間違いだらけのネットワーク作り(177) 2001/05/05
「WireSpeed」

今日は子供の日、といっても特別なことはしません。 昼はマクドナルドでもおごってあげようと子供たちに言うと次男に「マクドナルドくらいでおごると言うな」と言い返されてしまいました。 「じゃあ、マンガ本も買っていいよ」というと、うれしそうに「ありがとう!」 まだまだカワイイもんです。 兄弟3人そろってマックとマンガを買いに行きました。

研究会のAさんからVoIPへの積極的取り組みを止めた、という趣旨のメールが来ました。 その一部を引用します。
「この3,4年VoIPの総括としては、Router Networkでは、大規模でのQosを保証しなくてはいけない物(ATM Megalinkをベースにした全国展開系やVoIPなど)はやはり現実的ではなく。 ATMのQOS(VBRーRT、VBR-NRT,CBR)を正しく実装し、かつVPシェーピングも実装したATMーSWが必要であるという事が再認識できました。」
AさんはVoIPルータに力を込めてやってきたのですが、結果はかんばしくなかったようです。 

話は変わります。 日経NETWORK5月号で「プロトコルとはそもそも何か?」という特集が掲載されています。 日経コミュニケーションやNETWORKの記事を真面目に読むことはほとんどないのですが、この記事は久しぶりにじっくり読みました。 「OSI基本参照モデル」なんて、なつかしい。 折込の付録「WEBアクセスのプロトコル・シーケンス」と「プロトコル総まくり」は各プロトコルの役割や位置付けが分かって便利です。 ネットワークを客観的に設計するには特定ベンダーのプロトコルに詳しくてもダメで、この特集にあるようなオープンな世界に詳しくなる必要があります。 OSIモデルにそった階層化と標準化がされていれば、各層の機能を果たす製品や回線は自由に組み合わせられるし、交換できる。 これが客観的設計に必要な絶対条件です。 ちなみに、この記事を書いている一人、林さんは情報化研究会の古いメンバーです。 私が90年に銀行のネットワークでOSIを採用した時、取材に来て以来お付き合いいただいています。 林さんの記事を久しぶりに読んで、あいかわらず懲りまくっているなあ、元気だなあ、と思いました。

WireSpeed

先週の記事「盛り上がる広域LAN」に対してザイオンさんやまさとさんからの反応が掲示板に書き込まれました。 ザイオンさんの書き込みは私が記事をアップロードして1時間もたたないうちに書かれています。 うれしいですね、まるで記事のUPを待っていてくれたようで。  今週はザイオンさんとまさとさんのやり取りを取り上げさせていただきます。

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単純な疑問です  Follow: 357 / No: 355 [返信][削除]

 投稿者:ザイオン  01/04/28 Sat 16:41:23
4/28のコラムに「MPLSでは到底実現不可能な64byts frame WireSpeedの転送が広域LANでは
既に手に入る」というコメントを評価されているようですが、現状64byteでワイアレートを必要と
するユーザってどういうところで、その理由というのはなになのでしょう?
(中略)
現状、IP-VPNサービスはフレームリレーサービスからの乗り換えが多いという事実もあるのでしょうが、
FRサービスでされ利用しなかった小規模ユーザを救っている面もあるのではないでしょうか?

現状では、アクセスポイント等まで比較するとIP-VPNサービスが救っている面と広域LANサービスが
救える面というのは大きな差があるのも事実で、単純な優劣比較はできないところもあるのかな、と
思うところもあります。

最後に。揚げ足とりになるかもしれませんがショートフレームのワイアスピードが実現できないのは
「MPLS」」ではなく「IP-VPNサービス」ですよね? MPLSって高速転送技術なのでショートフレームの
ワイアスピードが不可能、というわけではないと思うのですが?

駄文失礼しました

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Re: 単純な疑問です  Follow: 358 / Prev: 355 / No: 357 [返信][削除]

 投稿者:まさと  01/04/29 Sun 11:14:44
ザイオン様

広域LAN推進派としてコメントさせていただきます。

(1)64bytesワイヤーレートの必要性について

昔から専用線やATMなどのメディアを使い慣れてきたユーザに取ってショートフレームが通らない
網に対して多少抵抗感があるのではないか?と言う気はします。
ただし、ザイオンさんがおっしゃる通り、実際に現在64bytesワイヤーレートを必要とするユーザが
どれほどいるかは確かに疑問な点ではありますね。

