間違いだらけのネットワーク作り(332) 2004/05/29
「発信者番号通知か、連絡先番号通知か」

また夏が近づき毎年7月末に行っている研究会旅行の場所を決める時期になりました。 昨年高松・小豆島に行ってからもう1年近く経ったのかと、あぜんとします。 今年は京都案と博多案があったのですが、博多に決まりました。 創立メンバーの一人であるIさんの出身地なので、博多でのプランはIさんにおまかせです。 博多にはお客様がいるので仕事で行く機会は多いのですが、観光はしたことがないし、穴場的店も知らないので今から楽しみにしています。

先週末は日経バイトのコラムを書きました。 テーマは「分けることは、分かること」層別設計の大切さ。 内容は2つ入っており、発信者番号通知に関するものと、設計に関するものです。 どちらも先週の高松での講演で出た質問に題材を取ったものです。 今週の記事はちょっとネタばれになりますが、その一部を書きましょう。

「発信者番号通知か、連絡先番号通知か」

日経コミュニケーション5月24日号に「0AB−J」のIP電話に疑問がズラリ、という相変わらずのセンセーショナルな表題の記事がありました。 通読はしませんでしたが、パッパと拾い読みしました。 ほんの数ヶ月前は「050だけじゃないIP電話の番号」(でしたっけ?定かな記憶ではありません)といった表題で0AB−Jを賞揚するようなトーンだったのが、今度は逆のトーン。 これをマッチポンプというのでしょうか。

ユーザのメリットという観点で考えれば、電話番号とか、電話回線/INS回線/イントラネットの回線などの理想的なあり方というのは一つしかないと思います。 企業ネットワークでは大容量な光ファイバーが回線として当たり前に使われるようになっているのですから、1本のファイバーに電話、イントラネット、その他を統合した方がいいに決まっています。 バックアップを含めて2本か3本。 この1本の回線でIP電話を使うことになるわけですが、レガシーな電話で使っていた番号をそのまま使いたいというのは企業にとって大事な要件です。

「自営IPセントレックス」のようにすべての電話回線やINS回線を本支店に残すような形態が最終理想形とは言えません。 たった24chしか電話が取れない光ファイバを5本も10本も引いて使うのは資源の無駄というものです。 広域イーサネットなりで10メガの帯域幅を取ればG.711で100chの通話が確保できるのですから、イントラネットで使っている回線に0AB−Jの電話も統合するのが当たり前になるでしょう。 ソフトバンクのJT買収で企業向けの回線も価格競争が激しくなり、さらに安く使えるようになるでしょう。 そうなると、イントラネットの回線に外線電話を統合する傾向は加速されます。

日経バイトのコラムでは主に無線SIP端末を使ったときの発信者番号通知について書きました。 ここではそれについては書きません。 中小企業では電話回線は従来どおり残して外線の着信に使うが、外線発信はIP電話を使うという利用バターンが増えています。 外線発信を050のIP電話でした場合、発信者番号通知で外線着信に使う電話回線の番号を通知することは出来ません。 通知できるのは050番号です。 実際には非通知で使っている例がほとんどです。

ユーザにとっては不便なことです。 IP電話から発信しても、レガシーな電話回線の番号を通知できた方が実用上は便利です。 それが出来ないのは発信者番号通知が「発信元回線を証明する番号」という位置付けだからでしょう。 IP電話時代の発信者番号通知は「連絡先番号通知」である方がユーザにとってメリットがあります。 発信元回線を特定することより、「私は誰で、コールバックして欲しいのはこの番号」ということを伝えることがユーザにとって必要なことです。

着信側のユーザも通知された番号が03だから東京からだ、などと見るのでなく、「これが連絡先か」と見ればいい。 犯罪捜査などで発信位置を特定するための情報は別の方法で取得出来るようにすればいいでしょう。 回線交換の時代に物理的回線に割り当てられた番号を通知するというアイデアで始まった発信者番号通知ですが、「回線」と電話番号の対応が固定ではなくなったIP電話では、コンセプト自体を「発信者番号通知から連絡先番号通知」に変えるべきだと思います。 
 

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