわち電話回線もINS回線も残置して、外線着信はIP化の対象としないIP電話を図でおさらいします。


 
 


 

○中途半端なIP電話では発信者番号通知に難

 私の手がけるIPセントレックスでは番号ポータビリティで既存の固定電話番号(0AB−J番号)をIP電話に移行し、拠点の電話回線やINSはなくすのが原則です。 10メガ、100メガといった広帯域なイントラネットの回線があるのに、それとは別にレガシーな電話回線やINSを残すのはどう考えてもIP電話の最終形とは言えません。 0AB−J番号を使うための制度的条件は品質がクラスAであることに加えて、「固定」電話なのでユーザがIP−Phoneを知らないうちに東京から大阪に移設して、「03」で始まる電話番号を大阪で使っている、などということがないようガードをかける仕組みが必要です。

 発信者番号通知はIPセントレックスに通知すべき電話番号を登録します。 通常、代表グループを組んでいる場合は代表のパイロット番号を通知するよう設定します。 もちろん、通常非通知の設定をし186をダイヤルした時だけ通知する使い方も出来ますし、その逆に通常通知、184で非通知も可能です。 ダイヤルイン的に各電話機に0AB−J番号を付与することも可能です。

 対して、現在「IP電話」とか、「IPセントレックス」と呼ばれている事例の大部分が中途半端なIP電話です。 中途半端なIP電話にも二通りの使い方があります。  外線の発信・着信はまったく従来どおり電話回線・INS回線で行い、内線のみイントラネットでIP化するもの。 従来と違うのは呼制御を行うCallManagerとか、IP−PBXを全拠点に置かず集約できることです。 この場合、外線発着信は電話回線・INS回線なのですから、発信者番号通知はそれらの番号を使えばいいので何ら悩むことはありません。

 もう一つの使い方は外線着信は従来の電話回線・INS回線で受ける(かけて来る方は従来の電話番号にダイヤルする)が、外線発信はIP電話網を使って割安な通話料にする、という使い方です。 発信はIP電話網なので、発信者番号通知は「050番号」になります。 相手に050を知られたくなければ非通知にするしかありません。 現在は非通知で使う企業が多いようです。 しかし、050通知や非通知では着信拒否されることがあるのが難点です。  この事情は家庭でも同じで大手ISPのIP電話サービスでは050が通知されます。 自宅でIP電話を使い始めたら050が通知されて、友達の携帯にかけたら着信拒否された、などということが実際に起こっています。 

 着信はレガシーな電話回線なのに発信はIP電話、という非対称な使い方が問題の根源です。 
 

○無線SIP端末(デュアルモード携帯含む)のメリットを活かす使い方

 無線SIP端末にユーザが期待するのは次のような使い方でしょう。
@社内のどこにいても、同じ番号で内線の着信が受けられる(ローミング)
Aダイヤルイン的に外部に知らせてある電話番号で社内のどこにいても、電話が受けられる。(ダイヤルイン+ローミング)
B社内から外部への発信はIP電話の料金、発信者番号は外部に知らせてある番号
 

@は内線ですから、ユーザが勝ってに決めた番号体系で内線番号を無線SIP端末に付与すれば、制度的な制約はまったくなく簡単に実現できます。
問題はAとB。 Aの「外部に知らせてある電話番号」が090とか、080では携帯電話業者はうれしいでしょうが、電話をかける相手はIP電話より高い料金を払うことになります。
Bの発信者番号も、携帯モードではないですから090、080は使えない。 0AB−Jや050は使えるのか? これが次回の論点です。
 
 

ホームページへ