間違いだらけのネットワーク作り(135) 2000/07/01
「IP−VPNのQoSは不要?不能?/VoFRのケース」

今週は少し余裕が出来たので、久しぶりに八重洲ブックセンターに行きました。 まずは3階ネットワーク書籍のコーナーへ。  私の近著「企業内データ・音声統合網の構築技法」がまだ平積みで1番前に積まれているのを確認。  売れ行きが悪くなると「棚挿し」といって棚に1冊か、2冊しか置かなくなります。 発行されて半年ですが、まだそこそこ売れているのでしょう。 新しい本ではどんな本が出ているか、とさっと見回して1階文芸書コーナーへ。  エスカレーターを降りたところに「司馬遼太郎全講演第一巻」朝日新聞社、7月1日発行、というのがあり、ちら、と見てぱっと買いました。 まさに衝動買いです。 司馬遼太郎の本のすべてが好きなわけではなく、買ってはみたものの途中で投げ出したものもあります。 この講演集は500ページ近いボリュームとその重さ、活字の見やすさが気に入りました。 読んでみると内容も面白く土日で読み終わりそうです。 1964年という、私が小学校2年の時の講演から始まるのですが、今読んでも古さを感じません。 人間、歴史、日本、といったテーマは不易なところがいいですね。 

IP−VPNのQoSは不要?不能?

この記事を書こうとすると、いつも届いたばかりの日経コミュニケーションを学校帰りの息子が郵便受けから持ってきてくれます。 7月3日号には河合楽器製作所のIP−VPN(日本テレコムのSOLTERIA利用)がケーススタディとして紹介され、218ページには「IP−VPNとQoS」というコラム。  とにかく日経コミュニケーションとしてはIP−VPNをあおりたい、という雰囲気ですね。

ケースをちらっと読んで思うのは「これが次世代IP網? 貧弱だなあ」。  QoS機能がないのは以前の記事でも書いたとおり。 VoIPという言葉さえ出てこない。 ダイナミック・ルーティングに対応しておらず、設定のわずらわしさはデフォルト・ゲートウェイで逃げる。

「IP−VPNとQoS」いわく、「QoSは貧弱な資源を有効活用する技術であり、高速・広帯域バックボーンを持つIP−VPNには不要」。  笑ってしまいますね。  高速・広帯域バックボーンだって輻輳は起こります。( いつまでもユーザが増えなければ別ですが。)  そこにトラヒックが流れ込むのですから。 高速道路も一般道と比べれば高速・広帯域ですが、盆・正月のようなピーク時期には輻輳して大渋滞。 そんな時に救急車まで動けなくなったら困る。 そこでバックボーンでも優先制御や帯域制御というQoS制御が必要になるのです。

今のIP−VPNがQoS制御をしてないのは「不要」だからしてないのでなく、製品・技術の制約で「不能」だからじゃないでしょうか? MPLSにしろ、WFQにしろ、MLPPPにしろQoSはルータの処理能力という資源を消費する。 言い換えるとキャリアの機器投資が大きくなる。 これがQoS切り捨ての本当の理由じゃないでしょうか? キャリアさん、本当のことを教えてくれませんか? 

VoFRのケース

「企業内データ・音声統合網の構築技法」の読者であるKさんから次のような質問が来ました。 参考になるので引用させていただきます。

以下、引用。  例によって*に続くのが松田のコメントです。
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初めて、質問します。
研究会のことは、「データ音声統合網の構築技法」で知りました。 下記の質問に回答していただければ、幸いです。

弊社では、全線専用線のネットを使いVOFRで音声統合の導入を検討しています。 つきましては、「PBXなどとVoP-GWのインターフェース」でODを使用するかどうかで悩んでいます。(26拠点もあり工事費がかさむため)

                 記

1.環境
 @機器は、富士通のEW4120/4130/4150 (VANGUARDのOEM)
 APBX側は、PBX/ボタン電話(KS)
*VANGUARDは処理能力が乏しいですから、本社のようにデータ、音声の集中する拠点では能力的に足りているかチェックが必要です。  
*26拠点というのはモトローラのFRADだけでは苦しいと思います。

2.質問(ODトランクを使用しない場合)
 ルータとは、FXS方式で接続。
 @KSの場合
  チャネル数は、2〜4chですが、空いている回線があれば、電話機は鳴ってくれるのでしょうか。
*鳴ります。 KS(ボタン電話)ではFXSを使うのは普通です。 ただし、FXSは交換機と電話機間のインタフェースであり、GWから見てKSは1台の電話に見えます。 したがって、内線番号で特定の電話機だけのベルを鳴らすことはできず、KS配下の電話機のベルがいっせいに鳴ります。

    ただし、電話機がSDT方式をサポートしていれば個別着信も可能です。
 

 APBXの場合(ダイヤルイン機能がある)
  個別の電話機を狙ってかけることが出来るのでしょうか。
*FXSでは無理です。 ODTを使うのが普通です。  ODTは交換機〜交換機間で信号をやりとりするインタフェースです。 
*モトローラに詳しい人によると、なり分けも可能だそうです。 テーブルを多く書くことが必要になるそうです。

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*全拠点専用線というのは音声品質を保つにはいい選択です。 DA、DRを使えば回線料もそう高くはないでしょう。

*気をつけねばならないのはFRADの処理能力とPVCの張り方です。  ネットワークのトポロジーが分かりませんが、本社を中心としたスター状とすると、モトローラのFRADで音声もデータも引き受けさせるのは拡張性がありません。 音声とデータのPVCは分けて、データは処理能力の高いルータを使うべきです。

*他の拠点のFRADとルータはRFC1490で簡単につながります。 本社にはPVCをまとめ、音声を優先制御する処理能力の高いフレームリレー交換機が必要です。

*これらのことは私の本にも書いてあります。
 
 

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