間違いだらけのネットワーク作り(178) 2001/05/12
「Router Bottleneck」

ここのところ、NHKの「その時歴史が動いた」(水曜、9時15分)をよく見ます。 先週は会員向けメールに紹介した「戦艦大和の最期」。
会員の方には重複しますが、「戦艦大和の最期」のクロージングで紹介された臼淵大尉が乗員に語った言葉を引用します。

「進歩のない者は決して勝たない。 負けて目ざめることが最上の道だ。  日本は進歩ということを軽んじ過ぎた。
私的な潔癖や徳義にこだわって、本当の進歩を忘れていた。 敗れて目ざめる、それ以外にどうして日本が救われるか。
今目覚めずしていつ救われるか。 俺たちはその先導になるのだ。 日本の新生にさきがけて散る。 まさに本望じゃないか。」

必敗、必死の沖縄戦におもむく乗員にその死の意義を納得させた言葉です。

最近の日本、負けつづけのように思いませんか? 日本テレコムがイギリスの会社になったり、基幹産業である自動車会社の社長が
外国人になったり。 国のセキュリティに直結する通信産業が外資になる、というのは一昔前には想像できないことでした。

敗戦という分かり易い負けは「目覚める」というリセットが可能でしたが、今の負けはどうなんでしょう。 グローバリゼーションが進展するのは
必然なのでしょうが、知らないうちに植民地状態にならなきゃいいな、と思います。

来週土曜日、19日の京都での情報化研究会は今日時点で24名参加となっています。 東京から参加する熱心な方が6名います。
今年はもう川床が営業しているとのこと。 川床というのは鴨川沿いの料亭が川の上に縁台を張り出したもの。 オープンエアーで食事が楽しめます。
研究会終了後の懇親会は川床でできれば、と思います。

Router Bottleneck

先週の記事への反応、掲示板で盛り上がりました。 VoIPについてはメールでの反応もありました。 まとめようとすると大変だなあ、と思いつつキーボードをたたいています。
しかし、付加価値のある情報だと思いますので長くなるのは承知でまとめましょう。

1.研究会のAさんがVoIPへの積極的な取り組みを止めたことについて
先週の記事から再掲
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研究会のAさんからVoIPへの積極的取り組みを止めた、という趣旨のメールが来ました。 その一部を引用します。
「この3,4年VoIPの総括としては、Router Networkでは、大規模でのQosを保証しなくてはいけない物(ATM Megalinkをベースにした全国展開系やVoIPなど)はやはり現実的ではなく。 ATMのQOS(VBRーRT、VBR-NRT,CBR)を正しく実装し、かつVPシェーピングも実装したATMーSWが必要であるという事が再認識できました。」
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Bさんからのメール
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研究会のAさんのメールのお話ですが、この方はCiscoの信者か、あるい はATMを使う以上は統計多重効果がなければいけないと信じている方なのでしょ うか?

Ciscoの信者であった場合、VP&VCのシェイピングができないので、 End−EndでVCサービスを利用できないと、1VPに複数VCを設定する場合、セルのサービスクラスで優先をかけるか、1VCでQoS制御を行うかの選択肢しかなく、結局はATM−SWと言う名前のVPシェーパーを使うことに なるようです。

また、ATMでVC分離をした場合、ルーターのQoSはいらないのですが、 複数VCを束ねて統計多重効果を期待すると、やはりセルのサービスクラスや送出スケジューリングが正しくでいなければ・・・となって、やはりATM−SW ということになります。
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*情報量、多いですね。 ATMメガリンクを使ってもATMスイッチなしでは大変だとすると、IP−VPNなんかじゃどうすればいいの?が感想です。

Cさんからのメール
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HPでAさんからのmailで「Router-NWのVOIP検討はしばらく凍結」とありましたが、どんな理由なのでしょう。 なにか特別なことがあったのでしょうか。
個人的に好みでないC社RouterはATM系はやる気がないですし、ATM系QOSサポートもいまひとつ、負荷はかかるし、バグは相変わらずだし。
そんな感じでしょうか。
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2.Wire Speedの定義

私の不勉強がバレてしまいましたが、Wire speedの定義、よく分かりました。 ありがとうございました。 ネットワークスペシャリストの問題まで引用していただいてビックリしました。
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Re: 「Wire Speed」  Prev: 375 / No: 376 [返信][削除]

 投稿者:Benchmark  01/05/09 Wed 10:36:54
> > WireSpeedとは「Switchやルータなどに、理論上の
> > 最大負荷のフレーム(パケット)を入力してもフレームロストを起
> > こさずに転送処理が行える」ことらしいです。
> > このことは、「1本のWireであるかのように転送処理できる」
> > ことを表します。
> >
> > 理論上の最大負荷のフレーム(パケット)入力⇒フレーム長が最小
> >(10BASE-Tなら64バイト)であるフレームの連続入力が
> >              最も転送処理の負荷が高くなります。
> WireSpeedの定義はこれが正しいです。
>
> Ethernet(10M)の定義ではフレームとフレームの間は9.6μ秒あけなくてはいけない
> 事になっています。(フレームとフレームの間の間隔をInterFrameGapと言います)

ワイヤスピードは規約上の最大送信レートで正しいです。
ただし、ロスあるなしは関係ありません。
ロス無しの最大フォワードレートはスループットと定義されています。
(RFC1242,RFC2544)

10Mイーサでの最大レート計算例

 10x1,000,000bps
−−−−−−−−−−−−−−−− = 14880pps
(8    +  60 + 4)x8bit +96bit
 Preamble Ether   CRC              GAP
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 

3.IP−VPNと広域LAN

まさとさんとセバスチャンさんの書き込み、参考になりました。

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Re: MPLSとか広域LANとか  Follow: 378 / Prev: 370 / No: 373 [返信][削除]

