間違いだらけのネットワーク作り(155) 2000/11/25
記事評「IP電話サービスに及び腰のキャリア」(日経コミュニケーション11.20)

12月13日(水)午後6時からの情報化研究会+忘年会、テーマ「IP−VPNとQoS」の講師が決まりました。 NTTコミュニケーションズでスーパーVPNの技術を担当している方です。 スーパーVPNのことに限らず、ルータというものがキャリア・サービスでどこまで使い物になるレベルになっているのか、「IP電話サービスに及び腰」にならざるを得ない理由はなにか、等々聞きたいことはたくさんあります。 今世紀最後の研究会、なのですが、期待するところ大です。 詳細は会員ページに掲載します。

記事評「IP電話サービスに及び腰のキャリア」(日経コミュニケーション11.20)

先週、「ソフト・スイッチ」を取り上げましたが、11.20号の日経コミュニケーションにそれと関連する記事「IP電話サービスに及び腰のキャリア」(p80)が掲載されていました。

日本テレコムが11月1日から始めた「VoIPオフネットサービス」と、フュージョン・コミュニケーションズが来年4月から開始するソフトスイッチを使った電話サービスの紹介がメインです。 VoIPオフネットサービス、ハッキリ言って中途半端で情けないサービスですね。 SOLTERIA内のVoIPによる内線サービスは通信サービスとしては提供せず、ユーザ個別対応。 オフネットサービスはSOLTERIAから電話網に向けてはかけられるが、電話網側からの発信は不可。  

使用している技術は日本テレコムより、フュージョン・コミュニケーションズの方が上です。 日本テレコムの技術はいわゆる「ソフトスイッチ」ではなく、そこらの企業が使っているCISCOやNECのVoIP−GWを使って、いわばVoIPベースの「専公接続通話」をしているだけ。 たまたま、「専」にあたるプライベート網がIP−VPNだというだけです。 ソフトスイッチの主要素である共通線信号方式(SS7)は使っていません。 FAXは64KのG.711でしか使えないとのこと。 要するにFAXなど意識していないのです。 FAXもSOLTERIAは音声としか見られないので圧縮しない64Kなら大丈夫、ということ。 

サービスを限定しているとはいえ、こんなので遅延やエコーを抑え、音声品質が保証できるんだろうか、と大いに疑問です。 VoXXを使った専公接続は遅延もさることながら、エコーが発生しやすいのです。 

こんな内容で「第一種通信事業者として初めてのVoIPサービス」などと持ち上げても寒いですね。 日本テレコム自体、「SOLTERIAユーザー向けに提供した付加サービスにすぎない。 大々的な宣伝は控えている。」とのこと。 さもありなん。

98年に電話交換機を使わずルータだけで次世代のネットワークを作るんだ、とぶちあげられたPRISM。 昨年の実験を経てSOLTERIAが商用サービスとして始まったのですが、発表から2年たった現在でもこの程度では、どうも今の製品では電話交換機なしのIP電話サービスなんて不可なのではないか、今やってることは実験的なサービスに終わってしまい、より高度な機能を持った製品でないと「歌い文句」は実現できないのではないか、と疑問がわいてきます。
 

フュージョン・コミュニケーションズのネットワーク(p81 図3)はソフトスイッチそのものですね。 先週の「間違いだらけ」の図と違うのはコール・エージェントの機能をシグナリング・ゲートウェイとトランキング・ゲートウェイに分散していることだけ。 IP網で使用するルータ等のベンダーは紹介されていませんが、母体が日商岩井ですから、ジュニパーやAVICIが使われるんじゃないでしょうか。 CISCO以外であると、SOLTERIAとの違いがより際立って面白いですね。

この記事は12月13日の研究会に向けて、いい話のネタを提供してくれました。 講師だけでなく、参加される方々からいろいろな意見やアイデアを聞くのを楽しみにしています。 すでにハンドルネーム「間違いだらけのYさん」はじめ、やりてのネットワーカーから参加申し込みが来ています。
 
 

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