(2)MPLSにて小規模ユーザを救えると言う点について

おっしゃる通りだと思います。
広域LANでは低速な品目に対するケアはあまりありませんね。
小規模な事務所を多数接続する様な網では、MPLSの方が有利な点があると思います。

(3)MPLSでワイヤースピードの性能が出るかどうかについて

これは、ラベルスイッチングを行うATMの速度がワイヤースピード出ても仕方がない訳で、
現在サービスされているMPLSサービスではショートフレームワイヤースピードが出ないと言う認識が
あります。(性能がきっちり出るぜ!と言うソリューションあるいはサービスがあれば教えて下さい)
これはPEの性能が上昇するとともに、ある程度改善されるとは思いますが、かなり先な気がします。
(今だと64bytesに限らず少し大きめのフレームでも通らない装置も結構ありますよね?)
このへんはVOIPなどの比較的フレームが短いサービスを利用する場合に大きく影響が出るので頭のいた
いところです。

(その他)
ザイオンさんの意見を見ていてMPLSで救える部分、広域LANで救える部分がやはり違うのかな
と言う気もしてきました。
私は広域LAN推進派ですが、太平洋を跨ぐ回線で広域LANを使おうと思えるほど根性はないですし、
(2)の様ようなユーザに関してはMPLSの方が有利だと思います。
ただし、高速性、使い易さ、帯域に対するコストではやはり、広域LANが優れていると思います。
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*「MPLSでは到底実現不可能な64byts frame WireSpeedの転送が広域LANでは既に手に入る」というまさとさんの文章を赤くマークしましたが、これは評価しているというより、「こんな観点の比較もあるんだな」と新鮮に感じたのでマークしたのです。 

*64バイトという長さに格別の意味があるとは思いません。 しかし、1OM/100M EtherのWireSpeedが欲しいというニーズは普通にあります。 CWCの売り文句ではありませんが、「離れていても同じLANの上にあるように使いたい」というニーズです。 私が仕事として経験したのは98年です。 そのお客様の発想。 お客様「マシンルームが狭くなったのでサーバの一部をハウジングサービスで外に出したい」 私「ソフトの作りを変えないとレスポンスが悪くなりますよ」  お客様「Ethernetと同じ10Mで接続すれば今のままでいいでしょ」 私「ぜいたくな発想ですね。 そうしましょう。」

*98年当時は広域LANもIP−VPNもなかったのでATMメガリンクを使いました。 今では同じことが「ぜいたく」感なしに実現できるようになった、ということでしょう。

*「WireSpeed」というのもWANの世界で使うと新鮮ですね。 WireSpeedの定義は「Switchやルータ内部で転送遅延がほとんどないこと」ということらしいですね。 1本のWireであるかのようにSwitchできるからWireSpeed。 理解が間違っていたらご指摘ください。 速いにこしたことはありません。

*IP−VPNのPEがソフトウェア・ディペンドでアーキテクチャとしては時代遅れだということは誰しも認めることではないでしょうか。 優先制御などちょっとした機能追加をしようとすると極端に処理能力が落ち、収容できるユーザ数が激減する。 これはキャリアの投資効果を大きく損なうということです。 投資したばかりのPEを新たなニーズに対応するからと入れ替えるというのも簡単ではないでしょう。

*小規模な拠点がたくさんあるとIP−VPNの方が、広域LANより有利でしょうか? そうは思いません。 今のPEでは拠点数が1000のオーダーになるコンビニのネットワークを一つのVPNとして扱うのは不可能でしょう。 キャリアが数値的条件をユーザに開示しないので断定はできませんが。

*広域LANがアクセス回線部分でATMの世話にならず、端から端までEthernetという形態が一般化すればますますIP−VPNより競争優位になるでしょう。

*別の書き込みで「一説によりますとこの手のサービスは日本だけらしいですが」というコメントがありました。 「日本だけ」が不安なのでしょうか? アメリカの猿真似ばかりしたり、ルータ・ベンダーのマーケティング戦略を鵜呑みにしたサービスをするより、ユーザにとって客観的なメリットのある独自サービスを開発・提供することの方が素晴らしいことだと思います。

*サービスは独自でも使っている技術がオープンであることも広域LANの好ましいところです。 IP−VPNはユーザから見てブラック・ボックスですが、広域LANははるかに透明度が高い。 私はClearなのが好きです。

*各キャリアも広域LANの良さを分かっているから次々に参入しているのです。 まさとさん、IP−VPNで救える部分と広域LANで救える部分が違うのかな、なんて幻惑されずに、IP−VPNなんぞ駆逐してやる、という意気込みでやってください。
 
 
 

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