間違いだらけのネットワーク作り(311) 2004/01/03
「2004年、ネットワークはさらにオープンな世界へ」

新年おめでとうございます。 今年がネットワークの仕事に携わるすべての方にとって幸多い年であるよう祈ります。

いつもより長い冬休みに入り、こうして久しぶりに自分の机に座ってゆったりとキーボードをたたいていると、苦しいこともそれなりにあったけれど楽しかった2003年のさまざまなことが思い出され結構、満ち足りた気分になります。 ふだんは居間のパソコンでホームページの記事を書くのですが、今日は家人が年賀状作りに使っているため自分の机でノートパソコンを使っているのです。 

本を執筆している時には土日に机に向かっている時間が多いのですが、今は日経バイトの連載と時たまの依頼原稿しか書いてないため、めっきり机に向かう時間が減っています。 しかし、毎年冬休みは2月のNET&COMの原稿を書くのが習慣になっており、いつもよりは勉強時間が長くなります。 NET&COMは今年で5年連続5回目の講演です。 こういう講師はめずらしいんじゃないでしょうか? 毎年200人くらい参加していたのですが、昨年は東京ガスさんのIP電話をテーマに前半2時間を私が後半30分を東京ガスの田井マネージャーに話していただくという新企画があたり、400名もの人が参加しました。 今年も同じ構成で、東京ガスの森主幹にお話いただきます。 この1年で実際に動かしたので昨年より具体性の高い、実戦的な内容になります。

しかし、それだけでは新鮮味が乏しいので、私は「これからどうするんだ」というところにも重点をおいて話したいと思います。 伝えたいメッセージは「ネットワークはさらにオープンな世界になる」、いや、「さらにオープンな世界にしましょう」ということと、「チャレンジャーが変革を生む」ということです。

記事評「ザ・プロジェクト 東京ガス コストにこだわったIP電話全社導入」(日経コンピュータ 2003.12.29)

文学的な記事ですね。 これだけドラマチックに書かれた記事はめずらしい。 雑誌版、プロジェクトXという感じです。 細部で事実と違うところやニュアンスが違うところはありますが、基本的にはこのとおり。 ただし、また風説の流布をされないために言っておきますが、エコーとか転送の不具合は一部で出ただけであり「致命的」なものではありませんでした。 

IPセントレックスでは転送が出来ない、などという常識はずれな風説が流れていましたが、転送の不具合はアナログ・コードレスホンをLANに接続する端末用ゲートウェイで起こっただけでIP−Phoneは最初から転送、ピックアップ、代表着信など何ら問題なく使えていました。 エコーもIP−PhoneからPBX配下の特定の電話機にかけた時に出ていたもので、外線やIP−Phone同士の通話ではありません。 問題を大きく感じさせる書き方ですが、まあ、それはドラマチックさを盛り上げるためだと思っておきます。

この記事自体の結論は最後の段落、「IP電話1000台を導入した大規模拠点では、1日1万5000コールをトラブルなく処理している。 『トラブルはもう出尽くした。 最も電話台数が多い本社ビルの3000台をIP電話に移行しても問題はないだろう』と田井は確信している。」 ということ。 

東京ガス・IP電話ネットワークの仕組みと設計のポイントは拙著「企業ネットワークの設計・構築技法−広域イーサネット/IP電話の高度利用」の「第10章IPセントレックスの設計・構築技法−東京ガス・モデル」に書いてあります。 その設計ポリシーは徹底的にオープンな仕組みにすること。 呼制御にはSIPを使い、スタンダードになっていない付加機能も無償で機器メーカーに開示する。 回線やネットワーク機器も標準的なプロトコルをサポートしているものなら、何でも使える。 ユーザにとって最適なものを安価に選択でき、いつでもコンポーネント単位でリプレース出来ることを追求しました。 

幸いにもIP電話ではSIPがメジャーになりました。 SIPは製品やサービスの開発がしやすいため、大小さまざまな企業がSIP対応製品の開発を進めています。 これまで寡占的だったIPネットワークの世界と違い、IP電話の世界は市場原理の働くユーザ主体のマーケットになるでしょう。 また、ローソンさんや東京ガスさんで使用した国産スイッチは安価で品質・性能とも優れています。 大企業で証明されたこの事実は、これから多くの企業に波及し、IPネットワーク自体も変革するでしょう。

東京ガスのコンペでは電話の素人であるSIerが、電話のプロであるキャリアやPBXベンダーに勝利しました。 チャレンジャーが勝ったのです。 技術やサービスが100年に一度の変革期を迎えている現在、その変革を促すのは当たり前ですがチャレンジャーです。 チャレンジャーとしてネットワークの仕事にかかわるのか、守る側に立つのか、皆さんはどちらなのでしょう。

2004年の注目はユビキタスと携帯

2004年の注目はユビキタスと携帯です。  ユビキタスを語る時、5000万台を超えて普及している携帯電話を無視することは出来ません。 そして、携帯電話が企業ユーザにとって付加価値の高いものになりえるかどうかは、携帯電話事業者がオープンなサービスを目指すか、クローズドな「縄張り争い」をするかによって大きく左右されます。 この辺の具体的なことを今年のNET&COMの一つの目玉にしたいと思っています。

結果は眼に見えています。 携帯のサービスもオープンなものになるでしょう。 なぜなら、それがユーザにとってメリットがあるから。 問題は時間がどれだけかかるか、だけです。 ここでもチャレンジャーがスピード感ある対応をするのではないでしょうか。
 
 

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