間違いだらけのネットワーク作り(160) 2001/01/06
「21世紀のネットワーク」

正月休み、というのは本当にいいですね。 実はこの記事は12月30日に書いています。 30日は大掃除の日と我が家では決まっています。 私の分担はフローリングみがきとフロの掃除。 家族とワイワイいいながらソファーやテーブルを動かしてワックスがけ。 1時間ちょっとで完了。 午後はフロ。 これが疲れるのです。 カビキラーというので壁から床から徹底的にみがきます。 1時間半でおわり。 こんな作業をしていると、今年も無事おわったなあ、けっこう面白かったなあ、という気分になるのです。 そして夕方、こうしてキーボードを打っていると自分でもリラックスしきっているのが分かります。 まさに、お正月気分です。 以下は元旦になった気分で書きます。

21世紀のネットワーク

さあ、新世紀になりました。 新しい世紀がネットワークを仕事とするすべての人にとって幸多い世紀となることを祈ります。

21世紀、ネットワークの世界はどうなるのでしょう? とても私には予測できませんが、first decade、最初の10年がひょっとしたら一番変化と多様化の激しい時代になるのではないでしょうか。 その後は現在の電話機がそうであるように、どんな高速で高機能なネットワークも空気のように、存在自体意識しないほど生活に溶け込んだ存在になるんじゃないでしょうか。 

新世紀のネットワークに何を期待するか? 20世紀が物質と文明の時代だったのに対し、21世紀のキーワードは心と地球(自然)。 このふたつにネットワークはどう役に立つのか。 私の作った下の図では「社会生活の質的向上」と表現しました。 これまでネットワークはひたすら生産性の向上のために使われてきました。 効率向上、スピードアップ。 結果、人間は酷使されることになりました。 効率化されたから楽になるのでなく、労働時間は減ることなく密度が高まったのです。 人の感覚的な忙しさは「ドッグ・イヤー」という言葉に象徴されるように激増しています。 少なくとも企業においてネットワークは便利だけれども「心」にとって過酷なものになりつつあるように思います。

企業で働くわれわれが、ネットワークで生活の質を高めるためのポイントは時間のゆとりを作ることではないでしょうか。 効率化されたから仕事量をふやすのではなく、個人の自由な時間を増やす。 仕事はOutput(私で言えば、受注・売上・利益)をちゃんと出していれば、あとはサッサと帰って好きなテレビを見、好きな本を読み、好きな本を書けばいいのです。 「みんなが残っているから、付き合おう。」では生活の質は高まりません。 でも、世の中的には競争が激しくなる一方で「ネットワークに酷使」されざるを得ない状況もあります。 キャリアに勤める方などその典型でしょう。 そろそろ人間の限界に近いところまで来ているんじゃないでしょうか。 スピードをゆるめることも知らないと幸せにはなれません。

と、抽象的な話はこの程度にしてニーズ、回線サービス、技術の視点から「21世紀の入り口」の数年がどうなるか、ながめてみたいと思います。

企業ニーズ

既に数年前から言いつづけているように、通信コストの削減をネットワーク構築の目的にする時代は終わりました。 SCMに代表される経営革新。 高速ネットワークを活かしたサーバ集中やthinクライアントによるシステム革新。 そして生活の質的向上。 より豊かで安価になるネットワーク資源をいかに使うか。 20世紀は乏しいネットワーク資源をいかに節約するかに知恵と技術を使いました。 21世紀は資源の制約はほとんど意識しなくて良くなり、どんなポリシーで、何に使うかを考えるのがわれわれネットワーク技術者(話術者?)の仕事になるでしょう。

回線サービス

20世紀の終わりはただ1社のルータ・ベンダーのマーケティング戦略にキャリアが踊らされ、やや不毛とも言えるユーザ争奪戦が戦われました。 95年から98年にかけてのフレームリレー・サービスの陣取り合戦。 それが終わるとフレームリレーからIP−VPNへの「目的のハッキリしない」移行合戦。 そして、キャリアの方は「これからはデータトラヒックが電話トラヒックを上回って伸びるというけれど、予想ほどじゃない。  電話の収入がどんどん落ちて、それを穴埋めできるほどデータは伸びてない。」と嘆いているのが現在の状況です。 この言葉は12月13日の情報化研究会で某キャリアの方が自己紹介の中で話した言葉です。 ルータ・ベンダーやキャリアが好んで使う、電話のトラヒックが右肩下がり、データ・トラヒックが右肩上がりでクロスする図。 トータル収入は右肩下がりの危機を迎えているのです。 いったいキャリアは誰のために苦労しているのでしょう?

回線サービスはブロード・バンド化と低価格化が進みます。 IMT2000のインパクトは大きいですね。 384K、2Mといった高速サービスを個人が占有できる。 有線系の回線サービスも競争上安くならざるを得ません。

VoIPサ−ビスは中途半端なままに20世紀が終わりました。 鼻息のあらかったPRISMもVoIPは本格的に対応できているとは言えませんね。 NTTのArcstarはかなり本腰を入れるようですが、使っているルータが同じなのですからテレコムより優れたサービスができるか疑問です。 私は現在使われているルータが、セールストークどおりのキャリア・サービスに使えるだけの実力があるのか? という根本的な疑問を持っています。 キャリア・クラスのネットワーク機器が見直される時期に来ているんじゃないでしょうか。

技術

あらゆるコンテンツをIPで運ぶ、というのは動かしがたいトレンドになりました。 しばらく混沌とするのはレイヤ2以下に何を使うか。 XDSL、光ファイバー、無線、衛星、CATV。 10年後に定着しているのはやはり光ではないでしょうか。 それと衛星。 今年の秋にも開始される東経110度のCS(通信衛星)、NSATはブロード・バンドのデータ放送が可能であること、BSと同経度上にあることからBSと同じアンテナで受信できること、から大きな広がりが期待されています。 課題はコンシューマーに受け入れられるコンテンツの提供です。

もう一つ興味があるのはIPのQoSがどうなるか。 帯域がじゃぶじゃぶならQoSは不要という論もありますが、トラヒックが予想以上に多かったり、予期しない流れ方をするから高速道路は渋滞するのです。 現在のIP−VPNでは低速のアクセス回線でQoSが必要です。 ではアクセスも高速になったらQoSは不要になるか? 今度はバックボーンに流れ込むトラヒックが膨大になりますから、バックボーンのQoSが必要になります。 アクセスが低速だからバックボーンはQoSを気にしなくていいのが現在の状況です。

アクセスが高速になり、バックボーンがさらに高速化されても、現在はほとんど使われてない映像が流れるようになれば帯域がジャブジャブということにはならないでしょう。 電話音声、映像、データ、といったコンテンツに応じたQoSは21世紀にも必要とされるのではないでしょうか。
 
 
 

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