間違いだらけのネットワーク作り(221) 2002/03/23
記事評「新型WANのパワーを引き出す」
 

今年に入って既に4回の講演をこなし、それが縁で多くの企業の方と新しいネットワークについて会話をして来ました。  問題意識を持った企業の方と話をすると、こちらが教えられること(ユーザ・ニーズ)が多く、面白い面白いと聞いているうちに具体的な仕事も見えてきました。  もうすぐ新年度が始まりますが、その目玉はハッキリしました。

昨日、金曜日もバタバタと過ぎてしまったのですが、こういう時ほど仕事に無関係な本を読みたくなるもの。 八重洲ブックセンターがしまらないうちに、と8時に会社を出て直行。 ここは平日9時まで営業しており、会社から15分しかかからないので8時に退社してもゆっくり本を選べます。  3階のコンピュータ、ネットワーク書籍売り場も買う気はまったくないのですが、どんな本が出ているのだろうと一瞥。 やたら入門書が多くなったな、というだけで興味をひくものはなし。 1階の文芸書フロアへ。 ひさしぶりに漱石関係の本を読みたいと思っていたので、そのコーナーへ。 ここは漱石に関する硬い論文的な本からエッセイまで数10冊を集めたコーナーがあるのです。 大岡信の「拝啓 漱石先生」1999年刊、世界文化社、1800円を購入。 漱石に関するエッセイや対談をまとめた本です。 内容が面白そうなだけでなく、気に入ったのは今どきめずらしい布張りのハードカバーとしゃれた装丁。 いかにも「本」という感じ。 ふにゃふにゃのソフトカバーで数1000円もする技術書と比べると、10倍くらい価値があると思います。 実用という価値ではなく、手にとって読む時の心地よさも「本」には大切。 

京都研究会

毎年春に行っている京都研究会(第17回情報化研究会)を下記のとおり行います。 一昨年、昨年とNTT京都支店の方に幹事をしていただきましたが、今年は大日本スクリーンの伊藤さんが幹事を引き受けてくれることになりました。 昨年の会で、「来年はうちで」と伊藤さんがおっしゃっていたので、本当にお願いしてしまいました。 ご本人も覚悟していたそうです。 関西の方だけでなく、春の京都を楽しみたい方、ふるって参加してください。

1.日時  4月20日(土)1時30分〜5時 終了後 懇親パーティ

2.場所  大日本スクリーン研修センタ(懇親パーティも同所)
       堀川北大路上がる西入る(何のことやら分かりませんね、会員ページに地図を載せます)

3.プログラム
1時30分〜3時「メガデータネッツ徹底活用法」 講師:NTTの方
3時〜3時15分休憩
3時15分〜4時30分「最近の企業ネットワークの話題」 講師:松田
4時30分〜5時 ディスカッション モデレータ:松田

4.対象  情報化研究会会員のみ

5.会費  3000円(懇親会費含む)

6.申込み方法 いつものようにメールで名前(フルネーム)と所属を連絡してください。
 

記事評「新型WANのパワーを引き出す」(日経コミュニケーション 3月18日号)

最近、しっかり読もうという気にさせる記事が少ないですね。 日経コミュニケーション。 この記事、テーマは面白いのですが内容は深くありません。 「しっかり」でなく、「さらっと」流しました。 新型WANの極意としてまとめてある箇条書きからして、目新しくない。 いわく、「アプリ種別毎の使用帯域まで把握する」(???)、「サーバーは集中配置」(4、5年前から普通に行っていること)、「センター拠点の回線は必ず冗長構成にする」(当然では)、「拠点の重要度に応じてバックアップ方法を選ぶ」(これも常識的)、以下略。 これらは何も新型WANでなくても、あたりまえの設計方針だと思います。 サーバの集中など自営ATMネットワークで4年前に設計していました。

これらの中でコメントして面白いのは「アプリ種別毎の使用帯域まで把握する」。 本当にそこまで必要なの? という疑問です。 トラヒック管理をどういう方針でするか。 一つは日経コミュニケーションの言うように「きめ細かく見る」ポリシー。 もう一つは「ゆるやかに見る」ポリシー。 私は「ゆるやかに見る」のが得策だと思います。

理由は3つ。 まず、日経コミュニケーションも言うとおり帯域は加速度的に安くなっているから。 Webのトラヒックが基幹系のレスポンスを阻害していないか、などと心配するよりトラヒックの総量が帯域幅の80%を超えていないか、といった程度の監視をしておけば充分。  メガビット単位の回線があたりまえになった現在、回線使用率80%でも回線待ち時間や伝送遅延など大した時間にはならない。 総量がしきい値を超えたら増速すれば良い。 安いのだから。

理由その2。 大部分の企業は基幹系のレスポンス管理などしていない。 もともとアバウトな管理しかしていない。 「御社の基幹系システムのレスポンスタイムの目標値は何秒ですか?」と聞いて答えられるのは銀行を始めとする金融機関くらい。 製造業や流通業などの一般企業では大企業でさえ目標値を答えられないことが多い。 さらに言えばSAPなどのERP導入時、トラヒック予測を正確にするのは至難のわざ。 ある程度余裕も持たせた帯域設計をするのが現実。

理由その3。 トラヒックにしめるWebの比重が増えているのは事実。 しかし、Webのトラヒックのピーク時間と基幹系のピークはずれていることが多い。 Webのピークはあなたの行動パターンのとおり、朝9時前後、昼休み、午後6時前後、というパターンが多い。 出社してメールやWebのチェック、昼休みにWebサーフィン、退社時にまたチェック。 基幹系システムのピークは仕事に精を出している10時前後と午後2時前後。  よほど仕事中にWebを見る人(仕事に励まない人)が多くないかぎり、基幹系のトラヒックをWebがじゃますることは考え難い。

アプリ別にトラヒックを見るのは半年に一度程度で充分でしょう。 毎月、あるいは毎週見て、さあどうしよう、などと考えるのは管理コストの無駄というもの。 人件費の方が帯域コストよりはるかに高いのだから、ネットワークはゆったり帯域を用意し、管理コストを極力下げるのが正解だと思います。

ましてや、高価な帯域制御装置を導入するなど、ベンダーが喜ぶだけ。 以前の記事(広域LANでの帯域制御装置の必要性)で述べたとおり、VoIPでさえ帯域制御なしに音質が得られるケースが多いのです。

新型WANサービスがネットワークの運用管理にもたらした最大のインパクトは細々した管理を不要にしたことです。

せっかくの新型WANサービス。 活用するなら、もっとダイナミックで面白いことをやりたいものです。
 

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