間違いだらけのネットワーク作り(165) 2001/02/10
「VoIPによる大規模ネットワークの構築技法・要旨@」

昨日、日経BP社主催のNET&COM21フォーラム「VoIPによる大規模ネットワークの構築技法」の講演をしました。 フォーラムの会場は100名収容と200名収容の2種類があるのですが、私の講演は200名収容で、机のある席にすわれない方が最後部のイス席で聞いているという盛況ぶりでした。  講演のはじめにこのホームページを見ている方に挙手していただくと、7割ほどの方が手をあげました。 初めて私を見たり、話を聞いた人はどんな感想を持ったでしょう。 この記事から想像していた印象と一致したかどうか、興味があります。 研究会の会員の方も何名が来られており、終了後歓談しました。

講演のはじまる直前にCISCOの人が来て、「いつもタタイテくれてありがとうございます。 松田さんの本は皆に読んで研究しておけ、と言っています。 これからもタタイテください。」と挨拶されました。 CISCOにも面白い人がいるんですね。 別にタタイテいるつもりはないのですが、講演の中でも話したようにVoIPにいい面と悪い面があり、その両方を公平に評価せねばならないように、ものごとは多面的に考えましょうね、自分で考えず他人の言うことを鵜呑みにするのは止めましょうね、と言いたいだけです。 特定ベンダーの考え方にドップリつかって一面的なものの見方しか出来なくなったのではネットワーク設計者としていい仕事はできません。

話は変わって、情報化研究会の方へのお知らせです。 今年はじめての研究会を下記のとおり行います。 参加したい方はメールにて申し込んでください。
1.日時
2月28日(水) 18:30−21:30
2.場所
港区赤坂1−5−11NTT葵荘(地図は会員ページに掲載します)
tel 03−3583−7655
3.テーマ「IP−VPNにおける帯域制御装置の利用とその効果」
4.講師  パケッティア技術部長 原氏
5.会費  4000円(懇親パーティ含む)

VoIPによる大規模ネットワークの構築技法・要旨@

今週から2、3回NET&COMでの講演要旨を掲載します。 このページを見ている方で参加できなかった方にエッセンスを伝えられたらと思います。 と思っていたら日経コミュニケーションの方が要旨を記事にして日経BizTechに掲載してくれていました。 最後の文、「今日は文学的にVoIP技術を設計することを知って欲しい」というのはおかしいですが、85点の要約という感じでしょうか。 

VoIP技術の導入を目的にするな、企業ネットワークはポリシー設計が重要

私の講演は「@音声を統合する、しないなんてことにこだわる時代は終わった、Aネットワーク構築では設計ポリシーの明確化が大事、B設計ではミクロな技術知識より、技術を文学的に理解すること、すなわち技術の意味と目的を知ることが重要、この3点が今日の講演で言いたいポイントだ」という出だしで始まりました。  VoIPの話を聞きにきたつもりなのに、音声なんぞにこだわるな、と言われたのですから皆さんビックリしたかもしれません。 でも、私の意見はしごく合理的なものです。 講演にしろ、本にしろ、新鮮で有用な切り口がなければツマラナイ、と私は思っています。 そして、講演なら最初にそれを打ち出して聞いている人にパンチをくらわす、これが私の流儀です。 日経コミュニケーションの加藤記者は私のパンチの意味をちゃんと理解してまとめてくれました。 
 

1.トラヒック特性の劇的変化

企業のネットワークで、どんなトラヒックがどの程度流れているのか、ピークアワーは何時で、その時のトラヒックの内容は何か、といったトラヒック特性を分析せずにネットワークは設計できません。 下図は複数の企業のトラヒック分析の平均値をグラフにしたものです。 分かり易いように、端数はまるめて10%単位にしました。

この5年間でトラヒック特性は劇的に変化しました。 電話系、ホスト等の基幹系はトラヒックが絶対的に減ったわけではないのですが、Web、メールが急激に伸びた結果比重が下がったのです。 電話系30%はまだ多い方で、企業によっては20%を切っています。 わずか20〜30%の電話系を統合するか、しないかなんて小さな問題です。 かりにVoIPで電話系のコストが半分になっても10〜15%しか通信料は節減できないのです。 それより、これからも急増するWebやメールのトラヒックをどう扱うかの方がはるかに重要な設計テーマです。

ちなみに、Webのトラヒックのうち80%以上が外部のホームページの閲覧です。 では1日のうち、トラヒックのピークはどこにあるのでしょう?


私が銀行のネットワーク設計で初めてネットワークの仕事を始めた時、教えられたのは「先ず、ピークアワー(もっともトラヒックの多い時間帯)を把握する。 そして流れているトラヒックの内容をハッキリさせる。 その上で、基幹系システムの目標レスポンスタイムをお客様と設定し、ネットワーク構成や帯域設計を行う。」という設計の基本です。 

5年前まではその通りにやっていればOKでした。 ピークアワーは重要な基幹系と電話系が形成していましたから。 でも、今は、ピークは基幹系・電話系でなく、Web系が作るのです。 朝、社員が出社したとき、ヒマな昼休み、さあ帰ろうかという退社時。 皆さん、お気に入りのホームページを見ていませんか? それがネットワークのピークを作っているのです。

昼休みがピークだから、その時点の基幹系システムのレスポンス目標やWebのダウンロード時間の目標を設定し、「昼休み」に快適にWebサーフィンできるようにネットワークを設計しますか? そんな馬鹿なこと出来ませんね。 じゃあ、どういう考え方で設計するのですか? それが私の言うポリシー・ベース・デザインです。 続きは次回。
 
 
 
 

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