間違いだらけのネットワーク作り(164) 2001/02/03
「IP−VPNの実像に迫るD−FRとの料金比較」

NET&COM21フォーラム「VoIPによる大規模ネットワークの構築技法」の講演まで1週間足らずとなりました。 昨年依頼を受けた時にはまだまだ先のことと思っていましたが日のたつのは速いものです。 昨年同様、このページを見ておられる多くの方にお会いできるのを楽しみにしています。 VoIPという企業ネットワークを構築する一つの手段、パーツの話だけでなく、企業ネットワークの設計をどういう視点と方法で進めれば良いのか、現時点の私の考え方を説明したいと思います。 先日この記事に書いた”SUPER”な設計の必要性ということになるのですが、Sが何を意味し、Pが何を意味するのか、その背景は何か、を説明します。

IP−VPNの実像に迫るD−FRとの料金比較

「ハダカの王様」という童話に象徴されるように、人間というのは自分ではオカシイ、間違っているんじゃないかと思っても、多くの人と違う意見をいうのは難しいものです。 アメリカでははやらないVoIPが日本でこんなに話題になったり、やはりアメリカでは大した話題にならないMPLSベースのIP−VPNがやたら注目される日本、というのは背景に「ハダカの王様」的状況におちいりやすい国民性があるのかも知れません。

「IP−VPNはフレームリレーより安い」という命題も、気をつけないと似たようなことになるかもしれません。 というのも、最近2つの実在する企業のケースでATM/FRの料金とIP−VPNのそれを比較したところ、どちらのケースもわずかながらATM/FRの方が安価になったのです。 アクセス回線速度の条件は同じです。  少なくとも、「ケースによってIP−VPNよりATM/FRの方が安価になることがある。」というのは事実です。 もっとも帯域保証のあるATM/FRと保証のないIP−VPNを価格だけで比較して優劣を論じることはできませんが。

実在のケースをここで紹介するわけにはいきませんので、簡単なモデルで試算してみましょう。

[前提条件]
・料金計算はNTTコミュニケーションズのホームページを使用、長期割引・高額割引は適用せず
・DSU/ONU使用料含む、屋内配線使用料含まず
・アクセス回線はすべて15km未満
・東京を中心とし、札幌から福岡まで6拠点をスター状に結ぶネットワーク
・トラヒックは東京と拠点間が大部分
・東京のアクセスは6M
・他拠点のアクセス回線は1.5Mエコノミー、保守グレード=タイプ1
・各拠点のCIRは0K、256K、512Kの3通り、PVCは東京と各拠点間にスター状に1本づつ

・IP−VPNはSTMタイプとATMタイプで見積もり
・STMタイプのアクセスは東京6M、他拠点1.5Mエコノミー
・ATMタイプは東京6M、他拠点2M

正直言って会社では自分で回線料金を計算することはないので、こうしてNTTコムのホームページをじっくり見るのはいい勉強になります。 とはいえ、ふだんやってないので間違いがあるかもしれません。 その時はご指摘ください。
 
 

フレームリレーとIP−VPNの料金比較(円/月)

拠点 
 FR(CIR0)  FR(CIR256)  FR(CIR512) IP−VPN(STM) IP−VPN(ATM)
東京 1,119,100   1,295,100 1,467,100  1,349,000 679,000
札幌 247,900 299,400 331,900 287,500 337,000
仙台 247,900 299,400 331,900 287,500 337,000
名古屋 247,900 299,400 331,900 287,500 337,000
大阪 247,900 299,400 331,900 287,500 337,000
広島 247,900 299,400 331,900 287,500 337,000
福岡 247,900 299,400 331,900 287,500 337,000
合計 2,606,500 3,091,500 3,458,500 3,074,000 2,701,000

このモデルでは、STMタイプのIP−VPNの料金はCIR256Kのフレームリレー料金とほぼ同じで、CIR0より高い。 おそらくCIR128Kよりも高いでしょう。 CIR512Kとなるとフレームリレーの方が高い。 ATMタイプのIP−VPNは6Mでは高速デジタルよりアクセス回線料がかなり安いのが効いていますね。 これが高速デジタルと同じ料金ならやはりCIR256Kのフレームリレーとほぼ同じです。 東京のアクセスはATM、他はフレームリレーという構成も取れると思うのですが、私は料金の算出方法が分かりません。 総じて、このモデルではCIR256KのフレームリレーとIP−VPNがほぼ同料金と言えそうです。

さあ、CIRで256Kは帯域が常時保証されており、ネットワークが空いていれば1.5Mまでのバーストも伝送できるフレームリレーと、帯域についての保証があいまいなIP−VPNとどちらがこのモデルに適しているのでしょう? CIR0のフレームリレーでは使いものにならないのでしょうか? モデルのトラヒック特性とネットワーク側のふるまいで決まるのでしょうね。

このモデルではきれいな結果はでませんでしたが実在企業でのケースも踏まえていえることは、トラヒックの流れが単純でスター型のトポロジーのネットワークではATM/フレームリレーの方がIP−VPNより有利なことがままある、ということです。 もうすこし、ケースが増えればハッキリしたことが言えると思います。 皆さんからのフィードバックも期待します。
 

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