間違いだらけのネットワーク作り(292) 2003/08/09
記事評「見えてきたIPセントレックスの全貌」(日経コミュニケーション8.11)

このHPのアクセスカウンタが今週100万を超えました。 97年9月から6年がかり。 さて、200万まで何年かかるのか、それまで続けられるか?
広域イーサネットを応援したり、IPセントレックス・東京ガスモデルでセントレックスに先鞭をつけたり、とここ2、3年は話題性があがったせいか
アクセス数が増えています。

最初はVoFRからはじめ、VoATM、VoIP、そして広域イーサネット(ルータレス・ネットワーク)、IPセントレックス(PBXレス)へ。 
さて、IPセントレックスに火がついて追随者がたくさん現れた今考えているのは、「次は何で差をつけよう」です。

記事評「見えてきたIPセントレックスの全貌」(日経コミュニケーション8.11)

本当にたくさん出てきました。 IPセントレックス。 日経コミュニケーションの記事がいいところはけっこう網羅的に(羅列的に?)に情報を集めているところ。 欠点はユーザが正しい選択をするための情報が足りないところ。 便利な情報源にはなるが、それでユーザが正しい判断が出来るかというとそうとは限りません。 これはVoIPやIP−VPNvs広域イーサネットの議論の時から同じです。

IPセントレックスに限りませんが、ユーザ企業の方は大切なことを忘れちゃいけません。 それは「ITの世界では名前が同じでも、内容がまったく違う製品やサービスがある」ということです。 IPセントレックスを採用しなかった企業の不採用の理由が記事になっていました。 読んで気の毒になりました。 たしかに、これらの企業は「IPセントレックス」の話を聞き検討したのでしょうが、それは名前は同じだが内容はまったく違うIPセントレックスの1つか、2つを検討したに過ぎないのだと推定します。

この記事の根本的欠点はIPセントレックスの目的が「通信コスト削減」だけであるような誤解を与えることです。 このページではくり返し書いて来たつもりですが、IPセントレックスの主目的は「電話設備コストの削減」であり、通話料や回線料の削減は副次的なものです。

名前が同じIPセントレックスでも、タイプは大きく2つに分かれます。 「原則としてPBXをなくするタイプ」 約80%のPBXを削減する東京ガス・モデルはその典型です。 私はこれしかやりません。 PBXをなくさないと電話設備コストが削減できないからです。  もう一つは「原則としてPBXを残すタイプ」。 これは電話設備コストが増えます。 なぜなら残置したPBXをIP電話網に接続するために高価なゲートウェイが必要だからです。 設備コストが増える代わりに通話料の削減を目的とするのです。 しかし、P.81の記事にあるように大企業はマイラインで大幅な値引きを受けていることが多く、メリットが出ないのです。  P.81の図は「原則としてPBXを残すタイプ」であることが明白ですね。 
逆にいうと「原則としてPBXを残すタイプ」で経済効果がでるユーザ企業はこれまでマイラインの恩恵が少なかったということになります。

「原則としてPBXをなくすIPセントレックス」なら、従来の「PBX+電話機」に対して、「IPセントレックス+安価なIP−Phone」のコストの方がはるかに安くなるため、通話料がマイラインで安くなっている大企業でも経済効果が出せるのです。 IP電話機が5万円なので導入を見送った企業の例も出ています。 1万円代のIP−Phoneも検討してみて欲しいですね。

「原則としてPBXをなくすIPセントレックス」はさらに2種類に分類できます。  オープンなものとクローズドなものです。 東京ガス・モデルはオープン。 だから安価な広域イーサネットやIP−Phoneを選択し、組み合わせることが出来る。 私はこれしかやりません。 クローズドなものの典型はメーカーがVoIPサーバやIP−PBXをハウジングして提供するもの。 そのメーカーの電話機しかつながりません。 通信業者が提供するのもクローズドですね。 なぜなら、A社という通信事業者がIPセントレックスでネットワークを構築するのに、B社の広域イーサネットを使うわけがない。 B社の回線サービスの方が機能や価格が優れていても。

「名前が同じでも、中身は違う。」  しかし、ユーザ企業が自分で違いを理解し、優劣を客観的に比較するのは大変です。 そういう時、私のようなSIerのコンサルティングが有効です。 もし、必要でしたら matsudats@nttdata.co.jpにご連絡くだい。
 
 

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