間違いだらけのネットワーク作り(316) 2004/02/07
「NET&COM2004講演要旨:050革命の意味」

2月4日、幕張でNET&COM2004の講演をしました。 今年で連続5年目です。 情報化研究会の方やこのHPを見てくれている方が毎年たくさん参加してくれるおかげで、有料セッションの中では毎年、参加者数1位です。 会場でよく知った会員の顔が何人も見えました。 多くの方に来ていただき、ありがとうございました。

今年は「打倒松田」を宣して、某ベンダーが自社の講演するセッションの集客にはげんでいるということを漏れ聞きました。 そう言えば、そのセッションを申し込むとNET&COM以外のセミナーも割引にするとかで、某専門誌もずいぶん集客に協力しているんだなあと思っていました。 結果的には打倒松田はならず、かなりの差でこちらが勝ったようです。 

セミナーに参加する方が聞きたいのはネットワークのニーズや技術のトレンドをどうとらえれば良いのか、どんな視点で企業ネットワークを設計すればいいのか、実際どんな問題や課題があるのか、といったことであり、特定ベンダーの製品の宣伝を聞きたいのではない、ということでしょう。 それにしても、有名ベンダーに「打倒松田」と言われるのはけっこう名誉なことかもしれません。 来年も競ってみたいものです。 実は私の趣味の一つはインターネット将棋で、勝負事はわりと好きなのです。

昨年と同様、講演の前半1時間50分を私が、後半30分を東京ガスの森様に講演していただきました。  ITPROに掲載された講演のニュースも反響が大きく、特に森さんが風説を完全否定してくれたのは正しい情報を伝えるという意味で本当に良かったと思っています。  エンドユーザの方々にもこの記事を見ていただくことで安心感を持ってもらえると思います。

下記にリンクを張っておきます。 各記事の下の部分に「皆様の評価を見る」というのがあります。 私の間違いだらけの記事もけっこう参考度が高く、そのせいか拙著のAmazonランキングがずいぶん上がりました。 おそらく大手都市銀行と私の設計ポリシーの違いが面白いのではないでしょうか。

「転送できない? “風説の流布”はやめてほしい」――東京ガスの森忠宏氏

「IP電話分野で050革命が始まる」――NTTデータの松田次博氏が講演

間違いだらけのネットワーク作り 第17回 技術を生かす地道な工夫と設計ポリシー
 

「NET&COM2004講演要旨:050革命の意味」

さて、私の講演スライド40枚の中から3枚を使って要旨の要旨、をご紹介します。 日経バイト誌が書いてくれたITPROの要約が良くまとまっています。 でも、先週かくした「○○化」はあえて書かなかったそうです。 日経バイト3月号のコラムの目玉だからというのが理由です。 ですので、ここでも○○化のままにしておきます。 
 

*2003年まで、サーバレス、ルータレス、PBXレスと新しい技術やサービスを使って「より安く」を徹底するというポリシーで設計して来ました。 今年からは「安くて便利」を目指します。 ユニファイド・メッセ−ジングであれ、災害対策であれ、無線端末であれ、ベンダーのいいなりにお金をかけるのは無策です。 SIPというオープンなプロトコルを使うIPセントレックスでは設備投資なしに災害対策が出来たり、2万円を切る無線SIP端末を使うことが出来ます。 公金を使って経営建て直しをしている金融機関など真っ先に検討すべき手段です。  

「IPセントレックス」という用語は曲解して使われていることがあるので、気をつける必要があります。 NET&COMの資料でも単に社内でVoIPサーバを使っているだけなのに、堂々とIPセントレックスと書いていました。 困ったものです。 IPセントレックスはSIPサーバやIP−PBXをサービスとしてキャリアやSIerが提供するものであり、ユーザが資産として社内に持つのはセントレックスとは呼べません。

昨年11月22日の記事を参考にしてください。 この時点では「自営IPセントレックス」と呼ばれていたものが、今では「自営」が取れてどうどうと「IPセントレックス」になっているのです。 こんなユーザーに誤解を与える用語法がNET&COMで使われるのはNET&COMの信用にかかわるのではないでしょうか。

http://www2j.biglobe.ne.jp/~ClearTK/atm_fr/m031122.htm
 

*SIPのオープン性が発揮されて来たと強く感じるのはSIP端末の多様化です。 PDAや無線SIP端末が大小さまざまな会社から発表されています。 特に、無線SIP端末はここ数ヶ月で5社から紹介を受けました。 オープンだから誰でも製品開発が出来、競争原理が働いて安価な製品が出来る、といういいトレンドになってきました。
 

*もう一つのキーワードはマルチアプリケーション。 SIPはセッションを張るだけで、その上で電話だけでなく、さまざまなアプリケーションが使えます。 端末の持っている機能によってビデオコンファレンスやチャット、ファイル交換、画面共有など自由自在です。 メーカー独自のプロトコルでセッションを設定するのではそんな芸当はそのベンダーの持つ端末でしか出来ませんし、機能の拡張もベンダーまかせになってしまいます。 Peer-to-PeerでSIPセッションが張れることが、音声だけでなく映像やデータを含む多様なアプリケーションを安価な端末で、自由に使えるための重要な条件です。

*050は総務省の偉大な発明です。 IP電話用の電気通信番号を規定しているのは世界で日本だけなのです。 050のおかげでIP電話は「0AB-J番号(固定電話用番号)」の制約から解放され、端末の位置は固定でなくてもいいし、通話品質の水準、たとえば遅延時間が400ミリ秒あってもOKなのです。

*しかも、050のアプリケーションは電話と限る必要はありません。 050をSIPネットワークで使うことにより、アプリケーションも端末もネットワークも選ばずIP電話、というより、IPコミュニケーションは大きく用途が広がります。 050の使い方のポイントは一つの番号を複数の端末に持たせることです。

*たとえば、私の机上の固定IP電話、IP携帯端末、ノートパソコン、ボイスメールシステムにIPセントレックスが05012345678という1個の番号を付与して使うことが出来ます。 プリファレンス(優先度)を同じにすると、着信があると固定IP電話とIP携帯端末のベルが同時になります。 これをフォーキングといいます。

優先度を変えると優先度の高いもののベルが鳴り、その端末に応答がないと呼び出しをキャンセルして、次の優先度の端末を呼び出す、といった使い方がSIPでは当たり前のように出来ます。 こういう便利な使い方が営業マンなどのワークスタイルを自然に変えるのではないでしょうか。 

*さて、ここでは一つだけコメントします。 固定IP電話機に大きなディスプレイは不要です。 もし、固定IP電話のディスプレイで航空券の予約が出来たり、さまざまな情報が見れたりするので机上のパソコンが不要になるなら、固定IP電話は大きなディスプレを持ち高くても価値があります。 しかし、パソコンをなくすることは出来ないでしょう。

パソコンがあるなら、航空券の予約だろうが、Webの閲覧だろうが大きくてきれいなパソコンのディスプレイを使うべきです。 IP電話機はナンバーディスプレイ程度が出来る小さなもので充分です。 

*大事なことはパソコンとIP電話や無線SIP端末が簡単に連携できること。 これもSIPでは簡単です。 パソコン画面上の電話帳をクリックすると社内だろうが、社外だろうが電話がかけられるクリック・ツ・ダイアルなどお手のものです。 
 

ということで要約の要約を終わります。 日経バイト3月号が出たら○○化を明かしますが、今日の内容を読んでいただくと推測するのは難しくありません。 
 
 

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