間違いだらけのネットワーク作り(317) 2004/02/14
「SIP第三者呼制御」

昨日は大阪へ日帰り出張。 朝、のぞみに乗ろうとするとAmbitious Japan!の文字。 元気あって良し、ということで思わず写真に取りました。 Ambitiousというと明治の昔に札幌農学校のクラーク博士が生徒に言ったという”Boys,be Ambitious!”が有名ですが、JapanとやったところがJR東海の手柄です。 「元気だそう、日本」というところでしょうか。 その下には「のぞみは、かなう」。 これはあった方がいいか、ない方がいいか微妙なところです。 息子に写真を見せるとTOKIOの”Be Ambitious”という曲がJRのキャンペーン曲になっていると教えられました。 

車中ではたまには勉強しようと人から借りた「マスタリングTCP/IP SIP編」(オーム社)を読みました。 この本、いい本です。 文学的説明から入り、技術的仕組み、応用へと流れるように頭に入る。 説明が簡明で私のように細かいことは知りたくないという人間にちょうど良い。 訳文が日本語として自然。 中でも、得たりと共感したのはSIPの第三者呼制御の説明。  今日はこれを取り上げます。

 

「転送できない? “風説の流布”はやめてほしい」――東京ガスの森忠宏氏

「IP電話分野で050革命が始まる」――NTTデータの松田次博氏が講演

間違いだらけのネットワーク作り 第17回 技術を生かす地道な工夫と設計ポリシー
 

「SIP第三者呼制御」

第三者呼制御というのは通話などの当事者ではない、たとえばIPセントレックスなどの第三者による呼制御で3rd Party Call Control、3pccの訳語。 先週の記事で触れたパソコンとSIPベースのIP−Phoneの連携は3pccで簡単に実現できる。

実現できるアプリケーション例としてはデスクトップPCからのテレフォニーアプリケーション管理(これは現在動いているIPセントレックスでプロビジョニングとして既に使われています)、Click−to−Connect(Click−to−Dialは特定企業の商標になっているそうです。 どこだかは知りませんが)、インターネットコールウェイティング、インスタントコミュニケーションがあげられています。

p191のコラム「オープンAPIの限界」が第三者呼制御のメリットをよく表しているので引用します。
”CTIに詳しい読者は、コンピュータやデスクトップPCから電話を制御することがいかに技術的に複雑かをご存知でしょう。 CTIは、特殊なアプリケーションプログラミングインタフェース(API)に基づく複雑なスキームに依存しています。 そして、そのAPIもまた次の2つに依存しています。
・ベンダ独自のシステム実装、・ベンダ独自のオペレーティングシステム
したがって、どれほど「オープン」なAPIであっても、それに対して知的所有権を主張できるベンダが少なくとも2社存在することになり、それぞれの都合で変更を加えることが出来ます。 SIPを使うことにより、コンピュータで電話を簡単に、しかもまったくオープンかつ標準的な方法で制御できることを説明します。 SIPの出現でCTIは時代遅れになってしまったというのが我々筆者の意見です。”
 

ちょっと長い引用ですが、こういうOpinionがある本が好きです。 無味乾燥な技術解説の本は面白くない。 SIPというものが持つ可能性や力を分かりやすく説明しています。 ベンダ独自プロトコルのIP電話など、使うもんじゃないということです。 周知のようにコールセンタのCTIシステムは驚くほど高価です。 これがSIPベースのコントローラーでリプレースされるようになるとコスト削減と多様なサービスの両方が実現するでしょう。

IPセントレックスの世界では無線SIP端末も含めて、3pccを応用したサービスの開発は既に進んでいます。 今年がそのスタートアップの年になるでしょう。

いい本なので人のを借りているんじゃダメだと思い、東京駅に帰って来てすぐ八重洲ブックセンター3階へ。 ところが他のSIP本は平積みになっているのに、マスタリングTCP/IP SIP編は棚にすらないのです。 たまたま品切れになっていただけなのでしょうか。 それにしても、八重洲ブックセンターも観る目がない、と思いました。 この本こそ、平積みにすべきです。
 

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