間違いだらけのネットワーク作り(258) 2002/12/07
「スタンフォードからの便り」

今日は情報化研究会大会「IP電話で日本のネットワークを革新する」を午後、駿河台の明治大学リバティ・タワーで行います。 ちょっと忙しすぎる状態が続いており、充分な準備が出来ていないのですが、私は「IP電話で企業ネットワークを革新する」というテーマで1時間半、いつもの調子で文学的話をするつもりです。

京都の元気のいい若手も何人か来ており、4月以来の再会が楽しみです。 あ、そうでもないか7月に京都へ遊びに行ったときに会った人もいます。 参加者は約120人。 昨年が80人ですから、かなり増えました。 北海道から九州まで、これだけ全国の会員の方が集まるのは初めてのことです。

ということで時間がありませんので、今回はスタンフォード大のアジア・パシフィック・リサーチサンタ−のAさんが送ってくれたレポートを紹介します。
日本はVoIPや無線LAN導入に飛びついていますが、米国ではしばらく静観とのこと。 以前から感じていた実感と同じです。
私は飛びつくことは良いことだと思うのですが、過当競争というおまけつきなのがベンダーにとっても、キャリアにとっても不幸ですね。
 

スタンフォードからの便り

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<米国近況>
金融・証券アナリストはこれまで花形の存在でしたが、今の米国では最も信用できないものの一つに数えられています。特にエンロン破綻からワールドコム不正発覚に至る半年間で、金融界だけでなく連邦議会や国民からも大きく信用を失ってしまいました。

最近は、AT&T投資判断の引き上げを巡って、AT&Tとシティグループとの不正疑惑が浮上していますが、シティグループからの働きかけ(寄付)で子供を有名幼稚園に入れたいとするアナリストがこの投資判断を甘めにしていたことが明らかになりました。

米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)では、社内監査役や監査法人だけでなく、更に透明性の高い監査委員会を作り、投資家や顧客に企業の実態が分かるようにすることを義務付けています。 しかし、失った信頼を回復することは容易なことではありません。

<情報通信グローバルスタンダード>
米国通信メーカは、NTTの次世代光網整備の投資に期待を寄せていますが、以前よりアジアをターゲットとした戦略にシフトしています。 VoIPや無線LANなどは日本では本格導入に向けてインフラ整備が進んでいますが、米国内ではしばらく静観の構えです。

 次世代技術のグローバルスタンダードに対して、今までは米国メーカの事情による標準化や製品作りが先行し、日本はNTT規格以外は後追いでやるほかありませんでした。 国際標準化機関※1での発言権の低い日本は、どうしても一部米国企業の仕様※2をそのまま受け入れるほか無く、シリコンバレーでも共同開発というよりは、生き残りそうな規格をいち早く日本に知らせるというのが出先事務所の役割りになっていました。

しかし、携帯電話や情報家電※3など、世界が日本をパイロットマーケットとして見ている分野では、反対に日本での今後のサービス動向が注目されています。 また、米国側が日本市場に対するマーケティングを一層強化して、さらに一歩先を行く製品を作るような例もあります。 iモード変換が不要でPDA機能を持つ携帯電話などがその一例です。 日本市場のニーズの織り込みや品質要求などが、間接的に米国主導のグローバルスタンダードに影響を与えるようになってきました。

米国では、最近の経済不況も踏まえ、こういった分野での日本などの影響力と経済効果を歓迎する一方、市場の多様化やサービスの短命化により、グローバルスタンダードの舵取りが多極化することに先行きの不安を抱えています。

※1 ITU-T:伝送交換系、IETF:インターネット系、IEEE:イーサ・無線LAN等の分野で影響力の強い標準勧告を規定しています。いずれも米国キャリア・メーカ主導のデファクトスタンダードが採用され、それら企業が有利に事業展開を行ってきました。
※2 例えば、基幹伝送交換:Nortel/Lucent/Ciena(ADM/WDM)/Cisco/Juniper(Router/Switch)、
主要チップ:Qualcomm(CDMA)/Broadcom(xDSL/Switch)/Intel/AMD(MPU/NPU)、IETFのほとんどのRFC勧告など。
※3 例えば、カメラ・動画再生機能付きの携帯電話や、エコーネットコンソーシアム情報家電(ネット家電)など。情報家電では、米CEBUSや欧州KONNEXが、日本のECHONETより規格作りで先行していましたが、実用化は三者ともこれからの段階です。日本は早期にアジア諸国を取り込む必要があります。

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