間違いだらけのネットワーク作り(237) 2002/07/13
記事評「後悔しない企業ネット構築」

先週買った本のうち、出久根達郎さんの「嘘も隠しも」はいつものごとく軽妙なエッセイで軽く楽しいものでした。 もう一冊の車谷長吉さん「銭金の話」は180度対極にあるエッセイで、氏が「毒虫」と表現する人の汚さや醜さ、怨念、といったものを、これでもか、これでもか、と刻み込むような書き方で書いています。 この人は現代にはめずらしい私(わたくし)小説作家で、自身やその周辺の人たちを血祭りに上げた小説を書いています。 このエッセイの中でも、氏を裏切った編集者を実名で攻撃しつくしています。 しかも、この編集者は亡くなった人なのです。 遺族の方は当然眼にするだろうに、ここまで書くか、と半ばあきれます。 しかし、たぶん誰もが車谷氏と同じ仕打ちを受ければ、同じような怨念を持ち続けるのでしょう。 ふつうの人はそれを本に書くことなど出来ないだけ。 書けないのは相手を気遣って、などではなく攻撃が自分自身に跳ね返ってくるから。 車谷氏のすさまじさは、わが身をかえりみない、他人を攻撃しつつ、実は自身を痛めつけているすさまじさです。 暗くて暗くてしょうがない内容と思うでしょうが、暗さもすさまじさが加わると爽快ささえ感じます。 ためしにちょっと立ち読みしてみてはどうでしょう。 

記事評「後悔しない企業ネット構築」(日経コンピュータ 2002.7.15)

20ページの特集、力作です。 私は5月末に取材を受け、95年以来のお客様である富山化学工業様を紹介しました。 取材時に話した内容のキーワードはけっこう採用され、意味もゆがめられてないので安心しました。 ただし、47ページの囲み記事、同じ「広域LAN」でも中身は違う、はどちらかというと枝葉末節に近いことで、これが囲みになるとは思っていませんでした。 

このページを読んでいる方にはおなじみの内容ですが、私がもっとも言いたかったことは取材した記者の編集後記(p.185)にあります。
”「技術に詳しくない」というハンディは、逆に「業務のことだけを考えた自由な発想ができる」というメリットにつながります。 ネットワーク設計を手がけるあるインテグレータの担当者も「ルータの設定ができるほど詳しくない。 だからこそ、ルーターを使わないスイッチだけのネットワークの設計ができる」と話しています。 しがらみにとらわれずに判断を下すことの大切さを再認識しました。”

「あるインテグレータの担当者」にされてしまいましたが、囲みにするなら、こういう本質的なところにして欲しかった。 実はこの内容はNET&COM2002の講演内容です。
しかし、取材をしてくれた編集者が私の話したことに共感してくれたり、大切なお客様である富山化学工業様の情報システム部長と総務部長の「名コンビ」に感心してくれたのはうれしいことです。

この特集全般にわたってコメントすると大変なことになりますが、一つ二つ、コメントします。

@「広域LAN」という呼称
これは広域Ethernetとすべきですね。 広域LANはCWCのサービス名称です。 

ACISCO機器を使ったIP−VPNと広域Ethernetの機器費用比較
CISCOのルータで比較すること自体がおかしいですね。 編集後記にあるように、広域Ethernetではルータが不要なのですからルータとスイッチで比較すべきです。
すると、P.46の図1−3で広域LAN10M123万9000円となっているルータ費用は、アライドテレシスや日立電線のレイヤ3スイッチだと標準価格で15万円〜20万円になります。

これを示さないとIP−VPNと広域Ethernetの機器比較になりません。 経験的にいうとルータを使ったIP−VPNのハード費用に対して、スイッチベースの広域Ethernetのハード費用は4分の1以下になります。

B事例のネットワーク構成について
P.51 図2−3のネットワーク構成図はこれがこのまま真実ならちょっと心配な点があります。 それはFRADがメインフレームも、サーバーも、PBXも収容していることです。 FRADは処理能力がATM交換機と比較してはるかに乏しいものです。 データ量が多いサーバやホストはATM交換機に直結するのが効率的な接続です。 この図のとおりだとFRADがネックになります。 当然、ホストやサーバがATMインタフェースを持っているわけではないのでルータを介してATM交換機に接続することになります。 この図ではルータが書かれていませんが、メインフレームやサーバとFRADの間にルータがあるのでしょう。

メインフレームやサーバをATM交換機に直結し、PBXのみFRADに接続する。 これで、FRADの台数も大幅に減るでしょうし、ネックも解消されます。 ちょっと出すぎたコメントをしました。 

こういうふうに書きたいことを書き、言いたいことを言っていると囲み記事の写真のようにツラがデカクなるのですね。 これ以上、デカクならないよう気をつけたいものです。
 
 

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