間違いだらけのネットワーク作り(314) 2004/01/24
「IP電話でのFAX(その2)」

昨日は研究会の古いメンバーで新年会。 虎ノ門の中華料理屋が決まりの場所です。 年4、5回の会合にもう10年くらい使っているでしょうか。 冬はここの牡蠣料理が絶品で、炒めているのですが中は生のままなのがポイントです。 アツアツなのに牡蠣の甘い磯の味やとろっとした食感が損なわれてないのでおいしいのです。 一皿980円という安さもあって、何皿もおかわりしました。

2月に山陰へカニを食べに行こうかとか、とりとめのない話ばかりなのですが、ネットワークに関する話題としてはこのままだと電電公社の独占時代に逆戻りしそうだ、というのが印象に残っています。 独占は悪だ、というので通信事業は自由化されたのですが市場の原理にまかせて独占に戻るのは止めようがありません。 
 

NET&COM2004:講演「大企業向けIP電話「IPセントレックス」 ――動かして分かった導入のポイントと今後の展望」2月4日幕張プリンスホテル

NET&COM2004講演内容詳細
 

IP電話でのFAX(その2)

先週の記事に対して会員の方や非会員の方からメールをいくつか頂きました。 なんだか、ここに書く話題が細かい技術にかかわる話題の時の方が反応が多いですね。 ここに細かなことを書こうとすると沢山ネタはあるのですが、今やっている仕事の内容がきれいに見えてしまうので書けないのです。 まあ、時間が経過すれば書けるようになるでしょう。
今回は頂いたAさんのメールをご紹介します。 さしさわりのある部分は削除しました。

Aさんからのメール |で始まる行は先週の記事からの引用です。
|IP電話網でFAXは通るのだろうか、とはよく受ける質問です。昔のVoF
|RやVoIPでもけっこう苦労があり、メーカー独自モードでは通らないため、
|G3標準に設定を統一して何とか使えていました。

FAXリレーも今では(数年前から)G3標準に設定を統一しなくても、
メーカー独自モードにはならないようなインプリがなされていて、メーカー
独自モードが本当の原因となることは殆どなくなったのですが、なぜか今で
も言われていますね。

|現在のIP電話網ではFAXもみなし音声としてG.711で扱うのが主流で
|が、さて、それで「FAXが通るか」と聞かれて、「通る」「通らない」とハッ
|キリ答える人に出会ったことはありませんでした。「100%はありえません」、
|「100%でなくても実用には耐えられるんですか?」、「・・・・」という
|感じです。

しかし、IP網を伝送路条件に置き換えて考えれば、論理的にこのような 回答になるのでは?と思います。 FAXもみなし音声としてG.711で扱う場合は、できないということ も論理的に無理がありますし・・・。

|今週、機器メーカーの人と会話していて初めてハッキリ言う人に出会いました。
|「IP電話網でFAXは使えません。様々な実験をしましたが、通る確率はビ
|ジネス用のFAXでは80−85%です。ただし、安い家庭用のFAXだと通
|る確率は高くなります。安いFAXはメーカー独自機能がないからです。法人
|の場合、FAXをIP電話網に通すことはお勧めできません。」

これは、FAXリレーを使う場合に、通信できた確率を捕らえると、現象
としてはだいたいそのとおりになるのではないかと思います。しかし、「安
い家庭用のFAXだと通る確率は高くなる」理由は「メーカー独自機能がな
いから」ではないのです。

*この点はAさんに補足説明をしてもらいました。 G.711でFAXを通す 時でも家庭用の方がビジネス用よりうまく通る可能性があるとのこと。 それは家庭用FAXはECM(エラーコレクションモード)機能がないからで す。 ECMを使っていると遅延の大きいIP網ではECMのタイマーにひっか かってかえって通り難くなることがあるということです。  

| VoIPでFAXを扱う時のトラブルの原因は大きく3つあります。レベル、
|プロトコル、タイミングです。レベルとは電話の音量のこと。プロトコルは標
|準のG3なら問題ないのですが、ビジネス用FAXはメーカー独自に機能を盛
|り込んでいます。特に問題になりやすいのはピーというコーリングトーンが出
|てから、送受信機能のネゴシエーションをして送信を開始するまでの時間を短
|縮する機能がよくひっかかりました。

確かに、TDMでは16k-LD-CELPでも8k-CS-ACELPでもFAXリレーはネゴシエー
ション時間が短くなるような工夫をしてFAXリレーでタイムアウトによるNG
が出にくくしているCODECは多く存在しました(メーカーにより対応する、
しないはありましたが、STM回線であるためあまり顕著な問題にはなりませ
んでしたが、VoATMの時にはセルの揺らぎ吸収を行う必要性からよく使われ
ていました)。
これは、実は時間を短縮する機能で引っかかるのではなく、「FAXリレー
を実行する側で時間短縮する工夫を持たないので引っかかる」のです。問題
にしている期間のVoFRやVoIPの帯域を抑制して、音声1ch分の帯域を極力越
えないようにしようとするとタイムオーバーとなってしまうのです。

| ただ、ここでVoIPと言っているのはみなし音声でFAXを扱うのでなく、
|GWが音声とFAXを識別してFAXならGWがデジタル化+パケット化して
|扱う方式です。これは送信側にも受信側にもGWが必要なので、現在のIP電
|話網では使えません。片側がIP網上のFAX+GW、相手がPSTN上のF
|AXというのはありえないからです。

IP電話で使用するVoIP-TAも、PSTNとの相互接続点となるMGもFAXリレーを
サポートしていればありえない話ではないのですが、あとあと面倒なのでそ
んなことはしないでしょう。

| みなし音声で扱うしかありません。みなし音声なら、プロトコルがメーカー
|独自だろうと何でもそのまま流すのだからプロトコル起因のトラブルはないの
|では、と思います。避けられないのはタイミングの問題とパケット・ロス。

そうですね。みなし音声の場合でもT.30のタイムアウトが起こらないよう
にしないといけないので、IP網の網品質によっては工夫が要ります。
それから、音声レベルにも注意しないといけないでしょう。

|あと、GWでエコーキャンセラーが効いていたりするととたんにダメになりま
|す。

この点は、国際専用線を使ってモデム通信やFAX通信がある国際音声P
NWをやった経験があれば簡単にわかるポイントです。
よくできたVoIP機器では、G3FAXをみなし音声で通信する場合でも、G3FAX
通信であることを検出して、エコーキャンセラーやジッタバッファの動作を
変えたりしています。    

|GWのジッタバッファを深くしたり、FAXのECM(エラーコレクションモー
|ド)で救われることも多いのですが。

これは状況(なにが原因でNGとなっているか)によります。しかし、前者
の方法は、程よくやればたいていの場合は有効に機能するでしょう。

ということで、元の記事よりAさんのコメントの方がはるかに深いですね。 さて、このような情報を踏まえてIP電話網上でFAXをどう扱うか設計者は決めなきゃいけません。

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