間違いだらけのネットワーク作り(238) 2002/07/20
「MOSによる音質評価」

昨日の金曜日はNTT−ME東北さんに招かれて仙台へ講演に行ってきました。 NET&COM2002の講演を聞いた方がいて、いたく気に入って招いてくれたようです。 仙台は記憶をたどると97年以来5年ぶりでした。 意外に訪れる機会がないものです。 はじめて秋田新幹線こまちに乗りました。 シートのすわりごこちがいいので感心しました。 在来線に乗り入れるため横4列のシート配置なのですが、東海道山陽新幹線より少し幅が広いのです。 シートそのものはやわらかく、背中やおしりの部分がフィットするよう凹凸があります。 おかげで気持ちよく仮眠できました。

会場は五橋会館というところで、180人あまりの方が来ていました。 立派な横断幕と、講演者紹介の大きな看板(と、いうのでしょうか?)にビックリ。 てっきり会社の会議室でも使ってやるんだろうと思っていたので、本格的なのに驚いたのです。 仙台の人が多いのですが、とおく青森、岩手、秋田など東北各県から参加しているとのこと。 講演し甲斐があるというものです。 講演というのは枕、話はじめが大事です。 駅から会場までのクルマの中で事務局の方から平均年齢とか、皆さんの仕事内容を聞いていたので、枕では2つのことを話そうと決めました。 一つは冒頭で皆さんを笑わせるためのもので案の定、始まって30秒で皆さんどっと笑いました。 二つめは真面目なことで、「結晶頭脳を作りましょう」という話。

MEさんは社員の平均年齢が40代後半。 40代であれ、50代であれ磨いていれば頭脳はだんだん成長する結晶と同じで光を増すものです。 しかし、20代、30代とは違う頭脳の磨き方をしなきゃいけません、といった趣旨の話をしました。 笑いをとるための枕、結晶頭脳の話、文章にするとけっこう長くなるので、ここには書きません。 日経バイトの宣伝をするつもりはないのですが、詳しいことの顛末(てんまつ)は8月下旬に発行される日経バイト9月号の「間違いだらけのネットワーク作り第3回」に面白おかしく書こうと思います。

ひとつだけ、打ち上げの席で食べためずらしいもののことを書いておきます。 マンボウです。 あの、ふつうの魚体を途中で真っ二つに切ったような愛嬌のある体型の大型魚です。 水族館で見たことはありましたが、食べる魚とは思っていませんでした。 聞けば三陸沖で捕れ、食用にするとのこと。 マンボウの身ではなく、腸を湯通しして酢味噌であえたものを食べたのですがコリコリと歯ざわりがよく、淡白でおいしいものでした。

MOSによる音質評価

これから書くのは講演終了後の雑談の中で聞いた話です。 VoATMで苦労をした方がいて、その方のエピソードです。 今からVoATMを導入する企業はないでしょうが、VoIPでも音質評価という意味では同じなので参考になろうかと思います。 使ったのは某国産メーカーのATM交換機。 

○遅延時間
苦労された第一は遅延が大きいこと。 片方向で210ミリ秒。 VoIPなみの遅さですね。 驚きました。 CLAD(Cell Assembly and Disassembly:データや音声を53バイトのセルというパケットに変換する装置)の性能が悪かったようです。 遅延が少なく、QoSに優れているのがATMのはずなのに困った製品もあったものです。

ちなみにITU−Tの音声遅延ガイドラインG.144ではビジネス用途で使うには片方向150ミリ秒以内が望ましいとされています。 さきの総務省のIP電話品質クラスは固定電話並のクラスAが100ミリ秒未満、携帯電話並のクラスBが150ミリ秒、クラスCが400ミリ秒となっています。
 

○MOS(Mean Opinion Score)
MOSは人間が実際に音声を聞いて、音質を1から5の5段階で主観評価するものです。 大変良い=5、良い=4、ふつう=3、悪い=2、大変悪い=1。 50人以上の人に評価してもらってその平均値を取ると90%の信頼度が得られるとのこと。 MOSで注意が必要なのは日本では1から5の5段階ですが、欧米では0から4の5段階が使われていること。 外国のVoIP製品のカタログを見るときには日本版に翻訳されているのか、もとのままなのか注意が必要です。

さて、このATM交換機を使ったVoATMのMOSは3.9だったそうです。 ちなみに一般電話(PSTN:PublicSwitchedTelephpneNetwork)は4.5、携帯電話が3.5だったとのこと。 ATMにしては悪いですね。

○一筋縄ではいかない音質評価
面白いことが分かりますね。 総務省が150ミリ秒以内の遅延を携帯電話並、としているのですが片方向210ミリ秒もかかるVoATMのMOSの方が携帯電話よりかなり高いのです。 総務省はR値という機械的に測定する尺度と遅延時間を音質の基準にしていますが、たぶんそれは人間の評価と一致しないでしょう。 VoATMの音質評価をした方も、R値ではないが機械的な評価も行ったとのこと。 しかし、その結果はMOSと比例しなかったそうです。 人間の感覚というのは機械でシミュレートできるほど単純ではない、ということでしょう。

原始的ではありますが、MOSが一番確実な評価方法なのかも知れません。 総務省もMOSを併用すべきではないでしょうか。
 
 
 

ホームページへ