間違いだらけのネットワーク作り(273) 2003/03/29
「オープンであるとは?」

今週もあわただしく過ぎていきました。 プライベートのイベントもいいことが3つもあり、なかなかhappyな1週間でした。 月曜日は国立大学の後期試験の合格発表があり、長男の進学する大学が決定。 水曜日は20回目の結婚記念日でディナー。  木曜日は情報化研究会の有志が新著の出版祝いをしてくれました。

オフィシャルな方は月曜日の日経デジタルコアでの講演でスタート。 心身ともにあまりいいコンディションではなかったのですが、いざ話し始めると年に1、2回しか出来ないだろうという上出来の講演でした。 自分の講演の良し悪しは自分が一番よく分かります。 場所は日経新聞本社9階の大会議室。 100人あまりの人が来ていました。 前の方に先週のこの欄で取り上げたメールの送り主であるYさんが座っていましたが、出来るだけ眼を合わせないようにしていました。 

参加者のほとんどはメーカーとキャリア。 がっかりしました。 お客様になっていただける方が少ないので。 が、メーカーやキャリアを思い切り刺激する内容で話をしました。 お客様には気を使わないといけませんが、メーカーやキャリアに遠慮することはありません。 この講演の臨場感あふれるレポートは日経バイト5月号のコラム「間違いだらけのネットワーク作り第11回」に書きました。 

今週はこの講演でデジタルコアのメンバーから出た質問を取り上げます。

オープンであるとは?

デジタルコアにはネットワークやシステムの専門家が多いので、けっこう突っ込みがあるかな、と予想していました。 しかし、6、7件あった講演後の質問はいずれも私の想定範囲内のものでした。 私の思いもよらない質問をしてもらうと、スリルもあるし、勉強にもなるのですがそんな質問はありませんでした。

その中で、私の頭の中にあった想定問答集にドンぴしゃりはまった質問が今日のテーマです。

質問1
「SIPベースのIPセントレックスをオープンであると言っているが、SIPではセントレックスの機能を規定していないので、独自のものになるのではないか?」

私の答
「想定どおりの質問をしていただいて有難うございます。 うれしいです。 オープンには2つの意味があると思います。 一つはスタンダードであること、もうひとつは無償で開示されていることです。 このいずれかを満たしていれば、オープンであると言っていいと思います。

確かにSIPでは基本的なことしか規定されてないため、代表着信や転送などをどんなシーケンスで実現するかはIPセントレックスごとに独自になります。 しかし、東京ガス・モデルのIPセントレックスはその仕様を電話機メーカーやゲートウェイ・メーカーと一緒に決め、それを無償で開示しています。 既に複数のメーカーがこの仕様で動くIP−PhoneやGWの開発を進めています。

基本機能がSIPというスタンダードなプロトコルで実現されていること、応用機能を実現するSIPメッセージのシーケンスは独自であるが無償で開示されていることから、東京ガス・モデルのIPセントレックスはオープンだと言えます。」

質問2(1とは別の方の質問)
「とはいうものの、独自部分のあるSIPベースのIPセントレックス・サービスが複数あるとユーザがサービスを自由に切り替えられず不便ではないか?」

私の答
「まず、発信・着信といった基本機能はSIPベースであればほとんどバリエーションはないでしょう。 応用サービスは独自性が出るでしょう。 しかし、その差異はせいぜい東京弁と関西弁の差異くらいで、東北弁と薩摩弁ほどの差異はありません。 ユーザはIP−Phoneのソフトを少し変更するだけでIPセントレックス・サービスを切り替えられるでしょう。 IP−Phoneは当然ながらソフトのリモートメンテナンス機能を持っています。 もちろん、ユーザが自分でソフトのメンテナンスが出来るわけではなく、IP−PhoneのメーカーやSIerが対応することになります。

SIPではないメーカ−独自のプロトコルを使っているIPセントレックス(私の定義ではセントレックスではありませんが)では、万一メーカーがプロトコルを無償で開示しても、それはSIPと比較すると日本語とハングルくらいの差異があるので、IP−Phoneをリプレースせずに別のIPセントレックスに移行するのは難しいでしょう。」

昨日、某メーカーと打ち合わせをしました。 今やどのユーザでネットワークの話をしてもIPセントレックスの話が出るとのこと。 火をつけた私としては嬉しい限りです。 そのメーカーの弁では「IPセントレックスとは何か」から話が始まると言っていました。 私は言っておきました「私の新著をユーザにプレゼントしなさい。 10章を読めばIPセントレックスの定義が分かりますって。」
 
 

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