間違いだらけのネットワーク作り(212) 2002/01/19
記事評「広域LANの評判」

冬休みに読んだ出久根達郎さんの「書棚の隅っこ」という本に、片岡千歳さんの「きょうは美術館へ」という詩集が紹介されていました。
表題作の一部を引用するとこんな感じです。

ここから 東行きの電車に乗ると
あなたが待っていると
心急く自分に気づきます
でも
きょうは美術館へ行くのです
ひとりで美術館へ行くのです
あなたが待っていた病院につづく同じ町並みを電車は走っているけれど
きょうわたしは美術館へ行くのです
(後略)

ご主人をなくしたばかりの作者の哀切さと、それとは逆の前向きな明るさとがさわやかに伝わってきます。 片岡さんは高知でタンポポ書店という古書店を営む詩人。 ご主人と二人でやっていた店を今は一人で守っているようです。

高知は小学校の修学旅行にはじまって、仕事でも数回、昨夏の研究会でも訪問しており、親しみのわく土地です。 東西に長い海岸線に平行して路面電車が走っており、中心部の町並みはぴかぴか、というより古びた感じです。 ただ、この詩は天気の良い、早春の朝。 古びた町並みも輝いて見える、そんなイメージでしょうか。

インターネットというのは便利なもので片岡さんとタンポポ書店のことを調べようとGoogleで検索すると簡単に見つかりました。 詩の全文を読みたい方はこのリンクを見てください。

タンポポ書店

「きょうは美術館へ」

記事評「広域LANの評判」(このサービス・私の評価「広域LANサ−ビス」日経コミュニケーション1月21日号 P.142)

ますます順風の広域イーサネット。 2000年12月に「IP−VPN/広域LANの実像に迫る」という記事を書き始めて以来、一貫して広域イーサネットの良さを言ってきましたが、世の中的にも評価が高まってきたようです。 日経コミュニケーションのこの記事も概ねいい評価になっていますが、私が実際使ってきての評価はもう少し上かも知れません。 大きな回線障害(LAN−TAも含む)が起こってないからです。

私の手がけた最新事例が同じ日経コミュニケーションP.57(右側のページに資料請求番号57、と表記されています)に掲載されています。 ローソン様本部WANです。 全国143拠点、回線速度は最低が512K、最高が12M。 私のコメントもちょっと載っています。 ポイントは「シンプルで信頼性の高いルーティング設計」。 ルーティングはコストパフォーマンスの良いレイヤ3スイッチで実現。 143拠点にルータが一台もない、という気持ちのいいルータレス・ネットワークです。 図だけ引用します。

大規模ネットワークではVLANの構成設計とルーティング設計が重要です。 ローソン様のネットワークはネットワークのどの部分で障害が起こっても本社、コンピュータ・センタの重要通信は100%確保できるようになっています。 さらにヘルプデスクから全拠点に対して周期的にポーリングをかけ、回線や機器障害を検出、保守を迅速に出来るようになっています。

同様の規模のネットワークを西日本でも移行中なのですが、私が一番ほっとしたのは回線障害が少ないこと。 感心したのは遅延時間が短いこと。 私が広域イーサネットに本気で取り組みはじめたのは2001年1月、安価なレイヤ3スイッチが使えるようになり、大規模なルータレス・ネットワークが可能になってからです。 それ以前の初期段階のユーザは、日経コミュニケーションの記事にもあるようにけっこう障害に悩まされたようです。 

今回の日経コミュニケーションの記事には目新しい情報はなく、辛口のコメントをするような部分もありません。 一つだけ気になったのは協和発酵さんの記事で「約80拠点でVoIPを運用」という見出し。 協和発酵さんは昨年夏に見学に伺いました。 その時には128Kの拠点ではVoIPをやっていない、ということでしたが、この見出しだと全拠点のように受け取れます。 本当でしょうか?

2月7日のNET&COM講演では広域イーサネットを使うにしろ、IP−VPNを使うにしろ、大規模ネットワークの設計ではさけて通れないルーティング設計や信頼性設計について一般的かつ具体的に話したいと思います。  いつものごとく、文学的な話から入っていきます。
 
 
 

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