間違いだらけのネットワーク作り(264) 2003/01/25
「なつかしき待ち行列理論」

2月6日NET&COMでの私の講演、昨日24日時点で申込みが300名を超えたとのメールが事務局から来ました。 たぶん、有料セミナーではNET&COMはじまって以来の参加者数ではないでしょうか。 ちなみに昨年の私の講演は200名あまりの参加で、有料セミナーの中ではダントツの1位でした。 例年200人の会場なのですが、今年は広い会場にしたそうです。 申込みホームページではまだ満席になっていないので、最終的に何人になるか楽しみです。 講演の終了が5時30分ですので、情報化研究会の方、打ち上げでもやりましょう。

なつかしき待ち行列理論

会員の方ではないのですが、私の本の読者から次のようなメールを貰いました。
----------------------------------------------------------
いつも「情報化研究会ホームページ」楽しみに拝見しております。
今日メール差し上げたのは、貴書「企業内データ・音声統合網の構築技法」に
関してでございます。

P.207にある「待ち行列理論では90%のトランザクションの滞留時間は、
平均滞留時間のln10=2.3倍以内に収まることが知られている」と書かれています。
これはどういう理由から導かれたのでしょうか ? 有名な定理やシミュレーション
結果によるものでしょうか ?

一般的な待ち行列についてインターネット上でも解説されており、
M/M/1モデルについてはあらかた理解できたのですが、この部分については
それらしい記述を見つけられませんでした。

当方企業内の通信状況をレスポンスタイムから分析できないかと試行錯誤
している最中ですが、目標値として「90%のトランザクションの滞留時間が
平均滞留時間のln10倍以内に収まる」をひとつの基準にしようと考えた際、
この根拠はなんなのか ? で躓いています。
----------------------------------------------------------
*結論から言うと、私はこの公式の意味は分かっても数学的に根拠を説明することはできません。
ここがネットワーク話術者たる所以です。 私がこの公式を知ったテキストにも公式はあっても
数学的根拠は書かれていません。 申し訳ないですが、専門書をあたるか、専門家に聞いてください。

*私は確率・統計と聞いただけで顔をそむけたくなる性質ですので、公式は意味が分かって使えればよい、 と割り切っているのです。

*話は文学的になります。 このメールを読んで思ったのは、なつかしいなあ、ということ。 ネットワークの設計に待ち行列理論を使うこと自体少なくなりました。  10数年前の銀行ネットワークの設計では前提となる回線は9600b/sとか、14.4kb/s。  レスポンスタイムが与えられたトラヒックで平均何秒になるか、 といったことを待ち行列理論で計算したものです。

*しかし、現在ではネットワーク資源が安価になり、秒単位の問題でしかないオンライン端末のレスポンスなど厳密な計算をしなくとも、ゆったりした帯域幅を取っておけばよい、 という割り切りが出来るようになりました。 さらに大昔のホストによるオンラインはトラヒックの流れ方も単純でしたが、クライアント/サーバ型のシステムやWebベースのシステムは トラヒックの予測自体が困難になっています。 大雑把なトラヒック予測とゆったりした帯域設計、というのが現実的な設計ではないでしょうか。

*一方、秒単位の大雑把な話で済ませないのがVoiceです。 ミリ秒が問題になるとは言いませんが、10ミリ秒単位が問題になりますね。 音声パケットの遅延やJitterがどんな確率分布にしたがい、パケットロスを1%未満に抑えるにはJitterバッファの深さは何ミリ秒あればよいか、というのが現在必要な設計だと思います。 公式、知りたいですね。 どなたかメールお待ちしています。

会員のIさんから参考になる情報をいただきました。 速いですね、レスポンスが。 ありがとうございました。
Jitterバッファの算出式も期待しています。
----------------------------------------------------------
オンラインネットワークの構造的設計 国友義久著 近代科学社 昭和53年
 ページ136
  応答時間要件が百分位数R(0<_R_<1)で与えられたとき
  応答時間tqが指数分布に従うと仮定
    平均応答時間E(tq)

  R=P(tq<_Tq)
   =1−e-Tq/E(tq)

                  Tq
   E(tq)=--------------------
             ln(1/1-R)

  例:9割が応答時間5秒以内にしたいとき
                 5                 5
   E(tq)=---------------= --- = 2.17秒
       ln(1/1-0.9)      2.3
----------------------------------------------------------
 

ホームページへ