 投稿者:まさと  01/05/09 Wed 00:58:14
コラムで
「幻惑されずに、IP−VPNなんぞ駆逐してやる、という意気込みでやってください。」
と言われてしまいましたが…ちょっと弱気です。

例えば、世界規模の閉域ネットワークを広域LANで組んだら…
東京で発進された、ARPリクエストが太平洋を渡って、アメリカ大陸を
横断して、大西洋を渡ってロンドンのサーバまで飛んでいくと。
これは結構しびれますね。

そんな時はARP解決の必要のないIPv6を使うと言う選択肢もありますが
一般の人はIP-VPNでやるのが素直な気がします。

その前に世界規模のMPLSプロバイダが存在する事が前提ですが…
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*広域LANと決めたら、広域LANだけでグローバルなイントラネットを作る、逆にグローバルなら国内/国際すべてIP−VPNにする、などという
石頭な設計をしなくていいのではないですか。

*国内は広域LANで海外はフレームリレーでも、ATMでも、IP−VPNでも組み合わせればよいと思います。

*国内を広域LANで設計するにも1企業を1VLANで、などと固定的に考える必要もありません。 現在私が設計中のネットワークはVLANを3ブロックに分けています。

*将来、広域LANを国際で提供するキャリアが出てくれば、国内と国際は別VLANにすれば広域LANでグロ−バルネットワークというのも成り立つかも知れません。

*エクストラネットはどうするんだ、というセバスチャンさんの指摘もありましたが、広域LANで出来たイントラネットと外部との接続は1ヶ所でルータを介してインターネットなり、IP−VPNと接続してやればOKではないでしょうか?

*それとIP−VPNがエクストラネットの切り札なんかにはならないと私は思っています。 現在のB2Bもインターネットをセキュアに使うのが主流であり、今後もそれは変わらないと思います。 「エクストラネットをするならIP−VPN」というのは、顧客を囲い込みたいキャリアの手前勝手なキャッチフレーズだと思います。 B2Bの目的は取引をオープンにし、世界中から最適な取引先を選択すること。 閉鎖社会を作るIP−VPNが適するわけがありません。
 

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Re: MPLSとか広域LANとか  Follow: 372 / Prev: 368 / No: 369 [返信][削除]

 投稿者:セバスチャン  01/05/07 Mon 17:46:27
> MPLSの話題から外れますがと言うキーワードが抜けてました。
>
> > <>
> > PPPを使った場合数百K程度のアクセスラインであればワイヤーレートの転送に問題ないかもしれませんが
> > 1.5MクラスになるとPPPを使用している時点でほとんどのルータで性能が制限されていると思います。
> > 私が1年ほと前に測定した経験から言うと1CPUでパケット転送とPPPの維持を行っているルータでは密度の
> > 濃いショートフレームが来るとセッションが維持出来ないものが多かったです。
> > PPPの維持とパケット転送が別々に行われているものでも1.5Mクラスでショートフレームが満足な性能
> > で転送出来るものはほとんどありませんでした。
>
> 私は広域LAN派と言うよりかEther派かもしれない…

先日某キャリヤのIP−VPNで、VoIPの検証をしました。
必要なパケットを網側で優先制御をする、という物です。

私はほとんど立ち会ってただけですが、結果としてかなり良好でした。

もちろんデータも同時に流していたのですが、MTUを小さくすると、優先が効かなくなり、かなり音質は劣化していました。
ルータのバグでは?という推測をしていましたが、バグというよりはまさとさんのいうような、処理能力の問題だったかもしれません

あまり公には出来ないので、大雑把な書き方しか出来ませんが。 (関係者が見ていませんように・・)

私としては、今現在IP-VPNを扱うことの方が多く、網側(キャリヤ側)での優先制御オプションを加えることで、良い結果を得てますので、IP-VPNもまんざらでもない、という感想です。
ただ、例のスケーラビリティーを論じるほどの環境ではなかったので、拠点数が数百にまでなるとどうかは分かりません。

むしろ問題にしたいのは、キャリヤのサポート体制です。 どこもそうかも知れませんが、IPネットワークの技術者不足のようで、我々から見るとたわいない作業なのですが、いろいろとキャリヤさんはミスをしてくれます。 それならCWCさんの売りの1つの「枯れた技術を用いている」というのに、心惹かれます。

たしか、バックボーンはSONETリングで障害回避でき、TDMで時分割しているので帯域保証できる、という説明を聞いたことがあります。
下手にIPアドレスを設定してミスするぐらいなら、シンプルな構成できっちり構築、管理してもらった方が安心です。
L2SWの設定ミスはあるかもしれませんが・・・

実体験から、つくづくそう思います。
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*文面から推測しますと、「かなり良好」というのはMTUを小さくしなければ、ということらしいですね。 「かなり良好」の「かなり」が「これ以上改善の必要がない」程度の「かなり」なのか、「予想よりは良好」という意味なのか、興味あるところです。 MTUを小さくする、という実験をしたのは「改善の必要がある」からかな、と想像します。

*MTUを小さくしないと遅延やトギレが気になるのでしょうか? MTUを小さくして低速拠点での遅延を少なくしたい、でもそうすると肝心の優先制御が効かない、ではこれ以上の音質改善は無理ということになります。

*RouterベースのVoIPのパラドックスが如実にあらわれていますね。 パラドックスとは
「小規模拠点には投資効果をそこなわないため高価なルータは使いたくない。 しかし、MTUフラグメンテーションや優先制御をするとルータの負荷が大きくなるので小規模拠点のルータの方がかえって高価になる。」

*広域LANでWireSpeedを安価に実現できるSwitchとVoIP−GWを組み合わせた方がコストパフォーマンスがいいのでは?と思います。
 
 
 

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