間違いだらけのネットワーク作り(192) 2001/08/25
広域LANでのVoIP

今日は久しぶりに早稲田大学アジア太平洋センタ岩村教授の主宰するサイバービジネス研究会に出席しました。 「インターネットにおける遅延を操る技術」というテーマに興味を持ったからです。 講師は早稲田大学助手の矢守恭子さんと東大大学院生の有本勇さん。 矢守さんは「遅延の感じ方とユーザコントロール」というテーマ。 優先制御を導入することで、遅延が少なく料金が高いサービスと遅延は大きいが料金の安いサービスを用意することで、ネットを流れるトラヒックの平準化が図れ、資源が有効利用できる、という趣旨の発表。

有本さんのテーマは「触覚デバイスの概要と触覚通信システムの問題点」。 触覚が音声や映像の聴覚、視覚と大きく違うのは入力と出力が同時に発生することと、レートが非常に高くやわらかい物体で数10Hzから数100Hz、硬い物体や精密なモデルだと数100から数kHzを必要とすることだという。 たとえば触覚デバイスのついたクライアントから遠隔地にあるサーバの仮想空間にある物体に触るとする。 触った瞬間に物体の感触が手に帰ってこなければならない、ということ。 この遅延の許容時間は30〜100ミリ秒とのこと。 と言われても実感がわかないですが。

矢守さんの話は直感的にそうなるだろうなと分かる内容でしたが、有本さんのは難しかった。 すでに歯科や外科のトレーニング用のシュミレーションシステムは実用化されているとのこと。 

話は変わります。 この間違いだらけのシリーズが10月20日で200号になります。 これを記念して、というと大げさですが、情報化研究会の大会を開催することにしました。
100人から150人の参加を想定しており、会員以外の方も参加可能なオープンな大会にします。 大掛かりになるので、申し込み受付、その他の事務は潟Aドバンスト・テクノロジー・センター(ATC)さんにアウトソーシングすることにしました。 ATCさんは信頼できるセミナー会社です。 内容は以下の通りです。 申し込み方法等確定したらお知らせします。

情報化研究会「間違いだらけのネットワーク作り」200号 記念大会
 
1.日時  平成13年10月20日(土) 10時より
2.場所  中央大学駿河台記念会館
3.プログラム
10時−10時10分 開会挨拶
10時10分−11時40分
「ドットコムバブル、クラッシュからの脱出」 CSK代表取締役副社長 有賀 貞一氏
研究会の古いメンバーであり、CSKのeビジネスをリードされている有賀副社長に何故、ドットコムバブルは急激にはじけたのか、どうすれば回復できるのか、今後の展望をお話いただきます。

11時40分−12時30分 昼食休憩
12時30分−14時30分
「IPv6への期待と活用の実際」(予定)
NTTPCコミュニケーション ネットワーク事業部 課長 波多 浩昭氏
情報化研究会で講演していただいた数多くの講師の中でも抜きん出て分かり易く、面白い話をしていただいた波多さんにIPv6について話していただきます。

14時30分−14時45分 休憩
14時45分−16時45分「次世代ネットワークの活用と今後の展望」 情報化研究会主宰 松田 次博
IP−VPN、広域LAN活用の最前線と今後の展望を話したいと思います。 あと、よもやま話が結構入ると思います。

16時45分  閉会

4.参加費用
まだ確定しませんが、会場の費用、テキストの印刷、諸手続き費用が必要なことから、いつもの研究会よりはかなり高くなります。
ただし、一般のセミナーに比べると半額以下になると思います。

広域LANでのVoIP

掲示板に久方のVoIPネタが書き込まれ、しかも、きれいにまとまっているので思わず引用させてもらいました。
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L2WANでのVoIPについて  No: 561 [返信][削除]
 
 投稿者:まさ  01/08/23 Thu 13:40:28
VoIP,QoS,フラグメントでサーチして貴サイトを拝見させて頂きました。
生の声が聞けて非常に参考になります。

そこで、L2WANでのVoIPについて雑感をお聞かせ願いたく投稿致しました。
よろしくお願い致します。

<環境>
・以下のような構築済みのL2WAN環境にVoIPの追加を検討しています。
・本社側は6Mで支店側はそれぞれ512Kで8支店あります。
・WAN側はL3SWでセグメント分割しておりルータは使用してません。
・L3SWは本社側がCatalyst2948G-L3で、支店側がアライド8624XLです。

       6M      512K
本社:C社L3SW=======L2WAN網=======支店1:A社L3SW
           ||  512K
           +===========支店2:A社L3SW
           ||  512K  ・・・中略・・・
           +===========支店8:A社L3SW

・VoIPゲートウェイは沖さんのBV1250などを検討中。
・各支店は音声4chを確保、圧縮にはG.729(8kbit/s)を使用予定
・本店は4ch×8支店=32chで、全拠点が同時に通話することは考えられないので
  30chを確保
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*すでに掲示板に詳しい返信を書いた方がいらっしゃいますし、広域LANのユーザの半数以上がVoIPを使っているので、これからも書き込みが増えることを期待しています。 私はまささんが求めている「雑感」をお答えします。 

*各支店の音声チャネルが4本しかないことから、多めにみても音声で必要な帯域幅は64K。 支店のアクセス回線は512K。 データ系を含む回線使用率が極端に高くなければ特段なにもしなくても、VoIPはそこそこ使えるのではないか、と思います。

*まささんが読んだ間違いだらけのno.170、それに続く171あたりで広域LANでの帯域制御装置の必要性の議論をしました。 ちょうどそのころ、広域LANの実回線を使って、まささんが検討しているのとそっくり同じ構成で、帯域制御装置を使った場合と使わない場合でテストをしました。 片側が1.5M回線、もう一方は128k回線でわざと速度ギャップを大きくしてパケット・ロスが出やすくしました。

*帯域制御なしでFTPで1.5M側から128k側に負荷をかけていっても、パケット・ロスはなかなか発生しませんでした。 発生するのはフロー制御のないUDPで送られる音声トラヒックを増やした時です。 この実験で、UDPトラヒックの割合が少ない場合には帯域制御の必要性は少ない、と私は判断しました。 支店のアクセス回線で音声トラヒックの割合が3割、4割に達するのであれば気を使う必要がありますが、1割程度では大丈夫ではないでしょうか。

*次に事実を書きます。 帯域制御も優先制御も使わず、1.5M、0.5Mといった速度でVoIPをあっけらかんと使っているユーザがいます。 一方で1.5M以上の回線で全拠点帯域制御装置を入れてVoIPを使っているユーザもいます。 ただ、面白いのは、この帯域制御装置が故障した時にもVoIPの音質の変化に気づかなかった、ということです。 要はアクセス回線の使用率が高くない、ということでしょう。

*まささんにお勧めするのは、現在アクセス回線の使用率がピーク時でどの程度か調べること。 まだ余裕があるなら、何も考えずに本社ともう一箇所にGWを導入し、試行すること。  問題がなければ全拠点に拡大。 
 

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