間違いだらけのネットワーク作り(224) 2002/04/13
記事評「広域イーサネット使いこなし術」

今週はよく雨が降りましたが、今日はおだやかに晴れています。 来週の土曜日は京都研究会。 春爛漫の京都が晴れていればいいな、と今から祈っています。 現時点で25名が参加予定。 遠くは東京、広島、名古屋から参加する人がいます。 主力は例年同様、地元京都のNTTグループの若手社員。  元気のいい話が聞けるのを楽しみにしています。
 

記事評「広域イーサネット使いこなし術」

日経コミュニケーション4月15日号が届きました。 広域イーサネットの特集があることは3月始めに記者が取材に来たので分かっていました。 期待はずれの内容。 細々したことはたくさん書いていますがポイントをはずしています。 広域イーサネットに限らず、ネットワークは「サービス」として何を購入し、何を自分でやるか、というのがユーザにとってのポイントになっています。

ローソンさんの例で言えば設計・工事・ハード・回線・保守のすべてをレンタル形式のサービスとしてNTTデータから購入したことがポイント。 これによって、初期投資もなく、資産を持たないことから陳腐化リスクもなく、設計面・運用面の負担もなく、さらに言えばCWC網内にローソンさん専用のL3SWを置いて効率的で信頼性の高いルーティングを行うというアイデアを実現できたのです。 (エンドユーザの方むけの問い合わせメールアドレス:info-nw@bs.in.nttdata.co.jp) 

広域イーサネットのメリットは設計の自由度が高く、ルータが不要なことからイニシャルコストが圧倒的にIP−VPNより安価なこと、IP−VPNでは高速になるとATMインタフェースを持つ高価なルータが必要なのに対し、広域イーサでは安価なL3SWで100Mまで対応できること、等です。 デメリットはキャリアの保守・運用サポートが弱いこと、設計が自由な反面、効果的な設計にはノウハウが必要なこと、です。 このデメリットをカバーし、サービスとして完全なものにするのがNTTデータのSI/アウトソーシングのコンセプトです。

参考にスライドを2枚添付します。
 

NTTデータのSI/アウトソーシングのコンセプト

 

ローソン様本部WAN

*他にも小さなことにコメントしはじめるとキリがないですが、構成について疑問がわく事例もあります。 たとえばVoIPのためにセンタ側には帯域制御装置を使い、拠点側はわざわざVoIP用の回線とデータ用を別々に引いているネットワークが紹介されています。 電話がわずか2チャネルしかない拠点で128K回線を電話専用に使っています。 10拠点あまりしかないネットワークだから2本ずつ引いてもコストを気にしなくていいのでしょう。 私のところでは50拠点規模のネットワークで128Kのアクセス回線1本に電話2チャネルとデータを統合している例がありますが、まったく平気です。 帯域制御装置を高速側に設置するのもトラヒックの条件さえ悪くなければ不要です。 かりにこの事例のように使うのであれば、なおのこと低速拠点で回線を2本使うのは疑問です。

*証券会社のネットワークも面白いですね。 6月末完成とのことなので、このままの構成で完成するのかどうか分かりませんが。 面白いのは営業店でわざわざルータとL3SWの両方を使っていることです。 なぜ、ルーティング機能を持った装置を二重に使うのでしょう? 取材に来た記者は広域イーサでルータを使うか、L3SWを使うか、という議論の中で優先制御やマルチキャストが必要なユーザはルータを使っている、などと言っていました。 記事中にもそんなことが書いてありましたね。 それから想像すると、VoIPの優先制御のためにルータを使っているのでしょうか?   

*ちなみに上述の50拠点規模のVoIPネットワークではL3SWを直接広域イーサのLAN−TAに接続し、VoIP−GWはL3SWに収容しており、音声の優先制御はしていません。 それで何の問題もありません。 多少の音声遅延のゆらぎはGWが吸収するからです。 VoIPはエッジの端末が網のいたらないところを補う方向です。 余分な費用をかけて帯域制御や優先制御をするより、優れたVoIP−GWを選択する方が得策です。

*この証券会社の事例では適切な機種を選定すればルータは不要で、L3SWだけで同等の機能と信頼性が得られるのではないでしょうか?  VLANをノード数50以下になるように分割しているので、L3SWでOSPFを動かしても大丈夫です。 
 
 
 

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